部門別計算の第2次集計では以下の3点に考慮した計算を行う必要がある。
?補助部門間のサービスの授受をどのていど考慮するのか
?変動費と固定費を分け、それぞれ別個の配賦基準を設けるか
?実際配賦率を用いるか、予定配賦率を用いるか

?については3通りの計算法が考えられ、簡便なものから順に直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法がある。今回は直接配賦法について。

直接配賦法:補助部門同士での相互間のサービスは無視をして計算する方法

[設例]
(各部門費)
・切削部門費:12,100,000
・組立部門費:8,430,000
・動力部門費:10,640,000
・修繕部門費:4,464,000
・工場事務部門費:867,300
※こららは部門共通費は既に配賦された金額

(補助部門費の配賦基準)
動力部門費=機械運転時間(?)、修繕部門費=修繕回数(?)、工場事務部門費=従業員数(?)

切削部門:?50,000時間、?10回、?48人
組立部門:?30,000時間、?14回、?36人
動力部門:?なし、?8回、?12人
修繕部門:?5,000時間、?なし、?4人
工場事務部門:?250時間、?1回、?なし

以上が問題の資料。上の?は機械運転時間、つまり動力部門費はこれを基準に振り分けられる。「なし」となっているものは、サービスを提供するものと受ける者が被っている部分。これは考慮外。
さて今回は直接配賦法なので、補助部門間の用役の消費は無視した計算を行う。例えば修繕部門では5,000時間分の機械運転を行っている。これは5,000時間分、動力部門からのサービスの提供を受けたことを意味し、本来的には発生した費用を負担すべき数字である。しかし修繕部門は(製造部門ではなく)補助部門である。補助部門から補助部門へ金額の移項は行わない。よって、動力部門費:10,640,000は、切削部門と組立部門以外は負担しない。この金額の全ては両製造部門での機械運転時間の比率によって按分される。つまり動力部門費の配賦は
10,640,000÷80,000時間=133
切削部門=133×50,000時間=6,650,000
組立部門=133×30,000時間=3,990,000
となるのである。
その他の補助部門費も同様に「切削部門と組立部門の用役提供を受けた事実の比率」によって両部門にのみ配賦される。

以下、他の補助部門費の配賦。
切削部門:修繕部門費=1,860,000、工場事務部門費=495,600
組立部門:修繕部門費=2,60,4000、工場事務部門費=371,700

なお仕訳は次のようになる。

(借)切削部門費 9,005,600、 組立部門費 6,965,700 (貸)動力部門費 10,640,000、 修繕部門費 4,464,000、 工場事務部門費 867,300
部門別原価計算では以下の3つの計算を行う。
?費目別計算
?部門別計算
?製品別計算

さらに?の部門別計算では以下の第1次~第3次集計までを行う。

(1)部門個別費の部門別直課と部門共通費の部門別配賦
(2)補助部門費の製造部門への配賦
(3)製造部門費の製品別配賦

問題上重要なのは(2)の補助部門~製造部門間の用役の計算だが、ここでは(1)についての設例を見る。(3)はあまり重要ではないだろう。

~部門個別費の部門別直課と、部門共通費の部門別配賦~

・部門個別費について
こちらはあまり計算問題となることはない。製造部門として切削、組立があり、補助部門として動力、工場事務があるとしよう。費目別計算で直接費とされたものは仕掛品にその価値が給付される。間接費とされたものは個別費、または共通費に分かれる。つまり部門個別費、部門共通費ともに製造間接費である。
さらに個別費とは、特定の部門のみに費やされた価値である。工場事務部門に従事する人間の賃金は、製品との直接的な係わりを見出すのは難しいため製造間接費となるが、この費用は明らかに工場事務でのみ把握すべき金額である。よって、その金額をそのまま工場事務部門に集計する以外に計算らしい計算はない。

・部門共通費について
[設例]

以下の部門共通費が生じている
・建物減価償却費:900,000
・電力量:330,000

配賦基準
建物占有面積:切削部門1600、組立部門1200、動力部門700、工場事務部門100
電力消費量:切削部門120、組立部門150、動力部門180、工場事務部門30

このような場合、合理的に対応する関係を持った配賦基準を用いて、発生した製造間接費を各部門に集計する。今回は数字は割愛するが、この段階の集計が部門別計算の第1次集計と呼ばれるステップである。
なお仕訳の上では製造間接費を各部門費に受け渡したので以下のようになる。
(借)切削部門費 ×××、 組立部門費 ×××、 動力部門費 ×××、 工場事務部門費 ××× (貸)製造間接費 ×××


上では切削、組立が製造部門、動力、工場事務が補助部門としている。第2次集計は、補助部門である動力、工場事務に集計された金額を製造部門である切削、組立に流していくもの。この第2次集計が部門別計算での学習で特に重要な部分。これについてはこちらであらためて見ていく。
部門別計算は3次集計まで行う。計算上重要なのは今回の第2次集計について。
第1次集計は前回みたように、費目別計算で製造間接費とされたコストを部門個別費部門共通費に分けるもの。

・第2次集計について
上の1次集計で「部門共通費とされたコストを部門個別費に按分する計算」が2次集計である。
ある工場では補助部門として動力部、修繕部、工場管理部を、製造部門として切削部、組立部を設定しているとしよう。このとき部門個別費は製造部門に配賦され、部門共通費は補助部門に配賦される。補助部門に配賦された共通費は合理的な基準でもって各製造部門に按分されることになる。

補助部門の作業は製品の製造に直接の関係を持たない。このため補助部門費を直接製品に集計する合理的な基準がない。そこでこれら補助部門費を一旦製造部門に配賦し、本来の製造部門費とともに製品に集計するのである。この合理的な製品原価計算の目的は資産計上額を正確なものとするため、つまり財務会計目的と言える。
一方、原価管理ないし責任会計の見地からも補助部門費は製造部門に配賦するメリットがある。補助部門の用役を消費した部門は、その用役消費の程度に応じて補助部門費を負担すべきであり、補助部門費の中には製造部門における責任原価が含まれているからである。

・第2次集計の配賦方法
補助部門費を製造部門へ配賦する方法においては、次の3点を考慮し組み合わせながら考えていく必要がある。

?補助部門間のサービスの授受をいかに処理するか
?変動費と固定費とに分けて、それぞれ別個の配賦基準をしようするか
?実際配賦率を用いるか、予定配賦率を用いるか

?は補助部門間のサービス、例えば補助部門である修繕部であっても同じく補助部門である動力部のサービスを受けることはありうる(あるいはその逆も)。これの処理については直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法が考えられる。

・直接配賦法とは補助部門間のサービスをないものとして計算する方法。

・階梯式配賦法とは、補助部門の中でも上位部門から下位部門へのサービスは集計するものの、その逆の流れはないものとして計算する方法。

・相互配賦法とは補助部門間のサービスの授受の事実を全て認識する計算法。これは理論的な妥当性が最も高い反面、計算の簡便性の後退が欠点とされる。
相互配賦法は、「連続配賦法、試行錯誤法、連立方程式法、要綱の相互配賦法(簡便法)」に分けることができる。