?売買目的有価証券から子会社関連会社株式への変更

これは持分比率が上昇したことによって自ずと区分変更が行われるもの。

[設例]
・期首よりS社株式500株(簿価10000)を売買目的有価証券として保有している。
・S社株式3000株を1株当り25(時価)で追加取得し、S社を子会社とした。
・S社株式の期末時価は1株当り30である。

[解答]
保有目的区分の変更は、基本的に変更前にかかる区分の処理を行ったのちに振り替えるもの。S社を子会社化した時点で以下のような仕訳が切られる。
(借)有価証券 2500 (貸)有価証券評価損益 2500
その上で売買目的有価証券としていたS社株式を子会社関連会社株式とする。
(借)関係会社株式 12500 (貸)有価証券 12500

なお新たに取得した3000株については以下のような処理。
(借)関係会社株式 75000 (貸)現金預金 75000

子会社関連会社株式は当然時価評価の対象ではない。
?売買目的有価証券から満期保有目的の債券への変更

まず始めに、満期保有目的の債券への変更は原則として認められない。取得した債権の保有目的を元利金の獲得とするかどうかの意図は取得時に判断すべきものである。つまりこれは極めて例外的なケースであり、売買目的で取得した債券の流動性が極端に低下する等の理由から、当該債券の売却が困難な期間が相当程度生じている場合において認められるものである。当然このときも満期まで保有する能力は問われる。

[設例]
・A社社債を保有している。これは当期首(×1年4.1)に額面10000を9100で取得したもの。満期日は×6年.3.31であり利息はないものとする。
・想定し得ない市場環境の著しい変化により流動性が極端に低下したことから、社債を時価で売却することが困難な期間が相当程度生じたため、×1年9.30に時価の変動により利益を得ることを目的としないことを明らかにして、A社社債を満期保有目的の債券に振り替えた。なおA社社債の時価は7300。
・A社社債の取得差額には償却原価法(定額法)を適用する。

[解答]
保有目的区分の変更は、(その他有価証券からの変更を除き)変更前の区分の処理をまず適用する。

取得時
(借)有価証券 9100 (貸)現金預金 9100
変更時
1.(借)有価証券評価損 1800 (貸)有価証券 1800
2.(借)投資有価証券 7300 (貸)有価証券 7300
決算時
(借)投資有価証券 300 (貸)有価証券利息 300

※変更時は簿価と時価の差額を(変更前の)売買目的有価証券の処理に準じて損益とする。満期保有目的の債券は時価で計上。
※満期保有目的の債券は変更時が取得時である。この時点から満期日までの期間に応じて簿価と額面の差額を(定額法で)按分=2700×6/54ヶ月
有価証券の保有目的区分は正当な理由なくして変更することはできない(=恣意性の排除)。変更が認められるのは以下の4パターンに限られる。

?資金運用方針の変更または特定の状況の発生に伴って、保有目的区分を変更するとき
?金融商品会計に関する実務指針により、保有目的区分の変更があったとみなされる場合
?株式の追加取得または売却により持分比率等が変動したことに伴い、子会社関連会社株式の区分から他の保有目的区分に変更する場合、もしくはその逆の場合
?保冷または基準等の改正または適用により、保有目的区分を変更する場合


?資金運用方針の変更または特定の状況の発生に伴って、保有目的区分を変更するとき
例えばトレーディング部門を廃止したとき。今後トレーディング取引を行わないのであれば、売買目的有価証券を保有することはできない(売買目的からその他へ
反対にトレーディング部門を設置して売買を開始することとしたとき。これまでは有価証券の保有目的区分を売買目的とすることはできなかったが、これによって保有するその他有価証券の一部(売却に制約のないもの)を売買目的有価証券に振り替える(その他から売買目的

?金融商品会計に関する実務指針により、保有目的区分の変更があったとみなされる場合


?株式の追加取得または売却により持分比率等が変動したことに伴い、子会社関連会社株式の区分から他の保有目的区分に変更する場合、もしくはその逆の場合
特に詳述することはない。一定の持分比率を上回る、もしくは下回ることで自動的に変更されるもの(関係会社から売買目的orその他へ、売買目的orその他から関係会社へ

?保冷または基準等の改正または適用により、保有目的区分を変更する場合
これもそのまま。こうした事情から区分の変更が求められる場合は法令や基準に従い変更する。

※?~?が変更の認められる正当な理由である。ただし実務指針では、正当な理由があったとしても満期保有目的の債券への変更は認めていない。また、「満期まで保有する意図」は取得時点において判断すべきものである。
こうしてみると満期保有目的の債券に関しては他よりも厳しく設定してあることが分かる。有価証券を満期保有目的の債券として区分し、または維持するためには二つの障壁(意図と能力)が設けられているし、また既に保有している債券を新しく満期保有目的の債券として設定することはできない。これは満期保有目的の債券が時価評価の対象とならないことから「時価評価逃れ」として用いられることに対する牽制と考えられる。