こんにちは、犬の管理栄養士です。
今日の内容は今年1月に愛媛大学の研究チームから発表された、非常にショッキングな論文(調査結果)に関する5回目となります。
要約(原文)をご覧ください。
【論文要約】
3.結果と考察
3.1 ペットフードにおけるPFASの検出状況
調査の結果、ペットフードの種類によって汚染の程度には大きな幅があり、一部の製品では非常に高い数値が示されました。
具体的には、犬用のカリカリ(ドライフード)では、汚れがほぼゼロに近いものから一定の数値まで幅がありました。
猫用のドライフードではさらに高い数値が確認されたものもあります。一方で、水分の多い柔らかいご飯(ウェットフード)を調べてみると、犬用は比較的数値が低く抑えられていたのに対し、猫用ではドライフードに迫るほどの高い数値が検出された製品もありました。
3.2 「乾燥タイプ」と「湿潤タイプ」の比較
統計的な分析の結果、犬用・猫用ともに、ウェットフードよりもドライフードの方が、成分の「濃さ(濃度)」が有意に高いことが明らかになりました。
これは、製造工程で水分を飛ばして乾燥させる際に、成分がギュッと凝縮されることが主な原因と考えられます。
検出された成分を詳しく見ると、以下の傾向が分かりました。
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多くのフードで「PFOS」や「PFUnDA」といった共通の成分が頻繁に見つかりました。
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猫用のウェットフードからは、中国などで使われている比較的新しい種類の成分も検出されました。
ただし、ドライフードとウェットフードでは、作り方だけでなく使われている材料も異なるため、この「濃さ」の違いだけで全てを判断することはできません。
原材料による違いと「魚」の影響
分析を進めると、材料の中身が汚染に大きく関係していることが見えてきました。
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日本製のドライフード: 「穀物」が主原料とされている製品で数値が高い傾向にありましたが、それらには肉や魚の「副産物(ミールなど)」も含まれていました。
一方で、「肉」を主原料とした日本製のドライフードからは、汚れは検出されませんでした。
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魚と小魚の影響: 最も高い数値が出た中国製の猫用フードには、乾燥した小魚が大量に入っていました。
汚れの成分は魚の筋肉よりも「肝臓や腎臓」に溜まりやすいため、小魚を丸ごとご飯に使うことが、汚染の大きな原因になっている可能性があります。
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穀物とその他の原因: 穀物が主原料のご飯から汚れが見つかるケースもありましたが、これらはパッケージのコーティングや農薬、あるいは混ぜられた魚油などが原因かもしれません。
なお、汚れが全く検出されなかった製品には、オーストラリア産の肉を主原料としたものや、ヨーロッパ産の製品が含まれていました。
包装(パッケージ)について
プラスチック包装に使われるコーティング剤などが、ご飯に汚れを移してしまう「二次汚染」の可能性も検討しました。
しかし今回の調査では、包装の種類と汚れの濃さの間に明確なルールは見られず、包装が汚染の主な原因とは断定できませんでした。
3.3 作られた国(原産国)による違い
汚れの程度は、作られた国によっても左右されます。 ドライフードでは日本や米国の製品で高い値が見られましたが、製品ごとのばらつきも大きいのが現状です。
ウェットフードに関しては、同じ国で作られた製品同士であっても数値の差が激しく、国ごとの単純な比較が難しいほど複雑な汚染パターンを示しています。
【私の知見:データが裏付ける「原材料の闇」と「産地の真実」】
今回の研究結果は、私が日頃から抱いていた「国産なら安心」「魚なら健康的」という盲信に対する、強力なカウンターとなってしまいました。
注目すべきは以下の3点です。
1. 「魚」という健康イメージに隠された罠
研究で最も高い数値が出たのが「小魚を丸ごと使った中国産フード」だったという点。
これは非常に重要です。
PFASは内臓に蓄積しやすい性質があります。
大型魚の「切り身(筋肉)」だけを使うのと小魚(ミール)」では、残留の密度が根本的に異なります。
ダイオキシンを避けるためにも大型の魚は内臓をしっかり取り除いて加工するのに対して、小魚はそれらの加工が難しく、一尾丸ごと使用することで、今回のような結果に繋がってしまいました。
「猫には魚」という昔ながらの選択が、実は最も蓄積リスクの高い部位を与え続けている可能性があることが分かって来ました。
2. 「日本製」という言葉の虚構
「日本製のドライフードで数値が高かった」という事実にショックを受けた飼い主様も多いはずです。
しかし、ここでいう「日本製」はあくまで「国内の工場で混ぜた」という意味に過ぎません。
主原料が穀物であっても、そこに混ぜられる肉や魚の「副産物(ミールなど)」がどこの国のものか、どんな環境で育ったものかはブラックボックスです。
一方で、オーストラリアやヨーロッパ産で不検出だった製品があるのは、その国々の環境規制やサプライチェーンの透明性が反映された結果だと考えます。
3. 「ウェットフード」なら安全、というわけではない
犬用のウェットフードは数値が低かったのに対し、猫用ではドライ並みに高かったという結果。
これは「原材料の質の差」を如実に物語っています。
猫用ウェットフードに多用される「魚のあら(内臓混じり)」や、海外(中国等)から輸入される安価な原材料、そして製造工程で使われる「水」の汚染が、水分の多いはずのウェットフードの数値を押し上げているのです。
4. パッケージのせいにはできない「中身」の汚染
調査の結果、パッケージからの移り込み(二次汚染)が主原因ではないと判明しました。
これは、「汚染は、原材料そのもの、あるいは製造工程の深部(水や油脂)に確実に入り込んでいる」という逃げようのない事実を突きつけています。
『国産だから』『魚だから』という言葉だけで選ぶ時代は終わりました。
このデータが示すのは、私たちが信じてきた『安心』がいかに脆いかという現実です。
では、どうすれば愛犬・愛猫をこの汚染から守れるのか?
次回、今回の結果から、汚染の主因はパッケージではなく「中身=原材料」にあることが見えてきました。 では、その汚染はどこからやってくるのか?
次回は、さらに踏み込んで「原産国による汚染パターンの違い」を分析します。
そこには、日本を含むアジア産のウェットフードに共通して見られる「地域特有の汚れ」、そして中国の工場由来とされる「謎の代替成分(F-53B)」が、国境を越えて私たちの愛犬・愛猫の食卓に忍び寄っている驚くべき実態がありました。
日本近海の魚介類と、私たちの大切な家族のフードを繋ぐ「サプライチェーンの闇」に迫ります。
最後まで読んでいただき感謝でいっぱいです。