「どんなお母さんだったんですか?」
そう聞かれて、私は少し言葉に詰まりました。
あなたならどう答えますか?
私の母は認知症で、
今は施設で暮らしています。
60歳をすぎた頃から、
少しずつ忘れっぽくなってきて、
そんな中、何とか手さげを作ってくれた話。
65歳の頃には料理ができなくなって
きましたが、何とか父と暮らしてきて、
70歳になる頃には、
介護の力をお借りするようになりました。
2年前に感染症で、
入院したのをきっかけに、
実家の近くにある今の施設で
お世話になりはじめました。
今は、私のことも父のことも
ほとんど分かっていないような感じ。
大分痩せて、髪の毛も白くなって
しまいましたが、
見た目は母なのです。
笑い方も、
時々出る「お父さん」の言い方も。
でも、話しかけても、会話にはならないし、
昔のことも覚えていません。
それが今の母です。
昨日は、3か月に一回の担当者会議でした。
ケアマネさん、
現場の介護スタッフさん、看護師さん
が母の様子を話してくださいました。
車椅子に移乗する時の指示が、
入りにくくなったりはしているよう
でしたが、概ね変わりなく、
みなさんのお力を借りて、
安定してすごせている様子に安心しました。
先日の介護認定では
要介護5になっていました。
最後にケアマネさんが母に、
「いい生活が送れているようですが、
幸せですか?」
って質問されたんです。
正直なところ「幸せではないよなぁ」って
思うと同時に、
胸がわずかに締め付けられるのを
感じながら、
母がどう答えるのかを見ていました。
結局母は、無反応でしたけどね。
正確にいうと、今の母にとっては
とてもいい環境だとは思うのです。
でも、できることなら
自分で好きなものを食べて、
父とたわいもない話をしたり、
パッチワーク仲間と集まったり、
お菓子作ったり、旅行に行ったり、
孫の成長を見て喜んだり、
そんなことが、したかっただろうな。
それが
母にとっての幸せだったんじゃないかな、
と娘の私は思ってしまいます。
過去の母を知っているからこそ感じること
なんですよね。
そうやって感じると、
「母は幸せだったんだろうな」と思うんです。
それは、できなくなった今だからこそ
分かること。
そして、その幸せな母の記憶というのは
私にとってもとても暖かくて大切なもの。
何歳になっても、
「お母さんの幸せ」は、
子供の心の栄養剤であり続けるのです。
今の母の顔を見ていると、
平穏という言葉がピッタリ。
真顔か、笑っているかで、
怒ったり、嫌な顔をしたり、
悲しそうな顔をすることがないのです。
眉間にあった縦皺もなくなり、
頬のシミも何故かなくなった、
つるんとした顔。
それを見ると、
幸せもたくさんあったけど、
そうでないこともたくさんあったんだろう、
とも感じるし、
早くして認知症が進んだのも、
母の宿命であり、最善でもあったのかも
しれないとも思うのです。
家族は悲しいし、切ないのですけどね。
冒頭の「どんなお母さんだったんですか?」
という質問。
帰り際に母がニコニコ笑っていた時に、
「元々こういう人だったんです」と
言った私にケアマネさんが
たずねてくれたことです。
これ中々難しいな、って思いました。
厳しい母、鈍感な母、優しい母、可愛い母、
色んな母を見てきたので
一言では言えないんですよね。
そうやって少し考えていたのですが
気がついたら、
「好きなことをしている母でした」
って答えていました(笑)
私を産んで育ててくれた母は
よくも、悪くもそういう人でした。
そして、その姿は今の私の本質的な
ところにもしっかりと影響している
ように感じます。
あなたのお母さんはどんな人ですか?
その記憶は、
今のあなたに何を残していますか?
クリスマスローズが大好きで
イングリッシュガーデンに憧れていた母。
そんな姿も、私の中に残っています。
今日も最後までお読みくださり、
ありがとうございました![]()

