食事制限 | 原型師は燃えているか?

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朝昼晩の食事には「透析食1800 飯(200)」で始まるカードが添えられていた。

そこにはメニューの他、エネルギー、たんぱく質、食塩相当量があり更に牛乳禁、塩分制限6g、カリウム制限と記載されていた。

昔食べた事があったので、病院の食事は味が薄い「病人食」で塩分が少ない事は知っていたが、カリウムやリンという物質も制限されているようだ。

透析患者はカリウムとリンが制限されると知った(気づいた)のは、このカードのおかげだ。

塩分6gはおよそ小さじ1杯だから、結構多くても良いんだなと思った。

私はとりあえず料理教室に6年ばかり通ったので、やったことのない人よりは遥かに料理が出来、小さじ一杯がどれだけの量かすぐ理解出来て良かった。

人間何でもやってみた方が良いなとか思いながらご飯を食べた。

 

思えば食欲が多少出始めて食べられるようになったが、未だに食事は「一生懸命食べている」という感じだ。

カーテンで仕切られてあまり判らないのだが、病室はおそらく私の他に3、4人くらいは患者は居そうだ。

食事は決まった時間にほぼ一斉に配膳されるので、食べ始めるタイミングもほぼ一緒。

皆無言で食べる音だけが病室に響く。

ある時気づいたが、この音に影響されて食べるスピードが速まっている気がした。

学生時代は「速飯速グソも芸のうち」とばかり、クラスでも最速で食べて遊びに出るというのを身上としていたので、その習性が再起動しているという感じだった。

そのガツガツ食べる感じが「一生懸命」なのだが、他人が見ていないにしてもこれは下品ではと少し後ろめたい気持ちになった。

別に食事時間が決められた囚人でもなし、もっとゆっくり食べようかなと思ったが周囲の音に影響され自然と速くなってしまう(笑)。

 

食べるのに集中しすぎるからイカンのだと、添付されたカードの内容を吟味しながら食べるようにした。

これは多少効果があったようだし、これから自分が取る食事の参考にもなった。

毎食読んでいるうちに何を食べて良いのか多少の法則性も解かってきた。

そこで疑問に思ったので看護師さんに「退院後の食事制限とかの事って先生にでも教えてもらえるんですか?」と聞いた。

「どうするか、ちょっと聞いてきますね」

相変わらず、ここの看護師さんは女性だろうと男性だろうとシッカリしている。

「退院前に栄養士さんの栄養指導があるそうです」

再びやってきてこう答えた。

ああ、ちゃんとそういう事までやるのかとシステマティックさに感心した。

 

後の話だが、透析室の待合室に透析患者用のパンフレットが置いてあるのに気づいた。

パラパラ見てみると透析に関する基礎的な知識が記載されている。

これは丁度良いやともらってきて病室で読んでいた。

今まで全く意識した事のないリン、カリウムは多くの食品に含まれていた。

私の好物の納豆を含む豆、ナッツ類や茹でトウモロコシや枝豆、筋子やタラコが避ける食物に入っていてガッカリしていた。

他にも禁忌食材が沢山書いてあり、もうあれも食べられないのかと思っていた退院2日前くらいに栄養士さんの指導があった。

 

自分で料理が出来る事と、ある程度はパンフレットで解かってきたと伝えた。

栄養士さんは對馬さんの取る食事量はこれですと、表紙にエネルギー1800kcal、蛋白質60g、塩分6g、カリウム制限、リン制限、水分一日1L制限と大きく書かれたファイルを渡してくれた。

中にはカリウムを抜くための調理法や各食材のリン、カリウム、たんぱく質含有量などの表があって退院後の簡易教科書になっていた。

それにしても水分まで制限されていたとは。

水分を濾過して尿にするのが腎臓だから、腎機能がダメなら摂取水分も制限されるのだと納得した。

ああ、だから薬を飲む時に吸い口に足した水の量まで記録していたのか。

下半身からカテーテルが抜かれて以来、尿量と摂取水量は毎回計って記録されていた。

酒は大して好きではないから問題ないけど、果汁100%ジュースやコーラまでも制限されるのか・・・・・

暗い顔を察知されたか、栄養士さんに「あまり厳密にすると何も食べられなくなってしまうので、毎日食べる訳ではなし納豆も食べて良いんですよ」と明るく言われたのが少し救いだった。