ドライブ行ったのね、
まあ…、どうってことない、
ふつうのね、軽井沢の方、
行っただけで…、

(ミクちゃんはここで少し話すのをとめて、
じっと天井というか、
部屋の壁の方を見つめていました。
なにかを、思い出していたんでしょうか
彼女は柏木とのドライブを
初夏のことだと言っていました。
新緑が萌えるいい季節だったと思うのです。
でも、彼女にとって、
そんなことどうでもよくて、
おそらく、
そのドライブの光景なんでしょうか、
それを思い出していたんです。
彼女は細かな過程については、
特になにも語りはしませんでしたが、
きっとそうなんでしょう、
そうして、夜になるまでの間、
どういうふうに心が流れていったのか、
ただ自分の中だけで、
噛み締めていたに違いありません)

夜になったのね、
きたかる(北軽井沢周辺のことです)からの帰り道、
もう暗くなってて、
山ろくの山道抜けて、
あとは嬬恋の方向へ
まっすぐな道になったんだけど、
対向車も、ほとんど来ないくらいのとこね。

「家、送ってくよ、」
柏木さんはそう言ってくれて、
でもなんかちょっと、
口数が少なくなってて、
なんか車って、すっごい密室でしょ、
息する音も聞こえるくらい、
ラジオとか、日中はかけてたんだけど、
この時はなんにもなくて、
なんか、重苦しいなって、
わたし、少し思ったりしてた。

「今日はありがとね、」
彼は、ちょっと声色が違ってた。
そう言うと、ハンドル握りながら、
わたしの方、ちらっと見た。

もう暗いからね、
表情とかはわかんなかったけど、
わたしを、見てた。
なんかね、
いつもキンキンした声した人なの。
はきはきしてるっていうか、
ちょっと意地悪な感じなんだけど、
この時全然声違うんだよね、
優しいっていうか、
おっとりしたふうになってて、
わたしね、
柏木さんでも
こんな声でしゃべることあるんだなって思っちゃった。

「何時まで大丈夫なの?」
送ってくれるって言ってたのに、
彼、またそんなこと言った。
車の時計みたら、
もう8時くらいだったかな、
晩御飯くらいには家帰るって、
お母さんには言ってたから、
だからわたし、
「もうそろそろ帰る時間です」
そう答えたんだよね、
そしたら柏木さん、
「今日楽しかった?」
「はい、やっぱきたかるの方って、
おしゃれだし、楽しいですね」
「そうだね…、」
それで、柏木さんは、
また少し黙ったあとで、
「きたかるも、いいんだけど、
俺と、楽しかった?」
どういう意味だろう、
わたしちょっとだけ考えてから、
「はい、」
「また行く?今度はさ、
もっと遠くの方とかね」
「遠く、ですか?」
「長野の方、蓼科とか、松本とかさ、
夏なったら、すごいよさそうじゃん」
それは、行ってみたいとは、
わたし言ったんだけど、
でも、
「そうですねえ…」
とだけ答えたの。
「あんま行きたくない?」
「あ、そうじゃないです」
「俺と、また行きたくない?」
その言葉の語尾、
いつもの柏木さんの、
キンキンした感じが戻ってた。

 

プロジェクト580日目。

 

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2020/2/9 580日目

■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 

■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定

■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中

 158ページ中50ページくらい了

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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目

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