・貸倒懸念債権:経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているまたは生じる可能性の高い債務者に対する債権をいう。貸倒懸念債権については、債権の状況に応じて財務内容評価法またはCF見積り法のいずれかの方法により貸倒見積高を算定する。

ある債権を貸倒懸念債権として分類する具体的な基準として、「債務の弁済がおおむね1年以上延滞している」ような場合や、「弁済期間の延長または元利金の一部免除」など、債務者に対し弁済条件の大幅な緩和を行っている場合が該当する。
また、こうした事実が認められなくとも、「債務者の業況が低調ないし不安定、または財務内容に問題があり、過去の営業成績または経営改善計画の実現可能性を考慮しても債務の一部を条件どおりに弁済できない可能性が高い」場合も、当該債権は貸倒懸念債権として分類される。

・貸倒懸念債権の評価

(1)財務内容評価法
(2)キャッシュ・フロー見積法

計算上は圧倒的に後者が重要で、前者は計算するような内容はあまりない。

~財務内容評価法~
所有する債権について、債務者の経営状態の悪化にともない、債務の弁済に重大な問題が生じる可能性があるとする。債権の金額は50000、担保の処分見込額は12000、保証による回収見込額が8000であり、担保や保証を除いた残額の50%が貸倒になると予想される。
この場合、50000-12000-8000=30000について50%の貸引を設定する。
(借)貸倒引当金繰入額 15000 (貸)貸倒引当金 15000

ということで、次回からキャッシュ・フロー見積法を見ていく。
(※貸引については金融商品会計基準にその規定がある)

貸引は債権を次の3区分で評価する。

?一般債権:貸倒実績率法

?貸倒懸念債権:財務内容評価法orCF見積法

?破産更正債権等:財務内容評価法

今回は?の一般債権について。
一般債権とは、経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権をいう。こうした債権に対する貸倒見積高は「貸倒実績率法」による。

・貸倒実績率法
債権全体または同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等、合理的な基準により貸倒見積高を算定する方法。

※同種とは、勘定科目に表れるような売掛金、受取手形、貸付金、未収金等の別における分類。同類とは、営業債権、営業外債権の別における分類や、短期と長期の期間別区分を言う。

貸倒実績率=翌期以降における貸倒損失額/ある期における債権残高

売掛金を例にとって考えてみる。FSにあがってくる売掛金は期末時点の残高のみである。期中に発生し、同じ期中に回収されたものは外部用のFSには計上されない。この売掛金から貸倒損失が生じるとすれば、計上した期末日の次の期間、つまり翌期であると考えるはずである。

繰り返しだが、売掛金を当期末に計上し、これが貸倒となるとすれば、通常の回収サイクルから考えて翌期である。この翌期中に発生した売掛金が、翌期中に貸倒となれば、当期末計上した売掛金と翌期中との対応はなくなるように思える(この辺りはもう一度学習します)。ただ少なくとも当期末の売掛金に対応する貸倒損失が翌々年のものと考えるよりは自然かと思われる。

また、実務指針では当期末に保有する債権について適用する貸倒実績率を算定するに当たっては、当期を最終年度とする算定期間を含むそれ以前の2~3算定期間に係る貸倒実績率の平均値によるとある。
前期末の債権と当期中の貸倒損失から算定した貸倒率ではなく、数年分の貸倒率の平均値を使うことで、より平均的な数値を求める。

なお計算上、一般債権については担保の保証額や回収見込額を考慮する必要はない。
?売買目的有価証券からその他有価証券への変更

[設例]
・有価証券のトレーディング部門を廃したため、売買目的で保有しているA社株式(簿価10000、振替時時価12000)をその他有価証券に振り替える。
・A社株式の期末時価は12500である。
・その他有価証券の評価差額は全部純資産直入法により処理する。
・税効果会計は適用しない。

[解答]
変更前、つまり売買目的有価証券の処理に準じて、振替時に損益を計上。
(借)有価証券 2000 (貸)有価証券評価損益 2000
その上で保有目的区分を変更。
(借)投資有価証券 12000 (貸)有価証券 12000

その後はその他有価証券として期末に時価評価し、損益は純資産で繰延べ、翌期首に洗替を行う。