国政政党 「日本を元気にする会」 に対する考察です。
すでにツイッターでは何度も呟いていることですが、この政党の根本的な問題。
党の看板である直接民主制に、さほど正当性が無いこと。
プラス、どうやったら元気会が伸びるかという、ややファンタジー調のお話。
元気会の直接民主制を簡単におさらい
国政の重要案件のうち、元気会側がピックアップした幾つかを 「Vote Japan」 と呼ばれる、党内の直接民主制の議論&投票に委ね、その比率に応じて実際の国会で所属議員が賛成or反対に投ずるという仕組みです。
(たとえば所属議員が10人いて、党員の議論と投票結果が賛成60%反対40%なら、議員は国会で賛成6、反対4の票を投ずる)
これに対する批判の声として 「代議制否定、議員の責任放棄」 などがあり、元気会は「お任せ民主主義からの転換」を主張。
有権者に対して、選挙時だけでなく継続して議論に参加してください…というコンセプト。
日本の政治を理想の民主主義に近づけるための、大胆な挑戦。
大雑把に、この様な理解でよろしいと思います。
元気会の直接民主制に、さほど正当性がない現状
理由は簡単。
直接民主制に参加する会員(党員)の数が少ないことです。
元気会の国会議員5名が当選時に獲得した票数を確認してみます。
松田公太 656.029
山田太郎 30.663
井上義行 47.756
山口和之 75.000
アントニオ猪木 356.605
(敬称略)
合計して、約115万。
これに対して、元気会の会員数が1.000人ほど。
あり得ないほどの非対称です。
国政政党としての基準云々の話では無く、直接民主制の正当性の問題です。
得票数と会員数がイコールになることは決して無いでしょうし、投票者と会員メンバーがイコールになることも無いでしょう。
ですので、そこを厳密に問うことは、やや理不尽さが伴うと考えます。
しかし現状はあまりに差が大きい。
※追記
元気会が安保法制で修正案を提出した件。
国会議員の判断が 「Vote Japan」 より優先されているとの批判も見ます。
党として最初に提示したコンセプトから逸脱しているとの意味で、もっともな批判です。
(ただし、修正案の内容自体は非常に意味があると私は思う)
松田代表は修正協議が失敗したら、「Vote Japan」での投票に従う姿勢です。
しかし逆を返せば修正協議が成立したら、直接民主制は放棄するということ。
これは、かなり大きな問題かもしれません。
元気会はどうするべきか
解党するか、直接民主制の看板を降ろすか、会員(党員)を増やすか、何らかの対策は必要でしょう。今のまま参議院選挙に突入して、一体何を訴えるのか…。
個人的には、少数政党乱立が野党再編を阻む一因であり、それが自民党一強の構図を作り政治の緊張感を失わせていると考えますので、解党路線が適当と思います。
そして野党再編の触媒となることが好ましい。
民意を汲むという元気会の理念は崇高であり、そこまで批判してしまうと酷に過ぎます。
しかしベンチャー企業ならともかく、限られた国会の議席ですので、あまりに自分本位の実験政党に議席を占有されても困ります。
会員を増やして挽回できるか
無理だと思います。
可能なら、すでに順調に伸びているはず。
6月末の朝まで生テレビに松田公太議員が出演しています。
そこで司会の田原総一朗氏はじめ、識者の方にさんざんツッコミを受けます。
一番マズかったのが、会員数を聴かれた松田氏の返答が
「3桁を突破して4桁に」 だったこと。
党代表のこの返答(態度)を見て、おそらくこの政党では会員数を率直に語ることが、半ばタブーになっていると察しがつきました。
これでは話になりません。
人を引き込むなら透明性を高めてゲーム化すべき
批判だけではダメで対案を示せと言われるご時世なので、以下、不本意ですが考察。
現会員数の明示。
国会議員の得票数の明示。
これは最低限必要でしょう。
「Vote Japan」 での議論の様子も、会員以外の人が閲覧できるべきです。
そして会員にならなくても投票システムを体験できるべきです。
体験投票の結果(延べ人数でも良い)と、会員による投票結果も明示すべきです。
大事なのは最終結果だけでなく、途中経過もリアルタイムで明示していくこと。
まずは 「面白そう」 「これなら参加してみよう」 と思ってもらわないと話になりません。
現状では既存メディアどころかネットメディアですら、元気会的クローズの世界は報道しようが無いでしょう。
閉鎖性が会員を呼び込めない、ドツボ状態が続きます。
現状の会員数明示が恥ずかしいにしても、どこかで吹っ切れて明示し、ゲーム的に増やしていくべきです。
また、安保法制のように加熱しがちな論争に於いて、目立った左派勢力や右派勢力のどちらか一方でも取り込めれば、その段階で 「これが民意だ」 と、あえて短絡的に示すことで反対勢力の対抗意識を喚起し呼び込むことが期待できます。
あまり左右の対抗意識を煽っても問題でしょうが、途中経過も含めて数字を明確にすることでゲーム性が生まれるので、これをテコに、SNS等での勧誘合戦を勝手にやってくれる状態にまで持っていくべきです。
もちろん元気会のコンテンツ内で冷静な議論環境を保つことは、政党側の責任です。
世論調査の機能を
「Vote Japan」の参加人数や投票結果(途中経過)の明示だけでなく、様々なことで会員が意思表示でき、それを外に発信できるようにしたほうが面白いでしょう。
賛成・反対に投ずる(途中で変更できる)で終わりではなく、なぜ賛成反対なのか、何に影響を受けて意志を変えたのか、等々。
幾つかの項目を設定して速報的な世論調査として機能させる感じです。
議論の最初から最後まで参加した人を固定することで、途中で増えた人の数値を排除した結果となり、参考にすべき一つのデータになるかと思います。
(新規会員が議論から排除されるという話ではなく、世論調査の参考数値から除外するという意味です)
また非常に重要な事ですが、元気会には他党の党員でも入会できます。
(そこをあまり宣伝してない)
どの党の人がどれくらい参加しているか、それを明示することも意味があると考えます。
繰り返しですが、世論調査の速報的なイメージです。
会員が数万規模を越えたら、それだけで主要各紙の世論調査に匹敵する注目度になると思われます。
その注目度がさらに 「Vote Japan」 の体験版参加者を呼び込み、会員登録を呼び込み、メディアの継続した報道を呼び込み…という好循環に。
(なるかもしれない)
会員の種類を複数に
イメージとしては、
・プレミアム
・一般
・チャイルド
こんな感じでしょうか。
プレミアム。
有料会員。
投票や意識調査参加が可能。
意見の書き込みも可能。
一般。
無料会員。
投票や意識調査参加が可能。
意見の書き込みは不可能。
チャイルド。
無料。
子供が自覚的に参加するケースと、親が子供の投票権を行使できるケースと。
(現状では、元気会の会員は18歳以上)
シルバーデモクラシーへの対抗措置。
潜在力
やや元気会の主導になってしまうにしても(誘導された括弧つきの「民意」であったとしても)、しがらみのない勢力が、新たな世論を喚起できる可能性はあるかもしれません。
たとえばメディアの利権やしがらみ。
(クロスオーナシップや電波利権など)
メディア自身が利益当事者で報道しない問題。
これらを突き崩すには、維新や元気会あたりの身軽な勢力の伸長が必須なのかもしれません。
おそらく事案によっては維新より身軽な元気会だからこそ…ということもあるはずです。
まぁ ハッキリ言って元気会は議員個人はともかく政党としては壊滅的にダメだと思うんですけど、そういう結論だと身も蓋も無いので、 「潜在力はあるかも…!」 と無理矢理に位置付けて記事を終了しておきます。