
今回はピル服用中の不正出血に対する対処法をご紹介します。
ピル服用中の不正出血には大きく分けて2種類あります。
基本的に心配いらないタイプの出血がほとんどで
出血しても避妊効果には問題ありません。
A. ピルをのみ始めて、最初の2~3シートの間に起こる不正出血
1シート目に不正出血が起こることが多く(10~30%)、徐々に減っていき、数ヵ月以降には不正出血がなくなっている、という例が多いです。
また、不正出血が起こるのは喫煙者に多いといわれています。
自然になくなるタイプの出血なので、特別な対策は不要です。
なぜ、ピルのみ始めに不正出血が起こるのか?
自然の状態では、月経後、子宮内膜が徐々に厚くなって、妊娠するための準備をします。ピル服用中は、ホルモン作用によって子宮内膜が薄くなります。今まで厚くなるのが普通だった子宮内膜が、薄い子宮内膜になるので、その変化に適応するまでの間に不正出血が起こりやすくなります。
B. 服用後数ヵ月~半年以上たってから不意に起こる不正出血
対策a
長くピルを服用している間の不正出血の多くは、ピルに含まれている黄体ホルモン剤の影響で子宮内膜が少しもろくなることが原因です(専門的にいうと脱落膜化といいます)。専門用語で破綻(はたん)出血とよばれる出血です。放っておいてもよいのですが、シートの前半で出血すると長引くので、たとえばプレマリンという薬を1日1錠、7日間のめば大抵止血します。
対策b
また、21日型タイプのピルでは休薬期間(偽薬服用期間)が7日間ですが、その間に卵胞が途中まで発育することがあります(つまり卵巣の周期が元に戻ろうとする)。卵胞が途中まで発育している間に少しエストロゲン(卵巣から出る女性ホルモン)が増え、その後に減るので、消退出血(エストロゲンが減ることによる出血)という不正出血が起こります。ですから、何度も出血する人の場合には、24日型タイプのピルのように実薬を24日服用して休薬を3~4日にしてみるという手を試してみるのもよいです。ただし、この方法を利用するには1相性のピルを使う必要があります。
その他、見逃しやすい不正出血の原因
まれですが、感染(例えばクラミジア感染)が原因で出血するということもあります。その場合、おりものの色が黄色や茶色っぽくなったという程度の軽い出血である場合が多いです。
よくある誤解
不正出血が続いた場合、ピルの種類を変えたら出血が止まったという経験をした人は多いと思います。実際は単に時間がたったから止血しているだけで、ピルを変えたからではないらしいです。
(今回の話題は婦人科業界では有名なSperoffの教科書第8版を参考にしました)

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