もうこの世界に未練はなくなった?

……
…やめて
やめて
やめて!!

未練なんてもうどこにもない。
守るものもない
頼るものもない
敵しかいない
でも
それでも
私は
追われて死ぬことになっても
この世界が滅ぶ運命だとしても
この手がすでに汚れていても
それでも
自分で壊せない
自分が未来を生み出せる存在でも
現在を殺すことはできない
どんなに歪んだ世界でも
私はできない
信じられなくても
生きていかなくてはいけない
見届けて
たった独りでも
独りでも。

もう自分には何もないから壊してしまえばいいなんて
とても滑稽だと思わない?
セカイは
そんなに狭くない
最後まで抗って一緒に生きようよ
私と貴方が光と影の存在なら共に生きていくしかないよ
力の使い方は自分で決める

……

往こう。
━今日は空が暗くて雲が立ち込めているよ。
君の居る場所が見えない。
まだ雨は落ちていないけれど、今にもこぼれてしまいそうな低さなんだ。
あ、今、光ったよ。

大丈夫。大丈夫。
彼女のベッドは汚れていない。
何者も気付いていない。
まだ、目覚めてはいけない。
地上が彼女に相応しい大地を取り戻すまでそのままでいなくてはいけない。
だが彼女独りにするわけにはいかない。
僕が行けたらいいのだけど…
方法がないものか、思いあぐねていたら不思議な噂を聞いてとある人を知った。
その人は気高く、何にも染まらない人だった。
忠実で迷わない。
こんな空でも道を迷わず進んでいける力を授かっている。
出会った事も、話した事もないけれど確信を持った。
彼女に相応しい。

太陽が真横に見える場所に彼女はいる。
残る手紙は一通。
毎日通うあの場所へ届けなくてはいけない。
もう何度通ったか数えるのはやめてしまったので分からないが、おかげでいちごぶたも最後に立ち寄るのはここ、と覚えてしまった。
羽虫を追い越し、鳥を越え、雲よりも上。
ようやくたどり着いたそこは雨が降らなければ風もない。
あるのは光と、白い部屋と、ベッドと、彼女。

ベッドの足元は手紙で足の踏み場もないほどになっていた。
はじめは枕元に手紙を置いていたのだがいつしか溢れてこぼれ、どれがはじめの手紙なのかも分からなくなってしまった。
いつもの通り手紙を彼女の枕もとに置くと、がさがさと音を立てて古い手紙がまた床に山を作る。
仕事はこれだけ。
少しだけ彼女の顔を見て"じゃあね"と口には出さずに声をかけて立ち去った。

ねえ 聞こえていないのでしょう?
あの幸せな歌声も こんなに近くの嘆きのさえずりも

繕っても繕っても どこか綻んでしまう話
楽しいわ もっと聞かせて

さあ 歩き出しましょう
探しに往きましょう
遠くの綺麗な旋律は 本当はとても醜い枯れた音
教えてあげるわ
築き上げた世界は簡単に壊れて消えるものだと


どんなに裏切られても
どんなにこの手を汚しても
それでも自分を求めずにはいられない
黄昏の薔薇は赤くなくとも祈りの色
闇夜に浮かぶ姿は希望


足下に群がる亡者を振り払えない事なんてわかってる
それでも腕を天に向けて
何かにすがって声を張り上げる
私も誰かの足下に絡みついているなんて

気がつかないわ 見えないわ
真実は認めたくないの

━星が採れたよ。たくさん採れたんだ。
きれいだろう?これは星の抜け殻だよ。
輝くために、古い殻を脱ぎ捨てるんだ。
ヒトと同じ事をするなんて、やっぱり生きてるんだね。

いちごぶたは豚のくせに空を飛べる。
背に何か乗せていても、苦もなく飛べるらしい。
見た目は鈍重そうだけど、実は正体は風船かなにかなのかもしれないなぁなんて
自分が今乗っているのに思う。
針か何かでつついてみたらあっという間に消えてなくなるのかも。
やったことはないし、やらないけどね。
「ここ、ここー」
小さな集落にたどり着いた。
「大人しくしててねー」
いちごぶたをその場に残し、自分は鞄から手紙の束を取り出しながら歩きだした。
ひとつずつ家々を廻って手紙を配るのだ。

「ありがとう」

そう言ってもらう事以外に報酬はない。
でも自分にしかできない事なのだ。
理解してもらえない事も多い。
それでも、自分に与えられた使命をまっとうするしかないと思っている。
ただ、強制はしない。
配達人でもあるけれど、媒介人でもある。
受け取る人が受け入れられないものは届けない。
地上の配達人と違うところはそこにある。
が、ふと思う。
…彼女は?
望んでいるのだろうか。
分からない。
確かめる術は、まだない。
考えても仕方がないのだ。

軽く頭を振って残りの郵便物を端の家からいつも通り順番に届けた。
「次行こうか」
いちごぶたの背を一度撫でてから飛び乗り、再び空へと還った。
こうやって私も突き放せないのだ、結局。

シロか、クロか、私の性格は灰色がないとよく言われた。
どちらかしかない。
けれど、灰色のままにして何か良い事があるんだろうか?

はぐらかして、たぶらかして、だまして、まどわせて

嫌な塊が胸につかえるだけで、私には灰色のまま置いておいていい事なんてなかった。
特に人の気持ちは本人にしか分からない。
他人に伝える為には、誠意を持ってシロか、クロか、はっきりと伝えなくてはいけないと思う。
分かるように。
間違わないように。

あの子は誠意を見せていたよ。私はその様子を見てた。
君も誠意を見せていたけれど、その気持ちを他人が理解をしたところで君の意に添う結果になるかどうかは分からない。
今、君の意に添わないことを捻じ曲げようとしている君は、あの子の誠意を踏みにじっているんだよ。
苦しいのは君だけじゃない。今つらいのは君だけじゃない。
君は何が大切なの?
大切だと思っているものを自分のエゴで壊そうとしている、君は何者?

真剣なのも、君だけじゃない。
自分の気持ちを他人にわかるように伝えるのは、とても怖いし勇気のいること。
それを分かっているはずの君がなぜ他人のその行為を無視できるのか、私には分からない。
友達にまで嘘をつく君を見ているととても哀しい。

君には、君しか見えないんだね。

━おはよう。よく眠れたかな?
…君に眠れたかどうか聞くのは野暮な質問だったかな。
今日は星を取りに行こうと思っているんだ。
空の星だよ。明日の君への手紙には同封するから、楽しみにしていて。


彼女はそこにいた。
いつもと変わらず、いつから変わっていないのかも分からないくらい。
風も、大気さえも彼女を避けて通っているかのようだった。
長いまつげは閉じられたままで、腰まで伸びた髪は彼女を守っているかのように四方に広がっている。
微かに、だが確かに胸は上下していた。


彼はそこにいた。
いつもと変わらず、玄関を開けたその先に何も映っていないかのような瞳をこちらに向けて低い位置からこちらを見上げている。
いちごのヘタが頭に付いていて、背中に小さなつばさの生えた豚だ。
いちごぶた、と呼んでいる。
身も蓋もないネーミングだが見たそのままなのだから仕方がない。
こいつは意外と持久力があってよく飛ぶ、大事な相棒だ。
見てくれが多少どうであろうと関係ない。
「頼むよいちごぶたー。今日は手紙が多いんだよ、トマトあげるから頑張ってよ」
豚なのにトマトが好物らしい。あまりよく分からずに色々与えていたらどうもトマトの時だけ反応が違ったのだ。
それ以来、トマトはご褒美としてやっているのだが喜んでいる、ような気がしている。
いつも無表情でどこを見ているか分からない目なので感情が読み取れないのに、トマトをやる時だけ短く鳴いた。
今も"トマト"という言葉に反応したのか少し身体を揺らしたようだった。
「よしよし、その調子。頑張ったらあげるからね…じゃあ、行こうか」

━ねえ君は今何を見ているの?
君が好きなゼラニウムが僕の目の前で咲いてるんだ。
1つしかないけど…
…ねえ、君の世界は痛い?


「あー」
箒を片手に天を仰いで特に意味のない声を出す。言葉にならないだけで意味はあるんだ、と自分では思っている。
「植物が目に痛い季節だねえ」
明らかに少し前の時期とは違う日差しが現れつつあるようだ。
でも痛いって表現はどうだろう、生命は痛い?


取るに足らない、本当に意味のない思考を一通り終えたところで自分の脇にあるポストが風もないのにカタンと音を立てた。
分かっているのに反射的にそちらに目を向けて、ニヤリとしてしまう。
"毎日律儀だね"
今度は声に出さずに口の中で言った。独り暮らしが長いと、独り言が多くなっていけない。
意識を戻して再び掃除に取り掛かった。
時折吹く強い風でどこから来たかも分からない植物の遺骸が積もるのだ。
「よいしょ」
思ったそばから口に出してしまった。
思わず苦笑してしまう。
簡単に朝食を済ませたら出発しよう。
…彼女が、待っているから。

そういえば私のしょうもない日記を"面白い"と言ってくれる友人は少なからずおりました。
イラストを描くのも好きで、でもこちらは一度も誉められたことがないのだけど(笑
文章の方が向いてるそうです。
そうは言っても所詮ひとりよがりの日記しか書いた事も見せたこともないし大層なレベルではないのだけど、"詞を書いてみたら?"と言われたのを思い出したので何か書いてみます。

詞は…無理です('A`)いや、こう、気分が落ち込むと携帯にだだーっと書いてたりするんだけどとてもじゃないけどこっ恥ずかしくて出せません。
青春スーツ☆ by野宮(ハチクロ)
ですよー!なので出しません。
つまんない妄想を書きます。