宮本浩次 バースデーコンサート 2023.6.12 「my room」 | ラフラフ日記

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主に音楽について書いてます。

宮本浩次 Birthday Concert 2023.6.12 at ぴあアリーナMM 「my room」
2023年6月12日(月) ぴあアリーナMM

 

得意の弾き語りを始め、宮本浩次が一人で、いわば「独演会」形式で
全身を使った渾身のパフォーマンスをお届け致します。
(「宮本浩次」公式サイトより)

 

独演会!
この言葉を聞いただけでドキドキワクワクした。
全身を使った渾身のパフォーマンス!

 

ライブの数日前、自分の中のいつもと違う感覚に気づく。
ソロでもなく、エレファントカシマシでもなく、宮本浩次を楽しみにしているという感覚。
これははじめての感覚な気がする。
弾き語り、コラボ、縦横無尽バンド、カバーコンサートとソロ活動をしてきて、エレファントカシマシの新曲と 35周年ツアーがあって、次はいよいよ宮本浩次!という感覚があった。

そして行ってきた独演会、「my room」、いろいろと語ることはあると思うけど、まずはこれを言わせて欲しい。

宮本浩次って、

 

こんなに格好良かったのぉぉぉ~~~!!!?

え?今さら何を?と思うかも知れないが、思い出せる人は思い出してみて欲しい。

例えば、30周年のときのエレカシとか、こんなに格好良くなかったから。

いや、語弊があるな。

いや、それでもいい。こんなに格好良くなかった。

服を脱いだり着たり、ジャケットを手に持ったり、椅子に座ったり寝転んだり、

 

こんなに一挙手一投足が格好良いのなんて、私が知る中じゃ~他に浜崎あゆみくらいだよ!(※1)

今までだって格好良かったけど、それは隠されていたというか、隠れていたというか。

それで私は思い出したのだ。縦横無尽完結編が終わったころの宮本浩次のインタビューで、これは大事なことを言ってると思ってメモしたことを。

 

詰め切れなかったのは、演出家のせいではなくて、俺が伝えるのが拙いからで。ここが、素質超一流、出方が二流で生きてきた俺の一番の弱点だと思ったわけよ。

マイケル・ジャクソンやプリンスも、自分をプロデュースするあれだけのアイデアと、形にする力を持っていて。演出家にも、それをちゃんと言葉で伝えている。私も演出のことを、二流でもいいから、伝える努力をしなきゃいけないっていうことはすごい感じたし。

でもソロをやるんだったら、さっき言ったように、二流でも三流でもいいから、人に俺をこうやって見せたいんだっていう思いをちゃんと伝えなきゃいけない。

 

(JAPAN か何かのインタビューでの宮本浩次の発言……メモしか残ってないので正確じゃなくてすみません)

 

素質超一流、出方が二流

 

まさにそんなエレファントカシマシ(宮本浩次)を愛してたじゃないか!?

遡れば、さっき言った 30周年のさいたまスーパーアリーナでのライブを映像で振り返ったときも宮本浩次は、衣装があんまり似合ってなかったとか、ヘアスタイルが中途半端だったとか言っていた。「奴隷天国」の風船のタイミングとか、「RESTART」で炎が出る演出とか、そういういろんな仕掛けをやってるけど、100%うまくいってはいない。でも、そこも含めて、そのもどかしさも含めてエレファントカシマシは愛されていたと。

そこで前に私も言った、マドンナやレディー・ガガの名前をあげて、そういう超一流のステージじゃないエレファントカシマシ独特の世界が 30年かけて愛されて来たと。その感動がでかかったと。で、それは 30周年までだと言った。
これからは、照明も、衣装も、ステージングも、セットも、本当の 100点を目指す。30周年で「もうこのまま行っちゃうんだろうな」と思ってたけど、さらに飛躍して行けると思った。もっと磨けば、本当のショウを、これからこの 10年で、築いていけるんじゃないか――。

そのとき私は「時は来た!」と思い、そのときの決意はここに書いた。

 

 

それがこの 2023年6月12日、この格好良さよ!

 

これが見せ方、演出か。

 

やっと、やっと、ソロでもない、エレファントカシマシでもない、宮本浩次に会えたー!

 

ソファーのような椅子がいくつか置いてあり、洒落た照明スタンドもあり、水の入った瓶とコップ(not ペットボトル)があり、絵なども飾ってあり、まさに部屋を模したステージセットを、宮本浩次は自由に行き来し、立ったり座ったり、花道を歩いたりしながら、弾き語るわけだけど、これ、自由に見えて、細かくきっちりいろいろ準備したり決めたりしておかないと、成立しないライブだ。

自由を演出する? いや、制約があればあるほど自由になっていく? 自由のために制約がある?


宮本浩次を追いかけるカメラとか照明とか、いろんな角度から「my room」を映し出すカメラ&スクリーンとか、ばっちりなタイミングで降りてくるミラーボールとか、スタッフのいろいろ、何かそういういろいろにひとつひとつ感動してしまった。

演出とかが特になかったはずのエレファントカシマシの方が「型」や「演出」を感じてしまうくらいに、ソロはソロで「ソロ」という「型」を感じてしまうくらいに、この日の宮本浩次は「自由」に見えた。が、実際には今回の方が「演出」はあったはずだ。

ソロでもエレカシでもない宮本浩次と書いたけど、そしてそれにやっと会えたと書いたけど、こちらの方が演出された宮本浩次なのかも知れないね。

「こんな人だったんだ?」って思う瞬間も結構あったよ。こんなことやる人だったんだ?みたいな。

あまりにも格好良くてミーハーな気持ち感じちゃったよ。前からだけど(笑)。

 

ライブの一週間前に、公式ツイッターが 2004年の「宮本浩次初のソロ弾き語りライブ」の動画をアップした。

 

 

これに私は興奮して、「I remember!」と心の中で叫んでしまったけど、2004年のとき私は「宮本一人バンド状態」と書いていた。そして、宮本のことを「バンドの人」だと。

 

 

それが今回、「ソロ」(独演)に――。

そっか、宮本浩次は「バンドの人」ではあるけども、「一人でバンドもできる人」でもあったのかも知れない?…ってな思いで、それを確かめる気持ちでこのライブに向かった。

どうだったろう。宮本は「一人でバンドもできる人」であっただろうか。

同じ「ソロ弾き語り」でも、2004年のときの「宮本一人バンド状態」とは違っていたように思えた。

2004年のときは、観客も「エレファントカシマシの宮本浩次」を求めていたし、宮本自身も「エレファントカシマシの宮本浩次」であろうとしていた(というか、そうなっちゃってる)と思う。観客も宮本も「エレファントカシマシ」しか知らなかった。

だが 2023年現在、観客も宮本も「エレファントカシマシ」しか知らないわけではない。「エレファントカシマシ」を求めなくったっていい。

エレファントカシマシ以外の世界も知ることができて、心から良かったよ。

エレファントカシマシしか知らなかったころにはもう戻れないけど。

今回のライブは、「宮本一人バンド状態」ではなかった。

ステージには一人しかいなかったけど、「一人ですべてをやろうとしている」ようには見えなかったし、「バンドの音」を鳴らそうとしてるとも思わなかった。で、一人ですべてをやろうとしてはいないけど、「宮本浩次」の鳴らす音楽だった。

だから、宮本は「一人でバンドもできる人」ではなくて、今回は、照明やカメラ、椅子やコップ、イヤモニやヘッドセットなどがバンドメンバーと言えるのかも知れない。だから、スタッフがバンドメンバーか。

 

2004年のときはすごく照れてた印象があるんだけど、それで言えば今回は、こんなこと言ったら失礼かもだけど、よく照れずにできたなみたいな? これがソロの力か?

「OH YEAH!(ココロに花を)」って、めちゃくちゃ良い曲なんだね。ギターの哀愁がすごい。「冬の花」と近い曲順でやって、その流れで聴いたからなおさら。

 

「翳りゆく部屋」は、こないだ観たばかりだから、ユーミン!ってなった。

 

「やさしさ」が新鮮だった。これがバンドだとああなるんだ!というか、バンドになる前はこうだったんだ!というか。曲の源泉に触れる感じ。

原形は、あんなビートルズの「オー!ダーリン」みたいな感じじゃなかった。エレカシでいったら、「サラリ サラ サラリ」に近い感じ?

これがエレカシでやるとああなるんだから、そりゃ「エレファントカシマシ誕生!」って感じになっちゃうよね。

 

でも、不思議ではある。だって、どれが原形かなんて私にはわからないはずなんだから。

そう言えば、どの曲も「バンドの曲を弾き語りにアレンジしました」という感じはなく、どれもが「これがこの曲の原形」として響いてきた。バンドありきの弾き語りじゃないんだよ。

 

「恋におちて -Fall in love-」は、あの瞬間、みんなもう恋に落ちてたよね?

 

「君がここにいる」、たぶん私、はじめてライブで聴きました。

私がはじめて買ったエレカシの CD 『愛と夢』に収録されてる曲ですよね。

 

で、思ったんですね。

 

君はひとりじゃない

僕はここにいる

 

これに限らず、こんな甘い言葉や前向きな言葉こそ説得力を持たせるのが難しいんじゃないか? そして思ったんです。

 

こんな甘い言葉や前向きな言葉を説得力を持って響かせられるのなんて、宮本浩次と浜崎あゆみくらいだよ!(※2)

 

あと、これは開演前にも思ったんだけど、ぐるりと会場を埋め尽くす一万人。この一万人と一人で対峙するって凄いことだなって。これはポール・マッカートニーが一人で五万人と対峙したときにも思ったことなんだけどね。

 

花道を歩く宮本浩次に、わぁーっと盛り上がって目で追ってたら、宮本浩次の向こう側にたくさんの観客が見えて、ああ、一対一で宮本浩次に集中してたけど、ここに居るみんなひとりひとりが一対一で宮本浩次に集中してるんだと思ったら、さっと我に返ったというか、ぶるっと震えたというか、「一人一人だけど、私からはみなさん」みたいなことを宮本も言ってたけど、一万人が一人を見てるっていう。

 

(※1)(※2)まぁまったく個人的な見解なんだけど、本気で思ったんだよ! 宮本浩次がソロを始めてから、浜崎あゆみの凄さが改めてわかるみたいなことが多くて。「エレファントカシマシと同じくらい壮絶なものとして浜崎あゆみを見ていた」という気づきがあったくらいだから。機会があったら、浜崎あゆみのスーパースターぶりも気にしてみてください!

 

そして私は気がついた。今年は浜崎あゆみも自分の誕生日(10/2)に横浜でライブだ!

 

そうそう、この日はソングバースの上野皓平もソロワンマンライブやってて、セットリスト見たら、「月夜の散歩」(カバー)とあった。これはエレカシのだよね? 宮本浩次もこの日「月夜の散歩」やったから、なんか嬉しい。

 

ああもう、こんなにも幸せなライブを見せてくれるもんだから、言いそびれてしまうじゃないか。

 

宮本浩次さん、誕生日おめでとうございます!