ストック・オプションには以下のような特徴がある。

?会社財産の流出がない
ストック・オプションを付与してから権利が確定し、行使あるいは失効までの間には一切のキャッシュアウトは生じない。これは企業に取っては都合が良いと言 える。資金不足でも有能な経営者を雇える可能性があるわけだ。

しかし付与時点でも、または将来的にも金銭を支払わない。ここに費用性があるのかという問題がある。しかし実際には借方費用、貸方純資産の処理が行われて いる。これは、ストック・オプションを与えなかった場合と比べて、企業が追加的な労働サービスを取得していることで説明される。株価をあげるインセンティ ブがあるのであれば、そうでない時よりも多くの労働が期待できる。労働サービスには対価が支払われるし、追加的な労働サービスを得たのであれば、その部分 は費用とすることができると考えられるのである。

?インセンティブ効果を有している
ストック・オプションは無償で発行される。しかしこれはストック・オプションに対価性がないことを意味しない。ストック・オプションを発行したことによる 勤労意欲の増進こそがその対価なのである。このため通常の新株予約権の無償発行であれば仕訳がないのに対して、従業員に与えられるストック・オプションは 費用が計上されるのである。

?さまざまな制限や条件が付されているケースが多い
例えば譲渡制限のないストック・オプションであれば、転売することで取得者は利益を得て結果インセンティブ効果は失われる。または付与日から権利確定日ま でには期間が設けられている。これも同様の理由であり、権利が確定するまでの期間こそが企業の期待するインセンティブ効果が発揮される期間なのである(この期間は対象勤務期間と呼ばれる)。つまりこれらの制限や条件は、イン センティブ効果の必要条件となっている。