小説「クラリネット症候群」 乾くるみ | フインキーのふんいき レビュー

小説「クラリネット症候群」 乾くるみ

表題作の”クラリネット症候群”と”マリオネット症候群”の2編から成る中編小説。

クラリネット症候群 (徳間文庫)/乾 くるみ
¥620
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スコア選択: ★★★

マリオネット症候群
朝起きたら、里美は体の制御ができなくなっていた。
自分は頭の片隅に追いやられ、他の人に体を乗っ取られてしまったのだ。
彼女、実は特異体質で…

クラリネット症候群
巨乳で童顔の先輩に何とかしてお近づきになろうと、通学路でクラリネットを吹いていた僕。
上手くいったかと思いきや、事件に巻き込まれ聴覚がおかしくなってしまう。


軽そうに見えて、いつも最後にあっ!と言わせてくれる乾作品。
今作は中編2作ということで、長編と比べ少しパンチが足りない印象を受けました。

とはいえ、よくこんな発想ができるな~という2話。
個人的にはマリオネット症候群の方が楽しく読めました。

体を操られる、まさにマリオネット状態の里美。
この乗っ取った人が意外な人物で、その乗っ取られ方法がまた意外。

そして、マリオネットの連鎖…
終始テンポよく進み、ニヤニヤが止まりません。

ラストはある意味ハッピーエンド。
内容は殺人事件ですが、明るいです。
現実であったら、殺されあい(?)が始まるんじゃないかってくらいカオスな内容なんですけどね。


クラリネットの方は、読みにくかったです。

主人公の僕はある事件でドレミ…の音が聞こえなくなるという設定。
そのせいで本文に出てくるセリフのドレミファ…が空白で抜けています。
これが読みにくいったらありゃしない。

この空白を利用した言葉遊びはセンスがあって面白く、笑えます。
これのために話を膨らましたのではないかってくらい。
でも、それ以外は()書きで補ってほしかった。

他の乾作品と比べると見劣りしますが、中々楽しませてくれる内容でした。