倉庫のすみっこで、
ほんと落ち込むみたいにして、
柏木さんが、
木箱かなんかに座ってたの。
あ、やばいとこ見ちゃったって思って、
わたしすぐ、見てたとこ
ばれないように逃げようと思ったんだけど、
なんか見つかっちゃって、
呼び止められたんだ。
「見てたろ?」
いきなりそう言われた。
わたし首をいっぱい横に振って、
「え、なにがですか?」
「俺が落ちこんでんの、
今そこで見てたろって、」
「え…、落ち込んでるんですか?
どうかしたんですか?」
なんか馬鹿みたい。
でもわたし、
素知らぬ感じでそう答えてた。
彼は、誰かに話
聞いてほしかったんだよね、きっと、
なんかいろいろ話し始めたんだ。
「今日さ、人事会議あったろ、
そこで言われたんだよ、俺さ、
来期もここだってさ、東京戻れないんだ」
「どういう、ことですか?」
わたし、少し圧倒されちゃってたのね、
柏木さんと面と向って
話すの初めてだったし、
なんか、はきはきした感じだしね。
「わかんだろ、またここでやんだよ、
こんなくそ田舎でさ、
見る目ない客ばっかだろ、
売り上げだって大してないしさ、
客質だってわりいのに、
ここじゃスキルなんて上がんないだろう」
それは単純に、
わたしの地元をけなしている言葉だった。
だけどわたし、なんか勘違いしたみたい、
その時はね、
彼が、仕事上手くいかなくて、
自暴自棄になってて、
それがなんだか、
いっつも気丈に見えてた柏木さんからは
全然想像つかなかったから、
なんだろう、どうしてだろう、
なんだか可愛そうにも思えちゃって、
「だいたいさ、ここの連中、
ビジネス全然わかってねえし、
ここにいたら、俺も一緒に落ちぶれるだけだし」
この田舎にいたら、落ちぶれる、
そして、ここの人たちは、落ちぶれている、
それは、
わたしが聞いちゃいけない言葉だったと思う。
それなのに、わたし、
「研修みたいなものじゃないんですか」
「これが?」
彼は箱から立ち上がり、わたしをじっと見つめてた。
わたしは、
「はい、地方で少し量販直接やって、
それで東京戻るって」
「誰が、誰が言ってた?」
「いえ」
わたしは彼が近づいてくるから、
一歩後ろに引きながら、
「え、みんな、そう言ってます。
そういう人、そうやって本社戻った人、
結構いるって聞きましたよ、
だから柏木さんも、きっとそうなんだって、
わたしは、思って」
「ふんっ」
彼は息を強く吐くと、
そのまま背中向けてどっか行っちゃった。
なんだか、
これだからねえ、
東京から来たすごい人、
みたいに思ってた人と、
最初にちゃんと喋ったのが、
これだからね。
プロジェクト578日目。
――――――――――――――――――――――――――――
2020/2/7 578日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
――――――――――――――――――――――――――――
kindleでは「セノイピープル」「バスストップ」「悲しきウスバカゲロウ」が読めます→
https://www.amazon.co.jp/s/ref=dp_byline_sr_ebooks_1?ie=UTF8&text=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&search-alias=digital-text&field-author=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&sort=relevancerank
『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html









