フインキーのふんいき レビュー -75ページ目

DVD「山形スクリーム」 レビュー

竹中直人監督。
コメディテイストのホラー映画です。

山形スクリーム(2枚組) [DVD]/竹中直人,成海璃子,沢村一樹
スコア選択: ★★

美香代(成海璃子)たち4人の女子高生+先生(マイコ)は、山形県の御釈か部村に研修合宿に来ている。
ここは落ち武者が有名で、まず彼女たちは村をあげての歓迎を受けた。
が、村おこしであれやこれやとやってるうちに、”落ち武者が蘇る”というハプニングに見舞われてしまう…


竹中直人らしく、やたらテンションが高い映画になってます。
しかし、残念ながら今回は彼の奇抜さが裏目に出てしまう結果となりました。

登場キャラは誰も彼も好き勝手行動し、お気に入りの言葉を連発、ウケを狙ったような小物も演技もとにかく過剰。
見てるこっち側と映像の向こう側とではテンションが違いすぎて、全然笑えません。
ここはもう少し押さえ気味でいってほしかった。
とはいえ、これはホラーなので、ホラー目線で話をしましょう。

ホラーが苦手な人も見れる怖くないホラー映画です。
どこがホラーかというと、ゾンビが出てくることと、スクリーム(悲鳴)でしょうか。
女子高生4人のキャラ設定は浅いですが、それぞれ見せ場(スクリーム)があります。
まるで、かの有名映画のパロディのような場面も出てくるので、それを探すのも楽しいかもしれません。

また、キャストが豪華です。
これは最後のエンドロールを見て驚いてください。

笑いを求めて見ると火傷をします。
ホラー映画が嫌いな人はここから克服していきましょう。

DVD「南極料理人」 レビュー

沖田修一監督。
原作は西村淳の「面白南極料理人」。
ノンフィクション映画です。

南極料理人 [DVD]/堺雅人,生瀬勝久,きたろう
スコア選択: ★★★★

西村(堺雅人)はアザラシもペンギンもウイルスも生きていけない極寒の南極の更に僻地、ドームふじ基地に料理人として派遣される。
彼は8人の男性南極越冬隊員たちの料理を作るのだ。
基地では雪氷学者(生瀬勝久)や雪氷サポート隊員(高良健吾)らが彼の料理 を心待ちにしている。


またきた、ほんわかムービー。
邦画はサスペンスやアクションよりもほんのり笑えて温かい気持ちになれる、こんな映画が合ってるように思う。
これからも癒しムービーが増えることに期待。

ほんわかとはいえ、極寒の地。
その過酷さはしっかりと伝わってくる。
しかし、その過酷さとは裏腹に隊員たちはそれぞれ想いを持って仕事をしており、意外に明るく楽しそう。
そして何より、料理が美味しいのは最高だと思う。

この料理を作るのが主人公の西村。
日本料理、フランス料理、中華料理.etc、素材があれば何でも作れるのではないかと思えるくらい凄い料理人である。
出てくる料理は沢山、どれも美味しそうだし、みんな美味しそうに食べてる。
これは確実にお腹空いてる時に見る映画ではない。
空腹時は拷問ムービーになるため注意。

しかし、ただ料理を作って食べるだけの映画ではない、もちろん。
描かれるのは、家族から遠く離れた寂しい男たちの生き様。
電話は1分700円強、恋人と話すのも一苦労。
そんな隊員たちの姿を映してるだけも楽しい映画になっちゃうから邦画は好きだ。

また、前半と後半で、コントラストがちゃんとつけられていて、飽きずに見れるよう工夫してある。
その一つの要因として、太陽がある。
南極という特異な地理的状況より、太陽が沈まない日が続いたかと思えば、逆に太陽が出てこない日がずーと続いたりする。
それは隊員たちの精神状態にも影響を与えるわけで、長期スパンで明るくなったり、暗くなったりするのである。

特に太陽が出てこない、精神的に危ない状況で事件が沢山起きる。
でも安心して欲しい。
これはサスペンスやミステリじゃないから。

そして、ラストもやっぱり温かい気持ちにさせてくれる。
荻上 監督や中村 監督の作品が好きなら、確実にジャストミートな作品だと思う。
オススメ。

DVD「ジェネラル・ルージュの凱旋」 レビュー

中村義洋 監督。
原作は海堂尊 の同名小説。
チーム・バチスタの栄光 」の続編。

ジェネラル・ルージュの凱旋 [DVD]/竹内結子,阿部寛,堺雅人
スコア選択: ★★★★

チーム・バチスタ事件から1年後、倫理委員会の委員長である田口(竹内結子)のもとに一通の告発文が届いた。
それは救命救急センター長の速水(堺雅人)と 医療メーカーが癒着しているというもの。
そんな折、医療メーカーの営業者が院内で殺されるという事件が起こる。田口は嫌々ながら事件を追って行く。


ネタバレ注意

前作よりもスケールも緊迫感も驚きもアップしている。

序盤は医療メーカー、メディカル・アーツ営業殺人事件の犯人を追って行くという推理映画の様相を見せる。
また、それと同時に田口は速水の癒着の真相も探っていく。

田口が探偵の様に振舞う展開は前作と同じだが、一人ずつ事情を聞いて解決していくということは今回はしない。
なぜなら始まってすぐ白鳥(阿部寛)が登場するからだ。

この白鳥の存在感は絶大で、見てるものに確実な安心感を与えてくれる。
どんな言葉も行動もちゃんとした理由に裏付けされたものであり、はっきりと真相に近づいているのが分かる。
彼が持つ独特の空気感は大好きだ。

原作者が医者ということもあり、今作は表には現れない現代医療の欲に塗れたドロドロの真相が語られる。
果たして何が良くて、何が悪いのか。
考えさせられる内容になっている。

今作で一番感情が高ぶったのは、大事故で起きた緊急事態での医者たちの対応。
医者たちは医者の数、スペース、時間の制限で、助からない人をどうしても切り捨てていかなければならない。

まだ息があるのに見捨てられた人やその家族はつらいだろうな。
もし事故が大規模なものでなかったら、助けてもらえたかもしれない。
人の命を預かる医者はかけがえの無い職業だと改めて思った。

そして、忘れた頃に殺人事件の真相が明らかになり、めでたしめでたし。
中村監督らしくラストは爽やかに笑いでまとめてくれた。

小説「天井男の奇想 倒錯のオブジェ」 折原一

今回も叙述トリックもの。

天井男の奇想 (文春文庫)/折原 一
スコア選択: ★★★


古い二階建ての一軒家に大家の老女が住んでいる。
あるとき夫から逃げる若い女がそこの二階に越してきた。
この老女曰く、一階と二階の間に大きなスペースがあり、そこに天井男が隠れているという。
一軒家で繰り広げられる奇妙な3層構造でトリックは倒錯する。


これは複雑でした。
珍しく後半きちんとトリックの解説が入るので、大筋はある程度理解できるけど、それよりも途中の謎を自分の中で解すのが難しい。

そのため、読後に釈然としないモヤモヤが残る。
どうやら時間が交錯してるのか、行ったり来たりしてるようで、それが理解できてないからかもしれない。

また登場人物が少なく、整理はしやすい。
が、竹田光恵という人物の存在理由だけがよく分からなかった。
トリックに必要ない人物を度々登場させることはないだろうし、それにしては後半全然出てこないし…
この人だけぴったりはまる場所がなかったことも釈然としない理由。

タイトルの天井男から、同筆者の「天井裏の散歩者」みたいな話を想像したので、ちょっぴりガッカリなのでした。

DVD「バンテージ・ポイント」 レビュー

あるサイトで「運命じゃない人 」と構成が似てるということを目にし、期待しまくって見てみました。

バンテージ・ポイント コレクターズ・エディション [DVD]/デニス・クエイド,フォレスト・ウィッテカー,ウィリアム・ハート
スコア選択: ★★★★

SPのバーンズ(デニス・クエイド)は、首脳会談に出席するアシュトン米大統領(ウィリアム・ハート)の警護にあたっていた。大統領がスピーチを行うまさにその時、大統領が何者かに狙撃される。パニック状態に陥った広場の中で、狙撃の瞬間を目撃した者は?同じ時刻、8人の視点で物語は語られる。


まさに「運命じゃない人」を彷彿とさせる面白さ。

ちなみにどういう構成かというと…
まず、ある時間帯での出来事を一人の視点で写す。
次に、時間を巻き戻して、同じ時間帯を違う人の視点で写す。
これを8人分、繰り返して真相をだんだん明かしていくという構成です。

「運命じゃない人」と比較して…
こっちの良い点は視点が8人と多いので、一人一人が短くコンパクトで飽きさせず、終始ハイテンションで見れること。
その弊害として、一人ずつ明かされる真実が小出しで、その分驚きが少ないところ。

感想としては、意外に小さくまとまってるなぁ、といった感じ。
切り取った場面が30分ほどのことなので仕方ないですが。
これは一人一人深く描写できなかったからだと思います。

また、演出過剰のシーンもいくつか。
とにかくラストのカーチェイスはすごい迫力でした。

構成自体とても良くできていて、素直に面白いと思います。
それでもやっぱり「運命じゃない人」を見たときの感動は越えられないなぁ。