最低限理解している必要があるのが以下の用語

・付与日
・対象勤務期間
・権利確定日
・権利行使期間
・権利行使日
・失効

以降で説明

・付与日:ストック・オプションが付与された日。この時点で会社としては取引が終わっている。ただし会計処理自体はやはり報酬である以上、労働期間に応じて(期末に)費用計上される。しかし(借)株式報酬費用 (貸)新株予約権 の仕訳において借方を算定することはできない。しかし新株予約権が価値を持った権利である以上、こちらを測定することはできる。したがって新株予約権の価値を算定した上で、それに合わせる形で費用計上する。

・対象勤務期間:ストック・オプションを発行する目的が労働インセンティブであることは既に説明した。仮に付与されたストック・オプションが翌日から権利行使されるとしたら、(株価を上げようという)インセンティブは発動しない。このために設けられている期間が対象勤務期間と呼ばれる。この勤務条件以外にも業績条件(一定以上のPL利益や一定以上の株価など)が付されるケースもある。

・権利確定日:権利が確定した日

・権利行使期間:新株予約権のものと同様

・権利行使日:権利行使された日

・失効:これは?通常の新株予約権と同様、権利行使期間が経過したことによる失効と、?権利確定条件が達成されなかったことによる失効の二種類がある。
ストック・オプションには以下のような特徴がある。

?会社財産の流出がない
ストック・オプションを付与してから権利が確定し、行使あるいは失効までの間には一切のキャッシュアウトは生じない。これは企業に取っては都合が良いと言 える。資金不足でも有能な経営者を雇える可能性があるわけだ。

しかし付与時点でも、または将来的にも金銭を支払わない。ここに費用性があるのかという問題がある。しかし実際には借方費用、貸方純資産の処理が行われて いる。これは、ストック・オプションを与えなかった場合と比べて、企業が追加的な労働サービスを取得していることで説明される。株価をあげるインセンティ ブがあるのであれば、そうでない時よりも多くの労働が期待できる。労働サービスには対価が支払われるし、追加的な労働サービスを得たのであれば、その部分 は費用とすることができると考えられるのである。

?インセンティブ効果を有している
ストック・オプションは無償で発行される。しかしこれはストック・オプションに対価性がないことを意味しない。ストック・オプションを発行したことによる 勤労意欲の増進こそがその対価なのである。このため通常の新株予約権の無償発行であれば仕訳がないのに対して、従業員に与えられるストック・オプションは 費用が計上されるのである。

?さまざまな制限や条件が付されているケースが多い
例えば譲渡制限のないストック・オプションであれば、転売することで取得者は利益を得て結果インセンティブ効果は失われる。または付与日から権利確定日ま でには期間が設けられている。これも同様の理由であり、権利が確定するまでの期間こそが企業の期待するインセンティブ効果が発揮される期間なのである(この期間は対象勤務期間と呼ばれる)。つまりこれらの制限や条件は、イン センティブ効果の必要条件となっている。
まずここで学習する「ストック・オプション」とは
企業が従業員に労働対価として与える新株予約権
を言う。

そもそもストック・オプションとはアメリカのベンチャー企業等で使用されていた制度である。企業が有力な技術を持っているものの、資金不足により有能な経営者を雇えない場合のヘッドハンティングする手段として用いられていた。経営者の手腕によって上場や株価の上昇を達成すれば、彼自身もストック・オプションによって大きな利益を得ることができる。

さて第一に重要なこととして、
企業がストック・オプションに期待するのは労働インセンティブである、ということが挙げられる。

通常の新株予約権は資金調達を目的として発行される。このため権利行使の際には、新株予約権発行に対する払い込みも含めて純資産に計上される。もちろんストック・オプションによって付与された新株予約権も、権利行使価額が純資産となることに変わりはない。しかし企業のストック・オプションの発行は、明らかに資金調達を目的としていない。資金調達が目的としながらもわざわざ従業員から払い込みを期待するのはナンセンスである。

ストック・オプションを付与された従業員からしてみれば、権利行使価額と市場の株価との差額こそが利益になる。企業はここに労働インセンティブを期待するのである。

日本においては「ストック・オプション等に関する会計基準」が成立する以前は、新株予約権の無償発行(つまり仕訳なし)として扱われていた。しかし、一般的な形で現金等を給料として支払う会社が毎期費用を計上するのに対して、ストック・オプションによる報酬を与えている会社ではキャッシュアウトがなく費用があがらない。これではストック・オプション制度を採用している企業のPLだけが有利となっていしまい、投資家からしても企業間の比較が困難である。ストック・オプション等に関する会計基準とは、ストック・オプションを発行した企業に対してなんとか費用計上をさせたいが為に制定された。

この為
(借)費用 (貸)純資産
という、ある種特殊な形の会計処理がなされているのである。