順平は、しばらく彼女の話を聞いていて、
ある疑念にかられ、
そればかりを考えていました。
車の中で、
柏木という男に、強引に迫られた、
そうした経験を持つ彼女が、
なんでそんな彼女が、
モーテルの一室に
自分といるのかってことです。
しかし、
それを率直に聞くことなんてできません。
いい方にとれば、
柏木と違い、自分ならよいということか、
いや、
今自分は試されている、
軽はずみな男じゃないってことを、
いやいやしかし、
ミクちゃんがそんな深慮をもって、
自分を試すなんて、
なんのために?
とにかく、順平と、
ミクちゃんの話に出てきた柏木の共通点は、
東京出身で、
この群馬で、
一時的に働いているということだけなんです。
かすかに、ミクちゃんの髪からでしょうか、
シャンプーのような香りが流れていました。
順平は首を小さく振ると、
「そういえば、、、その柏木さんって、
東京戻ったのかね」
「知らないよそんなのお、
わたしやめちゃったからね、」
そりゃそうだよな、
戻ったにしても戻らないにしても、
どうせ柏木は、
どこへ行っても、
すかした感じで人と接して、
プライドとともに生きているんだろう、
順平は、
見たことはないのですが、
スーツを着て颯爽と歩く、
切れ長な目をした男の姿を
想像していました。
自分とは、
似ても似つかない、
東京ったって、
まあ、いろんな生き方もあるから、
それで比較したって
仕方がないんだけれど、
そう考えて、
「いろんな人いるからね、東京も」
「でもあの人は、典型的な東京の人」
ミクちゃんのその返しに、
順平は少し笑いを含んで、
「典型的ってなんだよ、
典型的もなにも、いろんな人いんだから、
そんなのないじゃん」
「ううん」
ミクちゃんは首を振ると、
「あるよそういうの、
こっちの人は純朴なんだから」
「そりゃさ、東京に抱いてる、
こっちの人の印象なんでしょ、
人なんてそんな簡単にカテゴライズできないよ」
「かてごらいず?」
「まあ、分類っていうか、分けれないから、
それに、田舎の人が
純朴っていうのもどうかと」
「純朴だよ、みんな田舎もんって思ってるんだから」
「そんなもんかな…」
群馬だって、県でいえば人口は100万を超えるんです。
それで全員が純朴って、
どういう世界なんだろう、
そもそも田舎ってなんだろう、
順平はよくわからなくて、
また、柏木という男と、
自分の境涯を比較していました。
俺なんかより、よほどマシだろう、
彼はそう思いながら、
まっすぐにこっちを見つめている女の顔に
目を凝らしました。
もはや、照れのようなものはありませんでした。
「でも…、」
彼女は少し間をおいてから、
「順平くんって、東京なのに、
全然違う」
さっきまでの話、全部矛盾させるような言葉でした。
「そうかなあ」
田舎っぽいってことだろうか、
順平はそう思いました。
プロジェクト588日目。
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2020/2/17 588日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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