「日本はいずれ存在しなくなるだろう」
先日、イーロン・マスク氏が日本の少子化のことを案じて、
衝撃的な表現でツイートしたのをニュースで聞いて、
ドキッとした。
「将来の日本の人口は6800万までに半減して
たくさんのゴーストタウンとゴーストシティーが現れる」
と今年1月にも投稿していたらしい。
外国人にも心配されるほどだから
日本の人口減少問題は、本当に深刻な問題なのだろう。
しかし、ふつーの国民にとっては、ずっと先の
そんな途方もない問題を真剣に考えることなど
まずない。
だいたい少子化によってどんな未来がやってくるのか
想像力も働かないのである。
しかし、こんな仕事をしていると、
そんな大きな問題についても
有識者のお話を聞ける機会がある。

たまたまごく最近、内田樹先生の講義の録音の中で
この少子化問題のお話をされていたので、
自分なりに忘れないうちに要約しておこうと思う。
(あくまで、たくさん話されている中のピックアップで、
私個人の理解ゆえ、出版されたものとは
編集点や内容に
相違があるかもしれません、その点はお許しください)
もしも人口減少を補えるほどの移民を受け入れないことを
前提とするならば、
将来の日本の国の形のシナリオは大きく二つ。
地方分散か、都市一極集中か。
もともとの日本は地方分散型だったわけで、
人口3000万の江戸時代には三百の藩があって、
藩というのは基本的に自給自足。
”その中に城下町があって、お寺があったり、
神社仏閣があったり、
お茶の宗匠がいたり、能楽師がいたり、
日本中に文化的発信拠点があって、
それで産業を持って暮らしていた。”
(” ”の間は、氏の表現ほぼそのままに近い)
江戸時代はとてもエコな時代で、質素ではあるが
人々が心豊かに文化的に暮らしていたというイメージは
私の中にもある。
まあそれは封建時代の遠い昔としても、
それから近代化が進んで、
明治40(1905)年ぐらい、日露戦争の頃の人口が
5000万ぐらいで、それでも日本中に人が住んでいて、
固有の文化を持ってゆったり暮らしていたわけである。
”日本は自然資源も豊かだし、温帯モンスーン、
肥沃な土地があって、
そこでのんびり暮せばいいじゃないですか。
教育とか医療とか世界的なレベルのインフラも整備されているし、
資源もあるし、エンターテイメントもあるし、
べつにそんなカリカリしなくても、
のんびりと居心地のいい中規模国家という感じでやっていけば
いいじゃないですか。”
つまり内田先生は、日本は
”地方に離散して、資源を分散していって、全国津々浦々どこでも
人々が楽しく暮らせるようにしたほうがいい”と
思っていらっしゃるのだ。
イーロン・マスク氏が投稿で言っている、人口6800万人でも、
「たくさんのゴーストタウンとゴーストシティーが現れる」
というのは、日本がこのまま
都市一極集中型に進んでいった場合の未来予想図には違いない。
”資本主義が発展していって、経済成長を続けようと思ったら、
人口はとにかく集めるしかない。人々がいっぱい集まると
土地の値段も上がるし、賃金も上がるし、
消費活動も活発になるし、べつに人口が5000万になっても
5000万をぎゅーっと首都圏に集めてしまえば、
相変わらずみんな満員電車に乗っかって出勤していって、
その地域だけの経済というのは極めて活況を呈する。
その代わり首都圏から一歩出るともうなんにもなくて
広漠たる荒野が広がっているという、
そういうふうな未来像になるわけです。”
べつに大部分の人が経済的に豊かなのだから、
それでもいいじゃないかと思うかもしれないが、
人里離れた自然豊かなところでスローに暮らしたいと
思う人がいても、
学校とか、警察とか、消防とか、
そういう基本的行政サービスはコストがかかるので、
地方でも一箇所にコンパクトに集められて、
そこから離れて暮らす人は、
そういうサービスが受けられなくて
生活に支障をきたすということになってしまう。
今でさえ、里山というものがなくなりつつあるが、
都市一極集中になると、完全に失われてしまう。
価値あるものはというのはほとんど全部里山から
生まれているにもかかわらず。
”この里山というものがなくなってしまうと、
いろんなものが失われてしまうんですね。
ただ過疎化、無住地化していくんじゃなくて、
実際には人が住まなくなった地域というのは、
今の流れだと
太陽光パネルを並べるとか、風力発電を並べるとか、
産業廃棄物を捨てるとか、そういう形で功利的に
活用されそうなんですよね。
そうやってこれまでずっと僕らが暮らしてきた
日本の里山が、そういう形で破壊されていく
というのはちょっと座視しがたいんですけども、
でも、これ止められないんですよね。
地域住民がいれば反対しますよ。
生態系を壊さないでくれと、
山や森や河川が汚染されたりしたら、
暮らしていけないからって反対運動があって
反対運動がある限り勝手なことはできませんけど、
地域住民がいなくなっちゃうから、
急激に日本の里山地域が荒廃していく未来が
見えてしまう。”
さらには、”前の3.11のときにわかったけれども、
都市部に資源一極集中してしまうと、
都市部がやられた時に、人も逃げようがない。
首都圏に大震災が起きた場合、
逃げた先が太陽光パネルが地の果てまで埋め尽くしているという
ところなのだから。”
実は、この内田先生の講義は
海外に住む中高生に向けたオンライン講義なのだが、
将来、人口減少問題にリアルに直面しそうな
子供たちに、
この国民的な議論なしに進んでいる都市一極集中に関して
お父さんの意見も聞いたりして、家庭内でも
もっと議論しませんかと勧める。
既に日本が議論もなしに、
都市一極集中に舵を切ってしまっていることに
強い危機感を抱いているのである。
(少子化問題②につづく)

それでも東京が好き
てへっ