12月8日に訪れた「上野アーティストプロジェクト2025  刺繍―針がすくいだす世界」展の続きである。

 

伏木庸平(1985〜)

 解説パネルによると「伏木の手から生みだされるかたちは、誰でもがそれであると認識できるような何かではない。伏木によれば、ある時想起されたイメージを、時間をおいてたどりなおしながら、刺していくような感覚があるという」とのことだ。

 

「こもんべべ」 2023-2024 糸、布、石、鉄 170×40×40 作家蔵 

 

 

ぱっと見るとフェルト?もこもこしているような感じがあるが、よく見ると…

 

 

細かいステッチなのである。
伏木庸平氏の作品は平面ではなく立体、巨大なものもあった。ふむ、これも刺繍と思うと、刺繍での表現の幅の広さを感じたのであった。

 

望月真理(1926〜2023)

 自ら仕立てた家族の洋服などに施すための西洋刺繍から始め、50歳を過ぎた1970年代末に「カンタ」に出会ったとのこと。

 

「一番初めに作ったカンタ 」 1979 糸、布 35×38 個人蔵 
 

 

「カンタ」は、インド・西ベンガル州とバングラデシュにまたがるベンガル地方の女性たちによる手仕事。使い古された木綿布を何枚も重ねて、刺し子のような地縫いと、模様を表すステッチが施されているものだそうだ。

 

 

ぱっと見は「刺し子」のように思ったが、単眼鏡で見ると「刺し子」と「ステッチ」のコンビネーションであることが分かった。

 

「カンタの教科書」 個人蔵

 

 

望月真理氏がカンタと出会った当時、すでに伝統的なカンタを作る人がほとんどいなかったそうだ。こちらは、望月氏が「教科書」とした古いカンタ。

これを参考に構造や刺し方などを独学されたとのこと。ほう…。

 

「楽しい地球 」 1995 糸、布 124×124 個人蔵 
 

 

124×124の大きな作品。

69歳の時の作品で、下書きなしで中央から差し始めたらしい。

 

 

細かく見ると、大変楽し気な動物などが描かれている。下の4羽の鳥なんて可愛い!

 

「中国の山あいの村 」 1996 糸、布 55×76 個人蔵 
 

 

よく見ると様々なステッチが使われている。

牛と器具を使って畑を耕しているような人物が好きだ。

 

 

「茶敷、鍋敷  15点 」 糸、布 個人蔵  
 

 

日常使いの茶敷、鍋敷にするにはもったいないような。

飾って楽しみたい作品ばかりである。左下の作品はこれ。素敵。

 

 

「ショール」 2001 糸、布 個人蔵

 

 

こちら75歳頃の作品だそう。

自身で藍染めした布に、透かし刺繍がされている。

 

 

これが美しい。

75歳になってもこんなに精密な刺繍ができるとは…素晴らしい。