こんにちは
犬の管理栄養士です。
今日は手作りごはんの分量に対してご質問をいただいたので、たくさんの方にも知っていただきたく、ブログ記事でで取りあげることにしました。
手作りごはんの疑問と悩み
愛犬に手作りごはんを作ろうと思った時に、一番の悩みが「食材の分量」についてだと思います。
手作り食の本は多く出版されていますが、ある程度の基準は書かれていても、分量については細かく書かれていない事が多いと思います。

手作りごはん
たくさんの犬の手作りごはん本で見解が異なる部分もありますが、私がずっと実践して来て、安心しておすすめできる配合割合は
たんぱく質 1.5〜2 に対し、炭水化物が 1、野菜が 1〜1.5 の割合。
そう、ここで気がつかれた方もいるかもしれません。 「巷の本に比べて、意外にお肉(タンパク質)が少なめじゃない?」と。
そうなんです。
実は、おうちでサッと茹でるなどした「生の状態から調理するお肉や魚」のタンパク質は、加工プロセスを経ていないため、非常に質が高く、アミノ酸の吸収効率が抜群に良いのです。
たくさんの栄養を含んだ赤身肉
「質の良いものを、新鮮な状態で食べる」これができていれば、犬が体の中で使えるタンパク質は、私たちが思っている以上に少なめの量でしっかり足りてしまいます。
市販のドッグフードのように、高温高圧で激しく加工されたフードは、製造過程で栄養の質が落ちるのを見越してタンパク質の「量」を多く設定せざるを得ません。
だからこそ、ドッグフードの基準に慣れていると、手作りごはんの適正量が少なく見えて驚かれるのですね。
「量」よりも「質」。
これこそが、胃腸に余計な負担をかけない、本当に体に優しい手作りごはんのメリットです。
手作りごはんの基本は
・年齢
・去勢・避妊済か否か
・散歩をする
・完全に室内での運動にとどまっている
・病気などで寝ていることが多い
・妊娠中
などにより、かなりの差があります。
計算はその子の体重ではなく「代謝体重」と活動量による「活動係数」によって算出します。
1日に必要なカロリーとタンパク質をスマートに算出する方法をお伝えしますね。
今日の記事を読んで、手作りごはんをより簡単に、不安なく取り組んでいただけたら嬉しいです!
ちなみに、食材のカロリーや正確な栄養成分などは、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」を参考にされるのがおすすめです。
【実例】15.7kgのゴールデンレトリーバーの場合
ご質問を下さったゴールデンの子で計算しますね。
では、実際に数字を出すステップを、体重15.7kgの避妊・去勢済みの犬として一緒に計算してみましょう!
おうちのスマホを用意して、以下の3ステップを進めてみてください。
スマホがない場合はPCの電卓でも計算できます。
ステップ1:基本の「安静時カロリー」を出す
最初に、じっとしていても消費するベースのカロリーを計算します。
まず、スマホの画面ロックを解除して「横向き」に倒してみてください。
ボタンがたくさん並んだ画面(関数電卓、科学計算)に切り替わります。
その中にある「xʸ」ボタン(アルファベットの小文字のxの右上に、小さなyが乗っているボタンです。
機種によっては [ xʸ ] や [ yˣ ] と書かれています)を使います。
【スマホ電卓での押し方】
15.7 → 「 xʸ 」ボタン → 0.75 → = → × → 70 → =
画面に 「552.2…」 と出れば大正解!
15.7kgの犬のベースとなるカロリー(RER)は、約552 kcal です。
最後にかけた70ってなに?
式に出てくる「70」という数字は、犬がじっとしているだけで消費するエネルギーで、いわば基礎代謝を計算するための世界共通の決まった数字です。どんな体重・年齢の子でも、最後は必ず「70」を掛け算します。
ステップ2:ライフステージ(活動係数)を掛ける
ベースのカロリーが出たら、次は「その子が普段どれくらい動くか」を表す活動係数を掛け算します。
今回は「避妊・去勢済みの標準的な成犬」として、係数は「1.6」を使ってみます。
552 kcal × 1.6 = 883.2 kcal
この子の1日に必要な総カロリーは、約883 kcal だと分かりました!
ステップ3:必要な「タンパク質量」を出す
1日のカロリーが分かったら、いよいよタンパク質です。
世界的な栄養基準であるAAFCO(全米飼料検査官協会)では、成犬時「1,000kcalあたり45g」の純タンパク質が推奨されています。
計算はとっても簡単。
先ほど出した総カロリー「883.2 kcal」に「0.045」を掛けるだけです!
883.2 kcal × 0.045 = 約 39.7 g
■15.7kgの犬の計算結果まとめ
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1日の必要カロリー:約 883 kcal
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1日に必要な純タンパク質量:約 40 g
愛犬に合わせて選ぶ「活動係数」一覧
ステップ2で登場した「活動係数」の目安リストです。
サイトや本によって少しずつ数字が異なることがありますが、愛犬の今の年齢や生活スタイルに合わせて、一番近いものを選んでみてくださいね。
1.子犬期(成長期)
生後4ヶ月までの赤ちゃん犬:3.0
生後4ヶ月〜1歳まで:2.0

2.成犬期(1歳〜シニア前まで)
お家の中でまったり過ごす子(肥満傾向・減量中):1.0 〜 1.4
去勢・避妊手術をしていて、標準的なお散歩に行く子:1.6 〜 1.8
(※まずは1.6で計算してみて、太り気味なら1.4、痩せ気味なら1.8と調整するのがおすすめです!)
未去勢・未避妊の子、または毎日ドッグランを走り回るような活発な子:1.8 〜 2.0
スポーツ犬(アジリティなど)やワーキングドッグ:2.5 〜 3.0
シニア期(高齢犬)
年齢を重ねて、のんびり過ごす時間が増えた子:1.2 〜 1.4
3.妊娠・授乳期
妊娠中やお乳をあげている母犬:3.0 〜6.0
手作りごはんの素晴らしいところは、『愛犬の今の体重や体型の変化』を見ながらいつでも調整できること。
1.まずはリストの間をとった数字で作ってみて、2週間ほど様子を見ます。
2.一番の目安となるのが体重が維持されているかです。
増加傾向であれば量を減らし、減少傾向であれば足すことで、うちの子だけの「正解の数字」を育てていけるのが「手作りごはんの基本」です
■見てすぐわかる!体重別「カロリー・タンパク質」早見表
「うちの子の体重だといくつになるの?」「タンパク質の量は?」という飼い主さんのために、標準的な成犬(避妊・去勢済み、室内犬など/活動係数1.6)を基準にした、体重別の早見表も用意しました!
もしスマホでの計算が難しかったり、うまくできなかったりした時は、まずはこちらの表を参考にしてみてくださいね。
体重代謝体重 安静時cal 1日必要cal 1日の必要タンパク質量 ~AAFCO基準
1 kg 1.00 kg 約 70 kcal 約 112 kcal 約 4.3 g 〜 5.0 g
3 kg 2.28 kg 約 60 kcal 約 256 kcal 約 9.8 g 〜 11.4 g
5 kg 3.34 kg 約234 kcal 約 374 kcal 約 14.4 g 〜 16.7 g
7 kg 4.30 kg 約301 kcal 約 482 kcal 約 18.5 g 〜 21.5 g
10 kg 5.62 kg 約393 kcal 約 629 kcal 約 24.2 g 〜 28.1 g
15 kg 7.62 kg 約533 kcal 約 853 kcal 約 32.8 g 〜 38.1 g
20 kg 9.46 kg 約662 kcal 約 1,059 kcal 約 40.7 g 〜 47.3 g
(例)15.7kg 7.89kg 552kcal 883 kcal 約 34.0 g 〜 39. g
表の見方のヒント
「1日に必要なタンパク質量」の幅は、海外の厳しい総合栄養食基準(AAFCO)と、手作りごはんで大活躍するお肉や魚(動物性タンパク質)の優れた吸収率(生物価=70)を考慮した計算の、両方の数字です。
手作りごはんで新鮮なお肉や魚をメインに使う場合は、まずはこの【〇g 〜 〇g】の間の数字を目安にして、お肉の量を決めてあげると健康的なごはんが作れます!
愛犬に合わせて選ぶ「活動係数」一覧(※後半の計算例の修正)
例えば、先ほどの15.7kgの子が「シニア犬(係数1.4)」になった場合は、
552 kcal × 1.4 = 約 773 kcal (必要なタンパク質は 約 34.8g)
となり、年齢に合わせて簡単にカロリーとタンパク質を知ることができます。
手作りごはんをもっと楽しく
1日に必要なカロリーとタンパク質のベース(基準)が分かると、ごはんの分量を決める時の大きな目安になるので本当に安心できますよね。
ここでひとつだけ大切なポイントをおさらいです。
👉「お肉の重さ=タンパク質の量」ではないので注意!
例えば、鶏むね肉100gに含まれる水分などを除いた「純粋なタンパク質」は約23gです。
鶏ムネ肉
👉手作りごはんは脂質不足になりがち!良質な油を忘れずに
手作りごはんの最大のメリットは、家族である私たちが食材を選び、新鮮な野菜やヘルシーなお肉・お魚を、栄養を損なうことなく調理して届けられることです。
ただ、ここで一つ盲点になりやすいのが「脂質」の存在です。
赤身肉や白身魚といったヘルシーな食材を意識して選ぶあまり、手作りごはんは知らず知らずのうちに脂肪分が不足してしまうことがあります。
脂質はタンパク質と同じくらい、愛犬の体を維持するために欠かせない大切な栄養素です。
特に、タンパク質を厳しく制限しなければならない腎臓病の犬の場合は、減らしたタンパク質の代わりに、この「脂質」をしっかり足してカロリーを補ってあげることが命綱になります。
加える脂質は、皮膚や血管の健康を守るアマニ油、エゴマ油、オリーブオイル、魚の栄養が詰まったEPA・DHAオイルのほか牛脂や無塩バターもおすすめです。

良質なオイル
しかも牛脂・無塩バター(動物性脂質)は、熱による変性のリスクが極めて低く、最も「酸化しにくい」のがこの固形の動物性脂質です。
おうちで調理する際も高熱で劣化する心配がなく、安全に良質なエネルギーを補給できます。
さらに、シニア犬の体力を向上させ、爆発的な食いつきを引き出してくれる嬉しいメリットもあります。
それぞれのオイルの良さがありますので、ぜひ日替わりでローテーションしながら加えてみてください
冒頭でお話しした私がいつも実践している黄金比率
【 タンパク質 1.5〜2 : 炭水化物 1 : 野菜 1〜1.5 】
をベースにしながら、今回計算したカロリーやタンパク質量の目安を当てはめていけば、愛犬にぴったりな最高の手作りごはんが作れます!
愛犬が目を輝かせて美味しそうに食べる幸せな顔を思い浮かべながら、ぜひ基本の数値を計算してみてくださいね!

ごはんまだ~?
あなたの愛犬の健康で幸せな毎日を願って…
最後まで読んでいただき感謝でいっぱいです。