フインキーのふんいき レビュー -74ページ目

DVD「映画 ハゲタカ」 レビュー

大友啓史監督。
原作は真山仁の同名小説。
TVドラマの劇場版です。

映画 ハゲタカ(2枚組) [DVD]/大森南朋,玉山鉄二,栗山千明
スコア選択: ★★★

投資家から募ったファンドで企業を買い叩いて自身の利益を得る”ハゲタカ”の異名を持つ鷲津政彦(大森南朋)は閉鎖的な日本に愛想をつかし海外で生活していた。
そんな鷲津のもとへ芝野健夫(柴田恭兵)が現われ、外国の投資ファンドによる大手自動車会社買収の危機救済を頼む。


きっと知りたいことは、TV版を見てなくても楽しめるか?という部分と、株の知識が無くても理解出来るのか?という部分だと思います。

まず、ドラマは見てなくても分かるように作られてます。
しかし、ドラマにも出てきたであろう柴田恭兵、松田龍平、栗山千明など重要人物の説明はあるのですが、仄めかす程度なので、やはり細かい所でモヤモヤするときはあります。

次に株。
自分も株は分からないので、分からない人目線で書きます。
正直、株を知っていたらもっと楽しめただろうな、というのが感想。

大筋は元祖ハゲタカ・鷲津と赤いハゲタカ・劉(玉山鉄二)とのアカマ自動車を巡る株の奪い合いとなります。
醍醐味は株という武器を使ったハゲタカ同士の心理戦なので、その各人のシナリオが見えてこないとなかなか入り込めません。

特にラストにかけての株の上げ下げによる素早い攻防。
この盛り上がり所で、自分は意味も分からずポカーン。
大まかな流れは理解できるし、状況が一変して自分も興奮気味なのは感じる。
けど、一番の肝であるその根拠、なぜこうなった?が分からないから、悔しい。
これが理解できたら、絶対面白い!ってのが分かるから一層。

なので、素人は株を勉強してから見ると更に面白く見れるのではないでしょうか。
サブプライムなど話題がタイムリーなので、今見ることをオススメしますが。

DVD「のんちゃんのり弁」 レビュー

緒方明監督。
原作は入江喜和の漫画です。

のんちゃんのり弁 通常版 [DVD]/小西真奈美,岡田義徳,村上淳
スコア選択: ★★★

ダメな夫を見放し、実家に出戻った小牧(小西真奈美)と娘・のんちゃん(佐々木りお)。
だけど、小牧の就職活動は波に乗らず、面接で会社を放浪する日々が続いた。
そんなとき、小料理屋で運命的な味と出逢う。


タイトルから当たり障りの無い癒しムービーだと思ったあなた、当たりです。
だけど、只では終わらないのがこの映画。
ちゃんと起承転結あります。

のんちゃんにのり弁を作る話というよりは、世の中を甘く見て生きてきた小牧の成長物語。
この小牧が頑張る姿を見て、元気をもらう内容となってます。

一見すると対象は、アラサー女子のようですが、老若男女、男女問わず楽しめます。
というのも、劇中にどこかしら他人の振り見て我が振り直せ!という人たちが出てくるからかも知れません。
ダメな夫、弱気な彼、酔っぱらい客、頭弱そうなギャル、甘ちゃんの小牧などなど。

これは今の世の中を風刺してるようであり、同時に応援してるようにも感じます。

それを一番感じたのは影の主役である小料理屋の主人(岸部一徳)の存在。
最初は普通の料理人ですが、後半すごい勢いで人としての株が上がってきます。

彼は質問に対してすぐに判断は下さず、きちんと考え発言する、この映画では珍しくできた人。
ときには優しく、ここぞというときには厳しく。
小牧がこの人と出会ったのは本当に幸運な事だと思います。
こんな心の師は一生付き合っていきたいですよね。

題材が身近であるだけに、何かしら自分と重なる部分はあると思います。
それを見つけるのも楽しいかと。

DVD「カムイ外伝」 レビュー

崔洋一監督。
原作は白土三平の漫画です。

カムイ外伝 [DVD]/松山ケンイチ,小雪,伊藤英明
スコア選択: ★★


忍者カムイ(松山ケンイチ)は抜け忍となり、追っ手の忍者から必死に逃げている。
ある日、漁師の半兵衛(小林薫)を助けたことでカムイはその家族に歓迎されるが、そこにいたのは伊賀の抜け忍・スガル(小雪)だった。


原作の漫画は読んだことないですが、冒頭に出てくる格好良いタッチの絵からして面白そうな雰囲気が出ています。
期待して見てみると、アレ?おかしいな、目が…

冒頭でヌルヌルと飛んだり跳ねたりする動作はワイヤーアクションだと思うんですが、スローだし、動きもぎこちないしで、結構ダッサイ。
それに加え、全編通してCGを多用しすぎていて、映像に安物感が出てしまっています。
チョイ前ならいいですが、今の3D時代にこれじゃあダメでしょう。

ストーリーも残念。
途中まで作って、話を広げすぎたのか、着地点を見失ってしまってる印象です。
とにかく、どれもこれも説明不足で、不親切。
最後の皆殺しの理由も”凡人だから!”じゃ、こっちは納得しないよ。

役者はいい演技してるのに、勿体無い.
ラストの決闘シーンはコメディにさえ見えてきました。
もっと世界観を狭くしても良いから、丁寧に状況を描いて欲しかった。

小説「カッコウの卵は誰のもの」 東野圭吾

東野圭吾らしい心温まるミステリ。

カッコウの卵は誰のもの/東野 圭吾
スコア選択: ★★★★

スキーヤーの緋田風美はその卓越した技術と能力で将来を嘱望されている。
スポーツと遺伝子の関係を研究している企業は風美の遺伝子から類まれなるパターンを発見し、その裏付けのため元日本代表である風美の父親にも検査を依頼していた。
しかし、父親から一向に検査の了解を得られない。
そもそも、風美の父親には絶対に打ち明けれらない秘密があった。


序盤は風美という”金の卵”を父親と企業が取り合うというような様相を見せる。
才能よりも努力が大切という父親と、努力よりも遺伝子による突出したポテンシャルが大事だという企業側。
タイトルからも、この対極にいる二つが才能を奪い合うという話なんだろうな、と思った。

でも、徐々に雲行きが怪しくなる。
それは一通の脅迫文から始まった。
この手紙によって、話は違う方向に進んで行く。
じゃあ、こっちが本筋かな、とまた思った。

しかし、意味のないサイドストーリーを東野圭吾が書くはずもなく、読者はまんまと策に嵌っていくのである。
実はこれも巧妙に仕組まれた伏線で、全てこの”金の卵”を中心に回っていたことに最後になってようやく気づく。
あっぱれあっぱれ。

ストーリーもさることながら、会社側と父親の関係、父と娘の関係も特筆したい。
何事にもまっすぐな父親、それに感化され変化して行く周りの状況や関係。
それが家族であれ、他人であれ、影響され信頼や愛情が生まれる様子は、とても清々しく温かい。

そして、一気に収束して行くラストもまた良い。
まるで良作映画を見終わった後のような、心地よい余韻が残る作品だった。

小説「友情、初恋」 武者小路実篤

ふと古本屋で目についたこの本。
ちょうど文学小説に興味があったので読んでみた。

家に持って帰ったら既に書棚に2冊もあったのだけれど…

友情;初恋 (集英社文庫)/武者小路 実篤
スコア選択: ★★★★

友情と初恋という2つの短編が収められている。
友情はフィクション、初恋は筆者自身を描いたノンフィクションで、友情は初恋の5年ほど後に書かれたものらしい。

まず友情から。
読み始めてみると最初こそ昔の喋り言葉が読みにくく、なかなか頭に入ってこない。
が、それに慣れてしまえば、今の小説と一緒で面白く読めるようになってくる。

途中まではこんな感じだった。
文学小説といえども普通だなぁ、なんて。

しかし、真髄は最後の手紙のやりとりなのだと、ラストでやっと気づく。
今まで割かれた出来事はこのラスト数ページのための布石であり、この手紙で描かれる差出人の心情変化には誰しもハッとしてしまうものがあろう。

それにしても、ここに出てくる親友の大宮は何てできた人間なんだろう。
読んでいて彼に共感できる部分は沢山あった。
彼の心情や行動は模範的で、立場上そうしなければいけないのはわかっているけど、実際自分がそこに立たされたら、ここまで友情一本で進むことはできない…

読むと誰しもどこかに共感できる部分があると思う。
そして、この難題に頭を抱え、若いうちに感受性を鍛えていくなんぞ、なんと文学らしいことか。
やはり、これは10代のときに読んで、心に刻んでおくものだと感じた。

初恋に関してはノーコメントで(笑)