名人・柳家三亀松(ヤナギヤミキマツ)の都々逸(どどいつ)を三首、お楽しみ下さい。

来るはずの、人は来ないで蛍がひとつ、
 風に追われて蚊帳(かや)の裾(すそ)

(蚊帳:就寝時に用いることが多く、網状の吊りテントで、簡単に取り付け、取り外しができるよう長押(なげし)のくぼみが鉤(かぎ、フック)をかけるのに利用された。また、長押に鉤を打ち付けておき、それに輪型の釣具を掛ける方式もある。その長押は、今日の日本家屋からは消滅しつつある。
生活環境の変化、すなわち殺虫剤や下水の普及による蚊の減少および気密性の高いアルミサッシの普及に伴う網戸の採用、さらに空調設備の普及により、昭和の後期にはほとんど使われなくなった。しかし蚊帳は電気も薬品も使わない防蚊手段であり、エコロジーの観点や薬品アレルギー対策として見直され始めている。)

草と寝て、露に濡れてる家宝を持って、
 何が不足で虫は啼く

(草(女性)と寝て、露に濡れてるいいおもいをしてるのに、何が不満で虫は鳴くんだろう)


あの虫は粋な虫だよ、蛍じゃないか、
 しのぶ恋路の道ちょ照らす