マーサ「こんばんは、マーサです。ゲーム論教室の始まり~です。今日は、4回目ですね。今回のテーマは、人間観についてです。」

アトリ―「ゲーム論では、2つのタイプの人間観が、ありますよね。」

マーサ「合理的な人間と理性的な人間です。次のような感じです。」

合理的な人間ー人間は、ある明確な目標を持っていて、それを可能な限り実現しようとするという意味で目標志向的である。

理性的な人間ー人間は、「もし自分が相手の立場であったら、こうするだろう」と思いをめぐらし、相手の立場にたって物事を考えることのできる、想像力と洞察力をもつ。

アトリ―「最初の人間観では、普段私たちが使う意味よりも限定的であることが、ポイントですよね。」

マーサ「そうですね。日常生活では、目的や、目標自体の合理性を問題にすることも多いですが、ゲーム論や、経済学では、通常、個人が、追求する目的や価値観は与えられたものとして扱われます。」

アトリ―「例えば、伝統的に、経済学やゲーム論では,個人は、できるだけ多くの財を消費するように行動するとか、自分の収入をできるだけ多く得るように意思決定することが仮定されますよね。でも、これは、個人の利己的な性向が、「合理的」であるわけでは、ないのですよね。」

マーサ「そうそう、むしろ、程度の差こそあれ、このような仮定が、経済学やゲーム論にとって,必要不可欠ではなくて、自分が保有し、消費できる財や、金銭的な利得を多く欲するという利己的な、動機が現実の人間の行動の背景にあると考えられるので、このように仮定されるのです。」

アトリ―「ですが、最近の行動経済学やゲーム実験の研究では、実際の人間の行動では、利己的な動機によることが、多いですが、それ以外に、公平性や互恵性も人間の行動を決定する大きな誘因」であることが、明かにされています。」

マーサ「以上を要約すると、経済学やゲーム論では、主として、人間行動の多様性では、その内容が、どうであれ、インセンティブにもとづく行動を分析対象とするのです。」

アトリ―「後者の立場では、理性の前提は、人間と動物を区別する重要な違いです。自己と他者の違いとその関係を理解できることを意味し、そのためには、とても高度な、認識能力を必要とするんです。」

マーサ「相手の立場に立って物事を考えることのできる能力は、人間に、お互いの感情や、行動を推測することを可能にし、その認識能力は、他人との競争的な状況では、いかに相手を打ち負かそうかという戦略の読みあいを可能にするばかりか、利害の対立を回避し、他人と協調することも、可能にします。さらには、相手の、気持ちを理解し、共感(シンパシー)するという人間の道徳的な感情の基盤でもあります。」

アトリ―「それでは、今回は、ここまで~次回をお楽しみに。」