名人・柳家三亀松(ヤナギヤミキマツ)の都々逸(どどいつ)です。

弱虫が、たったひとことちっちゃな声で、

 捨てちゃいやよと言えた晩


誰のにがおか、はごいた抱いて、

 髷(まげ)を気にする、初島田

(島田髷:未婚の女性が結い、婚礼に結う風習がある。)


口にゃ出さねど心のうちで、書きおくる文もしどなき、

 仮名書き文字のそろかしく

(雰囲気はわかりますが、うまく訳せません)


名人・柳家三亀松(ヤナギヤミキマツ)の都々逸(どどいつ)


とめてよかったあのまま帰えしゃ、
 どっかで濡れてる通り雨


夕立が、ざっとふるほど、浮き名は立てど
 ただの一度も濡れはせぬ
(たくさんの男性とお付き合いはしたけれど、
 一度も恋に溺れたことはなかったわ)


もう一度、逢わせて下さい、おおての上で
 いやなものなら、切れもする
(恋する女性の切なさが伝わってきますね。)





名人・柳家三亀松(ヤナギヤミキマツ)の都々逸(どどいつ)を三首、お楽しみ下さい。

来るはずの、人は来ないで蛍がひとつ、
 風に追われて蚊帳(かや)の裾(すそ)

(蚊帳:就寝時に用いることが多く、網状の吊りテントで、簡単に取り付け、取り外しができるよう長押(なげし)のくぼみが鉤(かぎ、フック)をかけるのに利用された。また、長押に鉤を打ち付けておき、それに輪型の釣具を掛ける方式もある。その長押は、今日の日本家屋からは消滅しつつある。
生活環境の変化、すなわち殺虫剤や下水の普及による蚊の減少および気密性の高いアルミサッシの普及に伴う網戸の採用、さらに空調設備の普及により、昭和の後期にはほとんど使われなくなった。しかし蚊帳は電気も薬品も使わない防蚊手段であり、エコロジーの観点や薬品アレルギー対策として見直され始めている。)

草と寝て、露に濡れてる家宝を持って、
 何が不足で虫は啼く

(草(女性)と寝て、露に濡れてるいいおもいをしてるのに、何が不満で虫は鳴くんだろう)


あの虫は粋な虫だよ、蛍じゃないか、
 しのぶ恋路の道ちょ照らす




名人・柳家三亀松(ヤナギヤミキマツ)の都々逸(どどいつ)を三首

はなは浮気でこぎだす船も
 風が変われば、命がけ
(最初は浮気で付き合ったけど、
 本気で好きになったら、命がけ)


うたた寝の、うつらねむりを、小声で起こし
 「あなた、あなた枕を」いたみゃせぬかえ、右の手が
(夫が手枕でうつら眠りをしているけど、右手が痛くならないように、小声で起こして、枕を差し出している女房の心遣いが見てとれますね。)



明けの鐘、ごんとなる頃仲直り、したら
 拗ねた時間が惜しくなる