安保法制が参議院入りしています。
自民党の戦略、説明の仕方にも変化があるようです。
(説明時間の配分、内容ともに)
もちろん、総理補佐官である磯崎氏の 「(安保法制に必要があれば)法的安定性は関係ない」 のような法治国家を否定する如き致命的な失言、オウンゴールもあるのですが…。
いい加減、この手の発言は生産性が無い方向に迷走するから、やめとけと…。(*´Д`)
さて、個人的に自公の安保法制自体は支持していません。
第一には集団的自衛権が「違憲」であるからですが、他にもいろいろと問題が多すぎるため、少なくとも修正は必要でしょう。
しかし参議院に入っての与党の国会説明には、見るべきものもあると思います。
まず国会で安倍総理が 「中国」 を名指しすることを解禁。
どーせ左派メディアの中には、名指ししたらしたで批判する可能性もあるわけですが、変な遠慮は無用です。妙な腹の探り合いのような事もなくなるので私は評価。ストレートに国民に説明すれば良いと思います。
次に、 「個別的自衛権の範囲じゃないか」 …と、ヒゲの隊長のパロディ動画でもツッコミがあったミサイル防衛について。
7月29日毎日新聞3面より
首相は北朝鮮についても「ミサイルが発射されれば米国と日本の艦船がデータをリンクさせ、共同で軌道を計算して対処する」と説明。「米国の艦船が攻撃されれば日本のミサイル防衛に穴が開く。これは(集団的自衛権の行使を禁じた)かつての解釈を行った40年前にはなかった」と説明した。
引用終了
まるっと鵜呑みにしていいのかは素人なので分かりませんが、普通に分かり易く納得感がある説明だと思います。
合憲、違憲を一旦おけば、集団的自衛権の必要性があるのだと、認識させる内容。
(ただし、繰り返しですが私は集団的自衛権は違憲と見ているので、改憲すべきとの立場)
訓練のための法整備の必要性について。
7月29日 日経新聞より
自民党 佐藤正久氏
自衛隊は法律がないと動けない。法的な隙間を埋めることで国民のリスクを下げることが大事だ。この法律は早めに成立させる必要がある。
首相
自衛隊の活動は訓練も含め法的根拠をあらかじめ明確にしておくことが必要だ。法的根拠を明確にすることによって、平素から各国と連携した訓練や演習などが可能になる。あらゆる事態に対処する十分な準備のためにも一日も早い法制の整備が不可欠だ。
引用終了
一日も早くとか、そんなに焦るなよ…と、思わないでもない会話。(*´Д`)
ただし訓練のためにも法整備が必要との認識には、一定の説得力があるようにも思います。
何紙か見て、このあたりは 「ほうほう」 と思った次第。
衆議院の時よりも、やや分かり易くなってきてる気が致します。
しかし、未だにホルムズがなんとか言ってるんだよな…。(*´Д`)
ホルムズについては、さんざ批判があるのでそれを添付。
ホルムズ海峡の機雷掃海――安倍首相の「妄想」
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2014/0623.html
なるほドリ・ワイド:安保法案/中 ホルムズ海峡の機雷掃海
http://mainichi.jp/shimen/news/20150719ddm003070091000c.html
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◆「日本の明白な危険」に相当するの?
◇政府、石油輸入の危機を強調
なるほドリ 政府は集団的自衛権を使い中東のホルムズ海峡で機雷(きらい)を取り除く活動ができると言っているね。
記者 水中に設置された機雷は近づいてきた船を感知(かんち)して爆発するので、処理するまでタンカーなどは通れません。現地で戦争が続いている場合、機雷を取り除く活動は憲法で禁じられた武力行使に当たる恐れがあり、政府は「今ある法律では対応するのが難しい。集団的自衛権で対処できるようにすべきだ」と主張しています。
Q 中東は遠いよね。集団的自衛権を使えるようになる「日本の存立が脅かされる明白な危険」なんてあるのかな。
A ホルムズ海峡は日本が輸入する原油の8割、天然ガスの3割が通ります。政府は「半年分のエネルギー備蓄があるので、封鎖されてもすぐ電気やガスが止まることはない」としながらも、「備蓄がなくなれば、暖房が使えず凍死する人が出るかもしれない。そうした危険がある以上、集団的自衛権を使って機雷を取り除いても憲法違反にはならない」と説明しています。
Q でも、日本が直接攻撃されるわけじゃないんでしょ。
A ホルムズ海峡が封鎖されると石油などの値段は上がるかもしれませんが、他の地域から輸入ができるので、国内のエネルギー供給が完全にストップすることはないというのが一般的な見方です。ホルムズ海峡経由で大量の石油を輸入している中国やインドのような国が先に機雷を処理する、という指摘も出ています。与党内からも「中東で日本が集団的自衛権を使うことなどあり得ない」との声が上がっています。
◆政府はなぜ機雷にこだわるの?
◇湾岸戦争教訓、存在感示す狙い
Q なぜ政府はこだわっているのかな。
A 1991年に起きた湾岸戦争では、ペルシャ湾に設置された機雷を日本を含む各国が協力して取り除きました。ただ、日本は巨額の資金援助をする一方、憲法との関係で戦争が完全に終結するまで機雷処理活動を始められず、安倍晋三首相は著書で「お金の援助だけでは世界に評価されない」と書いています。
国際社会で日本の存在感を示せるように、できるようにしておきたいとの思いがあるのかもしれません。
Q 政府は集団的自衛権を使ってホルムズ海峡の他にも、機雷を取り除くことを考えているのかな。
A 野党議員の「南シナ海に設置された機雷を取り除くために行使することはあるのか」との問いに、首相は「ホルムズ海峡は(幅が)ギュッと締まっている(ので機雷が設置されるとタンカーが通れなくなる)が、南シナ海は基本的に迂回(うかい)できる」と答えています。南シナ海で集団的自衛権を使い機雷を取り除くことは想定していないとの説明ですが、できないと明言しているわけではありません。日本が攻撃される危険がなくても集団的自衛権を使えるようになっていることが、行使の対象が際限なく広がりかねないとの疑念を生む原因になっています。(政治部)
引用終了
ここらは、「存立危機事態の恣意性」と相まって政府がフリーハンドで派兵できるための布石だよなぁ と見られてますよね。
もうホルムズでの説明は、やめときゃいいのに…。(汗)
少し逸れますが、高橋洋一氏の記事
同盟と不可分の集団的自衛権
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150728/dms1507280830003-n1.htm
明らかに片手落ちの記事でしょうが、メリット説明としては正しいんだと思います。
国と国との抑止力と言う観点では、集団的自衛権は有効。そこは否定しようがない。
ただし左派が抱く懸念、テロのリスク向上については、東アジアでの抑止論では守備範囲外でしょうから、この記事の様な内容だけでは説得材料にならないと思います。
(噛み合わない)
その意味でもホルムズの説明なんて、意味不明で疑念を払しょくできないわけです。
そしてやはり合憲違憲論。
歴代法制局の答弁との違いなどを指摘されています。
民主、違憲性の追及継続
http://mainichi.jp/shimen/news/20150729ddm003010044000c.html
図はクリックで拡大可能
◇「歴代法制局答弁と矛盾」
安全保障関連法案は28日、参院平和安全法制特別委員会で実質審議入りした。民主党は衆院に引き続き集団的自衛権の行使容認の「違憲性」に焦点を当て、過去の政府答弁を持ち出して政府の説明の「矛盾」を追及。政府・自民党は中国の海洋進出の具体例を挙げて安全保障環境の変化を強調し、法案の必要性をアピールした。【飼手勇介、青木純】
「歴代法制局は限定的な集団的自衛権の行使を否定してきた」
民主党で最初に質問に立った福山哲郎氏は、集団的自衛権の行使に関し、横畠裕介内閣法制局長官が衆院審議で繰り返した「昨年7月(の閣議決定)以前の国会答弁は、いずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかった」との答弁を「虚偽答弁」と追及した。民主党が焦点を当てたのは、法案の違憲性だ。
1986年3月の衆院予算委員会では「必要最小限度の範囲内であれば集団的自衛権の行使も可能という解釈も成り立つか」との質問に、当時の茂串俊内閣法制局長官が「他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と答弁。福山氏は集団的自衛権の限定容認も「違憲」としたこの答弁を挙げ、「完全に(今の)政府の議論を否定している」と批判した。
政府はこれまで、歴代政権が憲法上行使が認められないとしてきた集団的自衛権は、あくまでも他国防衛を目的とする「フルスペック(全部)の集団的自衛権」だと主張してきた。他国が攻撃され日本の存立が脅かされる場合に認められる「集団的自衛権の限定的な行使」は容認できるとの解釈を繰り返してきた。だが、集団的自衛権の限定容認も否定した過去の政府答弁を挙げれば、政府側の説明の「矛盾」を浮き彫りにすることができるというのが、福山氏の狙いだ。
福山氏はさらに81年、当時の角田礼次郎内閣法制局長官が外国による他国への武力攻撃が間接的に日本に影響を与える場合の集団的自衛権を「行使できない」とした答弁も挙げて追及。安倍晋三首相は「法制局としてはフルスペックしかあり得ないとの考えのもとで答弁している」と理解を求めたが、集団的自衛権の限定容認を否定した過去の政府答弁との矛盾をいかに説明するか、重い宿題を負った形だ。
衆院審議では、政府側は憲法学者らによる「違憲」批判で守勢に回り、集団的自衛権の行使容認の憲法解釈の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りとなった。民主党が参院審議でも法案の違憲性に焦点を当てたのは、国民の法案への批判を高めるのが狙いだ。
福山氏に続き、小川敏夫氏は、首相が憲法で禁じられる海外派兵の例外で中東・ホルムズ海峡の機雷掃海を認めたことを挙げ「憲法を首相は分かっていないから、憲法違反のものをころりと解釈を変えてしまう」と批判。大塚耕平氏も、集団的自衛権の行使容認について「憲法9条で鍵がかけられていたが、憲法改正により鍵をあけるのではなく、裏口から入り込んだ」と憲法解釈変更を皮肉った。
引用終了
最後に、また毎日新聞ですが7月27日朝刊の社説
「安保法制を問う 憲法の枠内で再構築を」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150727ddm005070059000c.html
安全保障関連法案の参院での審議がきょうから始まる。
集団的自衛権の行使を認めた関連法案は憲法違反との国民の批判が広がっているのに、安倍政権はそうした声に耳を傾けようとせず、衆院で法案の採決を強行した。参院の審議では、衆院で不足していた議論を補い、国民の批判や不安に応えるわかりやすい議論を求める。
各種世論調査で、国民の過半数が法案は違憲と考え、6割が今国会での成立に反対し、8割が説明不足と答えている。民意と国会の乖離(かいり)は深刻だ。首相に近い自民党議員らが、批判的な報道機関に圧力をかけるよう求める発言をしたこともあった。
◇違憲法案の成立認めぬ
国民の声は、法案への反対にとどまらず、立憲主義や民主主義が危うくなりかねないという不安にまで拡大しているように見える。
安倍政権が「憲法違反」という土台のうえに法整備をしようとすれば、法体系の安定性は損なわれるだろう。憲法への信頼が失われ、国民の間にまたいつ憲法解釈が変わるのかという不安まで生じかねない。
国民的な合意がない中で、自衛隊がどういう場合に武力行使に踏み切るかという国の基本的な有りようが変われば、自衛隊の安定的な活動につながらなくなる可能性もある。
集団的自衛権に関わる法案は、成立させるべきではない。
ただ、11本もの関連法案の中には、国連平和維持活動(PKO)協力法の改正案のように、修正したうえで与野党の幅広い合意を得て成立を目指すべきものがある、と私たちは考える。
先週、安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使という戦闘行為につながる問題を、隣家の火事での消火活動に例えて説明した。わかりやすく工夫したつもりだろうが、単純化した比喩で説明できる問題ではない。
国民は、定義を延々と読み上げる国会答弁でなく、首相から安全保障の現実を踏まえた誠実な言葉を聞きたい、と願っているのではないのか。参院審議では、改めて憲法との関係について丁寧な説明を求めたい。
同時に、骨太な安全保障論議をすることによって、必要な安保法制を絞り込むような論戦を期待したい。法整備の必要性について「安全保障環境の変化」や「パワーバランス(力関係)が変わった」と言うだけでなく、具体的議論を深めてほしい。
それには、安保環境の変化をどう見るか、日本はどう関わるべきかという根本から議論すべきだ。中国や米国との関係、中東、朝鮮半島情勢について、もっと論じてほしい。
例えば、中東では過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織の活動が活発化している。私たちは、この地域では非軍事支援を基本とした姿勢を維持すべきだと考える。ホルムズ海峡で停戦前の機雷掃海をするなど、集団的自衛権を行使することは認められない。
重要影響事態法案のように、国連決議もないのに日本の安全に重要な影響を与えるという理由で、中東や南シナ海など日本周辺以外で、自衛隊が米軍などに後方支援できるようにすることにも、賛同できない。
◇PKO拡充は検討課題
一方、朝鮮半島情勢は、中東や南シナ海と違って、日本の安全に直接の影響を及ぼす可能性が高い。
現行の周辺事態法は、朝鮮半島有事を想定し、自衛隊による米軍への後方支援を可能にした法律だが、輸送を除いて医療や補給などの支援は、日本の領域で行うことになっている。法改正により、支援の内容によっては公海での活動を認めていいのではないか。ただし、日本周辺という地理的な制約は維持すべきだ。
また安倍政権は、朝鮮半島有事を想定し、米艦船の防護などは集団的自衛権を行使しなければ対応できないと言うが、私たちは基本的に個別的自衛権の範囲内で対応できる、と考えている。
関連法案の中には、日本の安全とは別に、国際社会への協力拡大を目指した法案も含まれている。
このうちPKOは、法改正により拡充を検討すべきだ。ただ、政府の案には、巡回や検問など治安維持任務を追加する内容も含まれており、こうした活動には問題が多い。
国連決議のもとで自衛隊による他国軍への後方支援を随時可能にする国際平和支援法案も、非戦闘地域で活動するという制約を維持し、弾薬の提供を禁止するなどの修正ができれば、検討に値するのではないか。
沖縄県・尖閣諸島に武装した漁民が上陸した場合などを想定したグレーゾーン事態にどう対応するかについても、せっかく民主党と維新の党が共同で対案を提出したのだから、しっかり議論してほしい。
安倍政権は、集団的自衛権ありきの考え方をやめるべきだ。憲法解釈を維持したうえで、その枠内で必要な安保法制を整備することが、国民の納得が得られる現実的な安全保障政策だと考える。
引用終了
まずはこれくらいの内容に収めて合意を得るべきでしょうか。
しかし日本を守るためには集団的自衛権の必要があるということであれば、それは改憲の是非を国民に問う内容ということ。
堂々と手続きを踏んでいただきたいところです。