ラジオ各局で生放送しており、それを聴きました。
全文もネットで配信されています。
http://blogos.com/article/128265/
上は、ブロゴス。
もちろん官邸サイドや各報道機関からも出ているはずです。
何事につけても、最初に触れた印象がいちばん大きいもの。
今回は生放送を聞いて、
その印象をもとに、様々な解説や他人の感想が付け足されていくわけです。
いつものように新聞等の見出しを見て、そのバイアスを第一印象にしたのち、詳報を見るケースとは逆です。
やはり、多少の感じ方は変わってくるもの。
70年談話の感想を端的に書けば、
あれこれ突っ込んで批判したり、逆に激賞するのは野暮かな・・・というもの。
わりと無難にまとめたものに対して、極論をぶつけるのも非常識かなと。
国内外の一定の評価と、不満。
予想された談話の内容だけに、予想された反応というところでしょうか。
メディアによって記事の見出しが違うのは、この件に限らず毎度のご愛嬌。
個人的には、さらりと村山色をかわして安倍カラーに転換したあたりは、上手にやりおおせた印象です。
無駄に村山談話への攻撃をする次世代党の単細胞路線は、歴史修正主義との批判を強めるだけに、そこから距離をとったことは良かったと思います。
(とはいえ村山氏は安倍談話を批判。
その主張も一理あるのだろうが放置でよく…安倍談話は安倍談話)
大雑把には上記の通りで、あとは個別に3つほど見ていきます。
①
日露戦争肯定論ともとれる史観
談話で安倍総理が示した史観に対しては、いろいろな意見が散見されます。
それに対するあくまで個人的な意見ですが、総理はそんなに変な事は言ってないかなと。 (たぶん)
強いて言えば、日露戦争肯定論とも取れる発言があり、それが仮想敵国を前提とする同盟関係の肯定に繋がり、集団的自衛権とそれに対置される集団安全保障の論議に於ける、安倍総理の見解を端的に示していたようにも思います。
抑止論が同盟関係に頼った一面的なものであれば、それは本当の問題解決に向かってないと、批判される可能性はあるかもしれません。
日英同盟が日露戦争に踏み切れるきっかけになった。
日独伊の同盟があり大戦に踏み込んでしまった。
その見方が正しいかは置くとして、仮想敵国を前提にした同盟で日本は戦争を起こした歴史があるのだから、勝敗でもって肯定否定するのではなく、本来は戦争を回避できたほうが賢明であって、国連の集団安全保障を重視すべきという議論です。
当時は戦争のための同盟で、今は抑止のための同盟であろうから、その点は議論が錯綜するような気もしますが、しかしひとつの重要な論点かもしれません。
中国を仮想敵国とした現政権のやり方に、このような一定の釘を刺す言論は意味があるようにも思えます。
軍事力のバランスをとることはともかく、あまりに日中対立が煽られてしまうと問題が多いでしょうから、タカ派をけん制する言論が皆無だと、それもまた不安です。
ただし、それは安全保障の話をする時の議論であって、安倍談話を評価するときに突っ込むのは、少し野暮でしょう。談話の全体的な主旨は、別のところにあったのだから…。
②
台湾
談話の内容に話を戻すと、アジアの国名を列挙するとき、中国韓国より先に台湾を挙げたことは、総理個人の意図を感じました。(台湾が国かどうかの議論は置きます)
全体的にスピーチライターの作文と理解される談話ですが、それでも総理の意向を反映した内容が随所にあったはずで、それを素人目にも分かり易く示した例だったように思います。
私の素人的な感覚でいえば、台湾をきっちり持ち上げることは自然なことに思えます。
③
将来世代に謝罪を背負わせない
談話から一部引用
日本では、戦後生まれの世代が今や人口の8割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお私たち日本人は世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。
引用終了
ごく当たり前のことで、支持します。
もともと自分も思ってる事ですし…。
ただ、産経やらネトウヨさんが妙に強調しているのを見ると、
下手したら安倍談話全体の誠実さを損なう方向に行くのではないかと、少し心配です。
(受け手によっては、誤解されるということ)
全体的に見れば、過剰に持ち上げたり批判したりされる談話ではなく、無難にこなした内容。
しかし右派が下手に一部を切り取って激賞してしまうと、総理がバランスをとった意味が薄れます。
その意味でも、一部の右派の勝ち誇ったような幼児性は少し滑稽です。
戦後の日本が免罪された部分と、それを棚に上げて日本人(一部の右派)の納得感だけで対外的なケジメを曖昧にしたこと。
また、安倍総理も散々批判されて引っ込めた昨今の歴史修正主義など。
歴史問題については、中国韓国が誇張したクレーマーになってる部分もあるのだろうけど、日本の右派勢力が混乱させてる部分も大きい。
謝罪はともかく、対外的にも落とし処となる何らかのケジメ(儀式?)は必要なのかもしれません。
安倍総理の談話はその役割を目指したものでなかったので、安倍氏か、または違う誰かの課題として残るのだと思います。
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ごにょごにょ書きましたが、全体的に無難で、わりと最大公約数を狙って投げ込まれた談話だったのではないかと思います。
良い意味での安倍カラーも出し、悪い意味での安倍カラーは抑制された。
文章の主語が曖昧だったり、突っ込もうと思えばかなりツッコミはできるのだけど、おそらくそれもスピーチライターの計算の内であろうし、根掘り葉掘りも野暮というもの。