トワイライト、新版画 ―小林清親から川瀬巴水まで
今日は東京駅で下車し、三菱一号館美術館に行ってきた。「トワイライト、新版画 ―小林清親から川瀬巴水まで」展である。アメリカ合衆国のスミソニアン博物館群のひとつである国立アジア美術館から借用した浮世絵、新版画、写真を中心に構成されている展覧会。撮影可の展示室の壁に描かれた、小林清親の「大川岸一之橋遠景」の人力車にのる女性と車夫たち。各展示室にこのような装飾があり、それを見るのも楽しかった。所蔵先の記載がないものは、スミソニアン国立アジア美術館所蔵の作品である。〈小林清親〉まずは、最後の浮世絵師と言われている小林清親の作品。「大森朝乃海」 版元:福田熊次郎 明治13年 錦絵 大判「大川岸一之橋遠景」 版元:福田熊次郎 明治13年 錦絵 大判解説パネルに「女性の髪形は「つぶし島田」のようで、粋筋の女性らしい」とあり、え、このシルエットでそんなところまで分かるのか?と、ぐぐぐっと近寄って撮影。うーむ。良く分からない。また、解説パネルには「人力車にはつながれた綱を引く男がその前におり、通常より早く走れる二人引きだとわかる」とも書かれており、灯をもっている人が車を引いているのは分かるが、その前の走っている人は何だろうと思っていたのだ。よく見ると綱が見える。なるほどねえ…。さらに、パネルには「人力車もまた明治3(1870)年に発明された開化の乗り物だった」と書かれており、大変勉強になった。「浅草夜見世」 版元:福田熊次郎 明治14年 錦絵 大判版画の部分だけにしてみる。手前のシルエットで描かれている人々も雰囲気があるが、背景も素敵である。「名所江戸百景 日本橋江戸ばし」 歌川広重 版元:魚屋栄吉 安政4年 錦絵 大判 三菱一号館美術館ここで、歌川広重のユニークな構図の浮世絵が展示。桶の中の魚がちょろっと見えているのも良い感じである。そして…「武蔵百景之内 江戸ばしより日本橋の景」 小林清親版元:小林鉄次郎 明治17年 錦絵 大判ぱっと見て、こちらも歌川広重の作品?と思ったのだ。が、よく見ると描かれている背景に洋風建築もあり時代が違うことが分かる。え、小林清親ってこんな作品もあるのか!と大変驚いたのであった。こちらも桶の中から魚の一部が見えているのが良い感じである。〈井上安治〉次は、小林清親の弟子であった井上安治。「東京真画名所図解 鹿鳴館」 井上安治 明治16–22年 錦絵 四つ切判「東京真画名所図解 浅草蔵前通」 井上探景(安治) 明治17–22年 錦絵 四つ切判この灰色、赤茶色、白の組み合わせがとても素敵である。「東京真画名所図解 桜田参謀本部」 井上探景(安治)明治17–22年 錦絵 四つ切判 三菱一号館美術館空の表現に、木版画らしい凹凸も見られて味わいがある。ここで写真撮影可は終わり。〈チャールズ・W・バートレット〉イギリスの画家であり版画家。大変良かった。今後はチェックしなければ…と思った。「岩淵」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗) 大正5年 木版多色摺 大判 背景に富士山。富士川(多分)にかかる木橋が中央に描かれ、手前は川岸で船に荷物を積み込む様子、荷車で荷物を運ぶ人、車を引く馬も描かれている。優しい色合いでとても良い。「牛臥」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗) 大正5年 木版多色摺 大判 青い色がとても良いと思った作品。「磯子」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗) 大正5年 木版多色摺 大判「京都」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗) 大正5年 木版多色摺 大判 石橋を渡る人々を描いている。ほとんどの人が後ろ姿で、それも面白い。手前に広く空間が取られておりユニークな構図だと思う。〈高橋松亭〉今までノーマークだったが、今後はチェックしたいと思った。「都南八景之内 品川」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正10年 木版多色摺 大判 帆を下している船から桶を海に落として海水を汲んでいるところ?筵が干してあるようなので、一仕事終わって片づけたところといった感じか。「都南八景之内 池上」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正11年 木版多色摺 大判 きれいな朱色で描かれた池上本門寺総門。旅装束の男性2人が少し上を見ながら何やら話している様子。「都南八景之内 市の倉」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗) 大正11年 木版多色摺 大判 雪景色。かなり雪が降り積もっていると思うが、手ぬぐいが干されていたり、その奥は障子が見えていて、障子だけでは外気の寒さがダイレクトに室内に届くかも…寒そう…と思った。「伊豆稲取」 高橋弘明(松亭) 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正15年 木版多色摺 大判 三菱一号館美術館 伊豆の稲取湾に浮かぶ3艘の木造帆船。夜空が美しい。〈伊東深水〉伊東深水といえば美人画のイメージだったが、風景を描いた版画も大変魅力的だった!「近江八景 石山寺」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正6年 木版多色摺 29.9×20.0cm 夜景。もったりとした闇の感じがとても良い。「近江八景 比良」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正6年 木版多色摺 19.8×29.5cm 強い風になぶく葦と波が立っている湖面。後ろに比良山系が藍色で描かれ、空は灰色。「近江八景 粟津」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正6年 木版多色摺 20.0×29.7cm 青空にもくもくとした雲、藍色で描かれた山々。ひょっこり、にょっきりとまるでチンアナゴがひょろっと伸びたように描かれている松。木こちらも比良山系。小さく黒い馬?牛?を引く人物が描かれている。〈川瀬巴水〉最後の展示は、大好きな川瀬巴水。「東京十二題 五月雨ふる山王」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正8年 木版多色摺 大判 日枝神社の優し気な朱色の山門の前に、傘をさして女の子を背負う女性。傍らに首輪をつけた白い犬がいる。淡い色彩がとても良い!「東京十二題 井のかしらの残雪」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正9年 木版多色摺 大判 山奥のゆったりした風景を描いたのか…とパネルを見てビックリ。よもや井の頭公園だとは思わなかった。 1917年(大正6年)に開園した井の頭公園を描いた作品とのこと。ほう…。「東京十二題 品川沖」 版元:渡邊庄三郎(渡邊木版美術画舗)大正9年 木版多色摺 大判 芝生の色が美しいお台場と杭(「澪杙」というらしい、航行の目印)の間を進む白い帆の船。どこで見ても、いつ見ても、やっぱり好きな作品。多色刷りを体験できるコーナー。こういうのは大好きである!おおお!すっかり春の様子。