フインキーのふんいき レビュー -56ページ目

DVD「誘拐ラプソディー」 レビュー

榊英雄監督。
原作は荻原浩 の小説です。原作既読。

誘拐ラプソディー 特別版 [DVD]/高橋克典,林遼威,船越英一郎
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スコア選択: ★★★

誘拐…だまして、人を連れ去ること(犯罪です)
ラプソディー…狂詩曲(自由な形式により、民族的または叙事的内容を表現した器楽曲)

つまり、「誘拐ラプソディー」とは、子供をだまして、車で連れまわすという狂詩曲(??)
よく分かりませんね。

借金まみれで人生に疲れ、公園で自殺に失敗したヘタレな男・伊達秀吉(高橋克典)の目の前にふと現れたお金持ちの少年・伝助。
そこで秀吉はふと思いつく。
そうだ!誘拐しよう。

そんな姿を見た観客は思う。
こんな安易な発想がうまくいくはずがない。
そう、うまくいかない。

秀吉の誘拐は発想が軽いものだけに、行動も軽い。
伝助とは仲良くなっちゃって、名前も顔も覚えられちゃうし、身代金要求の電話は声色を変えてるだけ(笑)
何とも憎めないやつ。

ヘタレだけど心の優しい男・秀吉と、世間知らずのボンボンの伝助。
この二人のコンビネーションは抜群で、子供っぽい秀吉がコンビニ弁当の味も知らない伝助に人生のイロハを教える構図は見ていて微笑ましいものがある。
これら心温まるやりとりは小説の雰囲気を崩してなくて良かった。

そして、ラスト。
これは小説の方が感動度は上。
展開知ってるから、そこまで来なかったのかも。
初めて見る人はもう一つ★加えていいかも。

DVD「さんかく」 レビュー

吉田恵輔監督。
キャッチコピーは「好きになるのは、カンタン。好きでいるのは、ムズカシイ。」だそうです。
三角関係の話。

さんかく 特別版(2枚組) [DVD]/高岡 蒼甫,小野 恵令奈,田畑 智子
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スコア選択: ★★★★

同棲をしているカップル、百瀬(高岡蒼甫)と佳代(田畑智子)の家に、夏休みを利用して佳代の妹・桃(小野恵令奈)がやってきた。
3人ひとつ屋根の下で暮らすことになったわけだが、桃の登場により少しずつ2人(百瀬と佳代)の関係が変わってくる。

それは桃の百瀬への行動に依る。
ハニカミ気味で「カッコイイ」と言ったり、ふと手を繋いだりと、何気なくその気にさせるような言動をとるのだ。

彼女の妹は中学生。
手を出したらマズい…だけど。


非常に心理状態が分かりやすく、百瀬がどんどん泥沼に嵌っていく様子が上手く描かれています。
机のなかみ 」といい、この監督は男の痛いところを突いた心理描写が上手ですね。

前半は百瀬と桃の探り合いの展開。
後半は打って変わり、追っかけ合いになります。

これが結構ヘビーで、前半の軽いノリはどこへやら。
それを乗り越えたときの安堵感、安心感は半端ない。
それだけに強い後味を残す作品になってます。

特に不満がないってことが一番の幸せだったりするんだな、そのときは全然気づかないけど。
そんな内容。

DVD「半分の月がのぼる空」 レビュー

深川栄洋監督。
原作は橋本紡のライトノベルです。

半分の月がのぼる空 [DVD]/池松壮亮,忽那汐里,大泉洋
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スコア選択: ★★★★★


この監督が作る映画はハズレがない。
というか自分の好みにすっぽりはまった作品が多い。

その作品は雰囲気が温かくて、必ず驚きを与えてくれる。
この映画もご多望にもれず、心地良い驚きと感動をくれるものとなっている。

主役は個人的に注目している役者の池松壮亮。
彼の演技はいつも自然体で、演技ってことを感じさせない、最近の若手では稀有な存在。
今回の役柄は病院で清楚な少女に恋をする少年です。

その相手役の忽那汐里。
彼女の演技は初めて見たんですが、このツンデレっぷり、なかなか好きかも。
ポッキーのCMのイメージがあるから、病気の彼女はあまり想像しにくいところはありましたが。

今回の主役2人は華がない、なんて言う人もいるけど、下手な役者のために作品が叩かれるよりよっぽどマシ。
中身がいいから、そんなことで評価されたくないもんね。

内容は、少年少女の小さな恋のものがたり。
病気ものだし、雰囲気は「LittleDJ 」に似てます。

個人的に好きなシーンはベッドでシーツを被って2人で会話するところ。
あの場面の告白は、完全に心を持ってかれて、もう駄目だった。

そして、後半の…
ラストが予想できただけに、途中でこうなるとはとても驚いた。
最初、何だか映像が古臭いな~なんて思ってたけど、コレにはちゃんとカラクリがあります。
それは見てのお楽しみ。

小説「ねじの回転」 恩田陸

二・二六事件を舞台にしたSF小説。

ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)/恩田 陸
¥500
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スコア選択: ★★★

歴史的危機を救うため、その原因を排除するべく過去に戻り、史実に沿いながら歴史を変えていく、そんな話。

SFなんだけど、どちらかと言えば歴史モノって感じが強い。

過去に戻って、色々と変えてやろうという話は結構あるけど、今回はちょっと制約がある。
それは歴史的に重要な出来事が変わってしまうと、やり直さなければいけないということ。

何だか都合のいい設定ですね~。
歴史的に重要な出来事が変えられないなら、そもそもこの話の根底にある未来の重要なこと(歴史的危機)も変えられないじゃん!って思っちゃうのは自分だけ?

歴史色が強いため、自分は苦手な分野でした。
でも、SFならではの驚き、あーそうだったのか!というヒラメキが得られるのは良い。
映画の「サマータイムマシンブルース 」のようなね。

二・二六事件を知っていると更に楽しめると思う。
知らなくても楽しめます。

小説「ビタミンF」 重松清

Fから始まる言葉をモチーフにして作られた短篇集。
直木賞受賞作です。

ビタミンF (新潮文庫)/重松 清
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スコア選択: ★★★

さすが重松清、安定感のある面白さ。
個人的にはFはFatherが一番しっくりくると思いました。
Familyでもいいかな。

重松清の本は読んでていつも、子供のときに読んでればなぁと思います。
子供の頃に読んでたら、何を思ったかな。
子育てが大変な親の気持ちも少しは考えられたかな。

でも、子供のころはちょっとしたことでも世界の終わりのような気持ちになってたから、多分ムリだろうなぁ(笑)

今回の話の中では「なぎさホテルにて」が好き。
未来の恋人に宛てる手紙、情緒があるなぁ。
人生そんな上手くいかなくても、どこか救いがあるところがまたいい。

よし、いつか子供ができたら読ませよう。