フインキーのふんいき レビュー -60ページ目

CD「さすらい記」 ハンバートハンバート

ハンバートハンバートの7枚目のアルバム。
DVDなしの方を買いました。

さすらい記(初回限定盤)(DVD付)/ハンバート ハンバート

¥3,300
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スコア選択: ★★★★


2年ぶりのアルバム。
実際、彼らを知ったのは最近で、まだにわかなのですが、とっても好きなアーティストです。

今回はジャケットからも音からも温かみが感じられる作品となってます。
パンフから引用させてもらうと、

日が暮れる街、いつか見た風景…
涙を流さずにいられないそんな時、
ハンバートハンバートの歌がある。

うん、ぴったり。
特に聴いててしっくりくるのが、3曲目、4曲目あたり。
3曲目はこのアルバムのメインナンバーでしょう。
この曲は力強いサビが印象的な曲。
で、4曲目は秋の夕暮れが似合う、切ないメロディ、やるせない歌詞の曲。

相変わらず二人のハーモニーは絶妙で、よい気分にさせてくれます。
先行で出した曲はバージョンを変え収録され、新しい気分で聴けます。
CMで流れてる「アセロラ体操のうた」なんか、歌詞が全く違うという。

全体的にみたら、しっとりした曲が多いです。
何だか、涙が出てきそう。
この時期聴くと…心にくる。


アセロラ体操のうた

映画「乱暴と待機」 レビュー

冨永昌敬監督。
原作は本谷有希子の戯曲です。

乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)/本谷有希子
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スコア選択: ★★★★

番上(山田孝之)と妊娠中の妻・あずさ(小池栄子)は、とある田舎に引っ越した。
が、偶然にもあずさの高校時代の同級生の奈々瀬(美波)と近所で遭遇。
奈々瀬はその田舎で英則(浅野忠信)と兄妹のフリをしながら同居していた。


のぞき、失禁、おしり、ゲーム人生、なんでもありの内容でした。
まぁ、PG-12だからそこまで過激ではないけれど。

登場人物はキャラ立ちしていて、ひとつひとつの行動を見てみても、異常に奇抜なため、これはネタ映画だと勘違いする人もいるかも知れないです。

・人の顔色を伺いすぎて、初対面の人にお金を払う奈々瀬
・ジョギングと偽りのぞきをする英則
・窓から家の中に自転車を突っ込むあずさ
・浮気をするニートの番上

しかし、最後まで見てみると、あら不思議。
みんな少しだけ変わった普通の人に思えてくる。

誰がどこまで演じていて、どこまで本心なのか。
これは最後のほうに明かされます。

そうだったのかぁ、納得。
最初はハチャメチャな内容かと思ったけど、下手な人間ドラマよりよっぽど深いストーリーでした。
この人間関係、ちょっと触ったら破綻しそうだけど、ギリギリでバランスをとってる感じ。

納得できない部分ももちろんある。
でも、どうでもいい。
人の考えなんて分かるわけないから。

という、大人な映画でした。

小説「インシテミル」 米澤穂信

映画化された作品です。

インシテミル (文春文庫)/米澤 穂信
¥720
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スコア選択: ★★★★

時給11万2000円に惹かれて集まった12人の男女。
そのバイトとは一週間、鍵の無い部屋で過ごす、それだけ。
しかし、一人一つ武器が与えられ、殺人を行うと報酬が増えるというルールのために、みな疑心暗鬼になる。
そして、最初の殺人が起爆剤となり…


バトルロワイアル的な内容かと思ってたんですが、割と知的な内容です。
ただの殺し合いではなく、そこには主催者の意図がいくつか含まれています。

キーパーソンはお金に困って無さそうなのに応募してここにいる、お嬢様の須和名。
彼女の本当の目的は何なのか?
これが分かれば主催者側の意図も見えてきます。
まぁ、そんなことが分からなくても楽しめます。


この作品の肝である、どこにも逃げ場のない恐怖感はしっかり伝わってきます。
通常、ラストに近づくほど怖くなってくると思うんですが、これは中盤あたりが一番怖い。

逆にラストは安心感すらでてきます。
また後半になるほど、加速度的に面白さは増していきます。

謎解きは1転2転して、意外な真相に落ち着きます。
登場人物のことを全て語らず、想像に任せる部分は賛否両論ありそうですが、自分は続編に期待させるこの終わり方はいいと思います。

映画はがっかりしそうなので、DVD待ちで(笑)

小説「四度目の氷河期」 荻原浩

個人的な最近の流行り、荻原浩
これは完全にタイトルで損してる作品だと思います。
こんなに面白いのにな…

四度目の氷河期 (新潮文庫)/荻原 浩
¥820
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スコア選択: ★★★★★

情報が少ないがために起こった壮絶な勘違い。
こんな面白い勘違いがあるなんて知らなかった。

母子家庭のワタル(小学生)は思う。

・なんで僕の髪は茶色で巻き毛なんだろう。
・なんで顔の作りが皆と違うんだろう。
・なんでみんなより力が強く、足が速いんだろう。
・なんでこんなに体が大きのだろう。           → 自分の父はクロマニョン人だからだ!


え、なぜに?

と、今なら言える。
けど、自分が小学生のころはどうだったろう?と考えると、この周りとの違いすぎる状況ではそう思えるかも知れない。
しかも、あまり情報が入ってこない時代の田舎だと特に。


そんなワタルは、どんどん自分の考えが正しいと信じこんでしまいます。
しかし、そこで一人の少女サチが登場。
都会から来た彼女は一匹狼のワタルと仲良くなり、ワタルを正しい方向に導いてくれます。
これが序章。
こっから18歳になるまで、ワタルの心の成長は続きます。

これからの長い年月、様々なことがあります。
ときには笑い、ときにはドキドキとし、ときには心を抉られるような悲しさに襲われます。
それを乗り越えるワタル。
その支えとなるのは、母と友達のサチ。
彼女たちとワタルとのやりとりはどれも印象的で、思い出すと涙腺が刺激されます。

最後はちょっと意味深な終わり方だけど、ハッピーエンドと信じたい。
重松清が好きなら、絶対面白いと思える作品だと思います。

小説「押入れのちよ」 荻原浩

荻原浩 の短編小説集。

押入れのちよ (新潮文庫)/荻原 浩
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スコア選択: ★★★★

表題作含め、9篇収録されいます。
タイトルから、日本の童話のような話が多いのかなと思ったんですが、外国の話や現代の話まで様々でした。
コメディあり、ブラックユーモアあり、ホラーあり、感動ありです。

内容的に共通点はないのですが、どれもすんなりとは終わらず、何かしら趣向が凝らされています。
一つ一つの話が短いので、サラッと読め、適度な驚きが得られるので、長編はちょっと時間がかかって読めないっていう人にぴったりだと思います。

個人的に好きな話は、表題作の「押入れのちよ」。
ちよは古アパートに住み着く、座敷わらし。
最初は新しく入居した青年に気味悪がられるも、その愛らしいキャラクターによって仲良くなっていきます。
ちよのおばあちゃん口調、幼い行動、その描写にほんわかにんまり。
ずーと読んでいたいなぁと思ったくらいです。

表題作だけでも読んでみる価値はあるんじゃないかな。
次点は「コール」でした。

知ってるかい、幽霊も涙を流せるんだよ。