今、高校2年生の文法の授業で、「動名詞を目的語にとる動詞」「不定詞を目的語に取る動詞」などのまとめをやっています。“megafeps”と聞いて「ああ、昔やったな...」と懐かしく思い出す人も多いのではないでしょうか?

...上に述べた話とも多少関係するのですが、「...すること」という同じ訳語になってしまう動名詞と不定詞の使い分けについて、微妙に納得できないことがあります。

「私の趣味は切手集めです。」

を英語にすると

1. My hobby is collecting stamps.

になります。be動詞の補語には動名詞を使っています。

ここで、代わりに不定詞を使って

2. My hobby is to collect stamps.(×)

とするのは正しくありません。

何故かというと、不定詞には「これから~する」という未来志向の意味があるので、「趣味」のように、既に日常的に行っている行為とは相性が良くないわけです。

不定詞の未来志向とは逆に、動名詞は「現実のこと」を述べるのに使われることが多いので、hobbyについて述べるのには適しています。

...逆に次のような例もあります。

「私の夢は自分の本を英訳して、アメリカで出版することです。」

の英訳は

3. My dream is to translate my book and publish it in the US.

ですが、動名詞を使って

4. My dream is translating my book and publishing it in the US.(×)

としてしまうのはまずいです。理由は、先ほどの2.がおかしいのと同様です。dream はまだ実現していない、これから先のことなので、未来志向の不定詞を使うのが正しいわけです。

...ここまでのことは理屈で考えて納得できるのですが、次の“job”に関する話は、皆さんはどうお考えでしょうか?

次の4つの文は、インターネット上でやりとりをしたアメリカ人が作ってくれたものです。それぞれの組は、太字の部分以外はほぼ同じ文ですが、6.のみが「自然でない」と判定されています。

5. My hobby is helping people learn English. -sounds natural
6. My hobby is to help people learn English. -doesn't sound natural

7. My job here is to help people learn English. -sounds natural
8. My job here is helping people learn English. -sounds natural

hobbyにはto不定詞は使えないのに、jobの場合は、不定詞、動名詞どちらを使ってもOKらしいのです。何故でしょう?理由について、このアメリカ人は

「6.だけがnaturalと感じられない理由は分からない」

と正直にコメントしてくれました。

私の語感だと、“job”も“hobby”も、「現在携わっている活動」である点は共通のはずです。なのに何故、上に述べたような違いが生まれるのでしょう?

あまり納得のいく説明は出来ないのですが、あえてこじつければ、次のようなことは言えるかもしれません。

・job(仕事)は、日頃行っている活動であるのと同時に、将来に向けて新しいgoalを定め、それに向かって行動するものなので、未来志向の不定詞を取ることもできる。

・hobbyは、goalに向かって進んでゆくものではなく、あくまで楽しむための行為そのもので、未来志向はないので動名詞のみを使う。

しかし趣味だって、「新しい切手を集める」行為は、これから取り組むことなので、未来志向がゼロな訳ではありません。...いろいろ考えているうちに、

「そもそも“My hobby is to ~”と言ったり、“My dream is ...ing”というのは許しがたい間違いなのか?」

と思うようになってきました。

「通じればいいんだよ、naturalに聞こえなくても!コミュニケーション上の不都合はないのだから!」

と吠えたい気分です。

でも、それが出来ないのが、学校の先生の辛いところです。数学の先生が

「計算の答えなんて、大体あってれば良いんだ!」

と言えないのと同じです。