これまでの本支店会計では、「本店~支店間」での取引について見てきたが、今回は「支店~支店間」の取引、支店が複数存在する場合の会計処理について。このようなケースでは『支店分散計算制度』と『本店集中計算制度』のいずれかを選択して適用する。

支店分散計算制度とは、実態どおりに記帳する方法。
対して本店集中計算制度とは、支店間取引を「各支店が本店を通じて取引を行ったものと見做して」記帳する方法。

例としてA支店がB支店に現金500を送付した場合。

・支店分散計算制度の場合
A支店での処理
(借)B支店 500 (貸)現金 500

B支店での処理
(借)現金 500 (貸)A支店 500

特に説明は要らないと思うが、A支店では現金500の減少とB支店に対する債権の増加(もしくは債務の減少)を記帳し、B支店では現金500の増加とB支店に対する債務の増加(もしくは債権の減少)を把握している。

本店集中計算制度の場合
A支店での処理
(借)本店 500 (貸)現金 500

B支店での処理
(借)現金 500 (貸)本店 500

本店での処理
(借)B支店 500 (貸)A支店 500

A支店での現金の減少、B支店での現金の増加。これらは事実なのでそのまま記帳。問題は支店での債権債務の相手先が常に本店となること。つまり本店集中計算制度においては「支店の中で支店勘定を用いない」とも言える。A支店は本来B支店に対して債権の増加を認識するものだが、この部分を本店と仮定する。逆もまた然りである。また、このときのA支店における本店勘定(債権の増加)はもちろん照合勘定であるため、本店におけるA支店勘定は当然に貸方(債務の増加)となる。

あるいは実際に現金が本店を経由したと考えると分かりやすい。現金500はA支店から本店へ、さらに本店からB支店へ送付されたと考えるのである。この場合の本店の仕訳は

(借)現金 500 (貸)A支店 500
(借)B支店 500 (貸)現金 500

と見ることができる。貸借同額の現金を相殺すれば本店集中計算制度における本店の仕訳
(借)B支店 500 (貸)A支店 500
となる。同様にふたつほど仕訳のパターンを追っていく。

[設例]
A支店がB支店の営業費800を立て替えた。

・支店分散

A支店での処理
(借)B支店 800 (貸)現金預金 800
B支店での処理
(借)営業費 800 (貸)A支店 800

・本店集中

A支店での処理
(借)本店 800 (貸)現金預金 800
B支店での処理
(借)営業費 800 (貸)本店 800
本店での処理
(借)B支店 800 (貸)A支店 800

※本店集中計算制度の処理に混乱するようなら、いちど支店分散の処理を思い浮かべて、各支店での本店勘定と貸借を逆にして本店での支店勘定を記帳すれば間違いはなくなるはずである。


[設例]
A支店は仕入原価5000の商品に10%の利益を付加し、振替価額を5500としてB支店に商品を送付した。

・支店分散

A支店での処理
(借)B支店 5500 (貸)B支店売上 5500
B支店での処理
(借)A支店仕入 5500 (貸)A支店 5500

本店集中

A支店での処理
(借)本店 5500 (貸)本店売上 5500
B支店での処理
(借)本店仕入 5500 (貸) 本店 5500

本店での処理
(借)B支店 5500 (貸)A支店 5500

ここは上のふたつの仕訳と異なり少し注意を要する。(本店集中計算制度のもとでは)支店においては「支店勘定のみならず、支店売上勘定・支店仕入勘定も用いない」ということ。支店における支店売上や支店仕入はすべて本店売上・本店仕入に置き換わる。
さて、前回で総合原価計算の基本的な形についてみた。
一月のコストが5,000,000で10,000個製造したのなら、単純にひとつ当たりのコストは500になるという話。

次に加工費について。
2個のりんごを投入して2本のりんごジュースを製造する。工員が2時間をかけて1本が完成する。当月末に1本が完成し、もう1本は未完成の状態。これにかかるコストはりんご1個が100円、製造行員の賃金が3時間×1000円/hだとする。
ジュース1本につき1個のりんごが投入されるとすると、完成品・仕掛品にかかる材料費はそれぞれ100円である(一応、総合原価計算の話)。ただし当月要した3000円の労務費はどのように割り振るのか。
総合原価計算なので、両方が完成品であれば完成品の数(2本)で割ればよいのだが、片や完成、片や仕掛品なので、それぞれにかかる労務費が同額ということは有り得ない。

この場合、仕掛品の加工進捗度に応じて加工費(この場合は労務費)を按分する。2時間で1本だが当月の工員は3時間の加工しか行っていないため、仕掛品は製造工程の半分であることが分かる。このようなときは、仕掛品は材料1個分と、完成品0.5個分のコストを負担することになる。

なお加工進捗度に応じて、完成(製造工程の終点)を1として、完成品換算量(この場合は0.5個)として把握される。(材料が始点投入であるとして)加工費は、完成品・仕掛品のそれぞれに完成品(および換算量)の比率で按分される。
原価計算は、「完成した製品(もしくは製造途中の仕掛品)に幾らのコストがかかっているのか」を知る為に行われるものである。
コストは発生原因の別に材料費、労務費、経費の3つに分かれる。この3つは原価の「形態別分類」と呼ばれ、要した費用がどの種類のコストに該当するかを集計することを『費目別計算』と呼ばれる。
また業種や規模によって、工場内に部門を設けている場合がある。例えば自動車製造において、組立部門と塗装部門に分かれている場合などが考えられる。このような場合、部門別計算が行われる。費目別計算で集計された材料費、労務費、経費は、各部門費に振り分けられ、部門ごとに再度コストが集計される。その後、部門に集計されたコストを製品ごとに割り振って、製品にかかった最終的なコストを計算する(製品別計算

つまり
?費目別計算
?部門別計算
?製品別計算

という流れである。
最後の「製品別計算」を行うことによって、ある製品に係るコストを全てはあくすることができる。これが個別原価計算の特徴である。ただしこれは通常の工業製品にはあまり適用されない特殊な原価計算である。個別原価計算が適用されるのは、「個別に行う原価の集計コストに見合うような大きなもの」であったり「大量生産されないもの」であったりする。船舶や鉄道車両、家屋やその他の特注品などである。

これに対して総合原価計算は、月次ベースで何千個、何万個と製造される製品のコスト集計に適用される。これは月次ベースで製造に要した費用を、製造した個数で除して計算される。量産される製品に対して個別原価計算を適用することは効率的ではなく、また量産品は一般にどの完成品であってもひとつ当たりのコストに差はないものと考えられる。