フインキーのふんいき レビュー -88ページ目

DVD「インスタント沼」 レビュー

三木聡 監督。

インスタント沼 ミラクル・エディション [DVD]/麻生久美子,風間杜夫,加瀬 亮
Amazon.co.jp
スコア選択: ★★★★★

人間、泣いてる時間より、笑ってる時間の方が圧倒的に長いし!

ジリ貧OLの沈丁花ハナメ(麻生久美子)は担当する雑誌が廃刊になり会社を辞めた。
そんなとき母親が河童を探して、池に落ち、意識不明に。
池の中からポストが見つかり、その中に昔、母が送った水浸しの手紙が出てきた。
それにはハナメの出生の秘密が書かれていて・・・


三木作品は出るごとに面白くなってますね。
「時効警察」や「転々 」の流れを汲みながら、笑いの要素がアップした感じ。

「転々」では見終わったあと、寂しい余韻が残ったのに対し、今作は元気になれる内容になってます。
辛いことあるけど、ちょっとした出来事で幸せに変わったりするよね、そんな映画。

しかし、ジリ貧OLに送る勇気付け映画ではないです。
むしろ、ジリ貧OLの方々は酷い描かれ様に怒り狂うかもしれない。
極端な例なので、自分と重ねよう!なんて思って見るとガッカリしますよ~。


そんなわけで今回、麻生久美子がハジケてました。
表情や感情がコロコロ変わって、それはそれは忙しい。

一つ間違うと、とんでもない自己中になりそうな性格を紙一重に可愛らしさでセーブ。
それも三木監督と麻生久美子の成せる技でしょう。

三木作品に出てる麻生久美子は他の作品より3割増くらい輝いて見えますね(自分だけ?)。
ノビノビ演技してるからかな。


実はこの作品、”帰ってきた時効警察”の第9話とリンクしています。
ということで、改めて9話を見てみたら、物語の核心に近いものが出てました。

出てくる
    ガラクタ屋のおっさん(松尾スズキ) =  昔の電球(風間杜夫)
ということは、時系列では時効警察(昔)→インスタント沼(今)のようです。
これはごま知識ですね。

そして、ラストに出てくる壺。
水をかけると・・・
おおっと、ここからはネタバレになるので、実際に時効警察を見て確かめてください。

思いっきり笑いたいなら、一人で見るのがオススメ♪

小説「クラリネット症候群」 乾くるみ

表題作の”クラリネット症候群”と”マリオネット症候群”の2編から成る中編小説。

クラリネット症候群 (徳間文庫)/乾 くるみ
¥620
Amazon.co.jp
スコア選択: ★★★

マリオネット症候群
朝起きたら、里美は体の制御ができなくなっていた。
自分は頭の片隅に追いやられ、他の人に体を乗っ取られてしまったのだ。
彼女、実は特異体質で…

クラリネット症候群
巨乳で童顔の先輩に何とかしてお近づきになろうと、通学路でクラリネットを吹いていた僕。
上手くいったかと思いきや、事件に巻き込まれ聴覚がおかしくなってしまう。


軽そうに見えて、いつも最後にあっ!と言わせてくれる乾作品。
今作は中編2作ということで、長編と比べ少しパンチが足りない印象を受けました。

とはいえ、よくこんな発想ができるな~という2話。
個人的にはマリオネット症候群の方が楽しく読めました。

体を操られる、まさにマリオネット状態の里美。
この乗っ取った人が意外な人物で、その乗っ取られ方法がまた意外。

そして、マリオネットの連鎖…
終始テンポよく進み、ニヤニヤが止まりません。

ラストはある意味ハッピーエンド。
内容は殺人事件ですが、明るいです。
現実であったら、殺されあい(?)が始まるんじゃないかってくらいカオスな内容なんですけどね。


クラリネットの方は、読みにくかったです。

主人公の僕はある事件でドレミ…の音が聞こえなくなるという設定。
そのせいで本文に出てくるセリフのドレミファ…が空白で抜けています。
これが読みにくいったらありゃしない。

この空白を利用した言葉遊びはセンスがあって面白く、笑えます。
これのために話を膨らましたのではないかってくらい。
でも、それ以外は()書きで補ってほしかった。

他の乾作品と比べると見劣りしますが、中々楽しませてくれる内容でした。

DVD「ヤッターマン」 レビュー

三池崇史 監督。
原作は1977年~公開のアニメ。

ヤッターマン “てんこ盛りDVD”/櫻井 翔,深田恭子,福田沙紀
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スコア選択: ★★★

世界征服を企むドロンボー一味はドクロストーンを探していた。
その石は4つ揃えると何でも願いが叶うといわれている。
ヤッターマン1号2号はそれを阻止すべく、一味の前に立ちはだかる。


実写でもアニメさながらの分かりやすい展開は、見る人の期待を裏切らない会心の出来です。
舞台セットや小物など作り込みが尋常じゃなく、監督の思い入れの強さが伺えます。
また、CGなども多用し、お金がかかってるなーという印象。

当時はかなり影響力のあるアニメだったみたいですね。
それは、この作品に出てくるフレーズが今でもマンガなどで使われたりする事からも分かります。
・ポチっとな
・説明しよう
とか、良く聞きますよね~。


原作のアニメは見たことはありません。
それゆえ今の自分には内容が子供っぽく映りました。
特に最大の見どころであるドロンジョと1号の恋模様が薄味です。

もう少し、奥行きがあれば印象が変わってたかと。
これは多分、原作の雰囲気から大きく外れないものにしたい、という監督の采配だと思うので仕方ないですが。

そういった意味では原作ファンは存分に楽しめると思います。
あと、子供と一緒に見るのもいいですね。

小説「黄色館の秘密」 折原一

黒星警部と虹子の密室シリーズ。

黄色館の秘密―黒星警部シリーズ (光文社文庫)/折原 一
¥580
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スコア選択: ★★★

世界の珍宝が集められた”黄色館”。
そこに収められている”黄金仮面を盗む”との予告が盗賊団から届いた。
黒星警部は必死に警備するが、事件が次々と・・・


このシリーズは描写が軽く、気分が暗くならないので意外と好きです。
叙述トリックは無いし、軽過ぎてダメっていう人もいるかも知れません。

今回も黒星警部はドジばかり。
いわば事件より、トリックより、このおっさんの弾けっぷりを楽しむ作品ですね。

主人公なのに推理は間違い、真相をどんどん深みに沈めます。
しかし、半端ないポジティブ精神で、全部いい方向に持っていってしまう。
これは見習いたい。

そんなこんなで、探偵役は竹内刑事(誰?)
この人、途中まで全く出番がないのに最後の推理のシーンだけ出てきて、さらっと解決しちゃう黒星警部の部下。
1つの部屋にみんなが揃ってるのに、別の部屋に人の気配が!という状況、死体が…と思っちゃいますよね。

始めからいるのに、全く描写されてなかった竹内刑事でした。
まさか新手のトリック?

さて本筋のトリックですが、ハッキリ言って無理やり。
推理だから正しいとは限らない!と言われたらおしまいですが、何か抜けてるような気がします。
発想はとても面白いですが、ボヤーとしたものが残りました。

もしかしたら、隠された真相があるのかもしれません。
が、考える気力はありません。。。

DVD「鈍獣」 レビュー

細野ひで晃監督。
脚本は宮藤官九郎。

鈍獣 プレミアム・エディション [DVD]
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スコア選択: ★★★★

作家の凸川が突然失踪した。
凸川の担当編集者の静(真木よう子)は彼の地元に向かい、同級生である江田(北村一輝)と岡本(ユース・ケサンタマリア)に情報を聞き出そうとするが…


クドカン節全開。
あの独特の笑いが好きなら間違いなく楽しく見れます。
万人受けする作品ではないので悪しからず。

序盤はスピード感のあるコメディタッチ、
中盤は雰囲気変わってミステリ(ホラー)テイスト、
ラストは思いもよらず心が温かくなるような幕引き。

笑って、ハラハラして、疑って、裏切られて、オオッ!となる。
全体を通してよく出来た脚本だと思いました。

役者も個性が強く、ハマリ役ばかり。
とぼけた凸やん(浅野忠信)と不安と苛立ちで揺れる江田っち(北村一輝)が特に際立ってます。
ユースケの演技の幅の狭さはマイナスですが…

所々に挿入されるアニメもセンスが良く、完成度が高い。
思わぬ掘り出し物を見つけた気分でした。