1598年に秀吉没、1600年の関ヶ原で石田光成没、1603年に家康が将軍となって、1615年に大坂夏の陣。
日本の時代劇で名実ともに江戸時代となるのは1615年の大坂夏の陣のあと、2代将軍・秀忠の治世からであり、幕府成立から夏の陣までは戦国時代の延長のように扱われる。
 
江戸時代→明治時代
慶応3年(1867年)に大政奉還、その後の王政復古は陰暦では慶応3年だが、陽暦では1868年になる。
慶応4年(1868年)に戊辰戦争、江戸開城、秋に慶応から明治への改元である。
すると江戸時代が終わったのはいつであろうか。
『必殺からくり人・血風編』は王政復古のあと、官軍が江戸に向かっていた慶応4年の前半が舞台。
つまり明治元年とされる1868年の話である。
天皇が京都から東京に移ったのは1869年、廃藩置県と断髪令は1871年であった。
幕末~明治を扱った時代劇では、明治10年(1877年)の西南戦争まで扱うのが普通である。
 
そもそも江戸時代は17世紀から19世紀の初めの3分の2までを含み、西洋であれば近代に入る。
「近世」というのは日本史特有の分類である。
 
戦国を扱った時代劇の多くが夏の陣まで描き、幕末を扱った時代劇の多くが西南戦争まで描くのは、それだけ時代の変化には時間がかかったということだろう。
あるいはNHK大河ドラマが人物傳であることも関係している。
 
『風林火山』は主人公が山本勘助なので、彼が戦死した川中島の合戦で終わりである。
信長が主人公であれば最終回話本能寺の変までで、秀吉が主人公であれば2度目の朝鮮出兵の途中で終わり。
大河『信長』が本能寺の変で終わったときは、そのあとに『琉球の風』が続いて江戸時代初期に移っており、『信長』で仲村トオルが扮した秀吉が『琉球の風』の第1話にも登場した(家康役は郷ひろみから小林旭に変わっており、家康は大御所になって恰幅がよくなったようだ)。
 
一方、秀吉の妻・北政所が主人公の『おんな太閤記』は北政所が江戸時代まで生きたので、夏の陣のあとまで描かれた。
徳川家康や秀忠、江が主人公であれば、戦国から江戸時代まで生きた人物が主人公なので、描かれる時代も安土桃山時代から江戸時代までになるのは当然である。
 
幕末の場合、井伊直弼が主人公なら桜田門外の変で終わり。坂本龍馬が主人公なら、大政奉還のあとで龍馬が暗殺されて終わり、王政復古まで描かれない。それでも『龍馬伝』でスタッフは岩崎弥太郎というもう一人の主人公を立てて、明治まで描いた。
『篤姫』も主人公が天保年間に生まれて明治まで生きたから、劇中の時代もそれと一致した。
『翔ぶが如く』は西郷隆盛と大久保利通が主人公なので、西南戦争のあと、大久保が暗殺されて話が終わったわけだ。
 
鎌倉時代の始まりを1185年とする見方について、「天皇の権威を無視しようとする動き」として警戒する見方がある。だが、もし反天皇制の一派が鎌倉時代を「源氏の対抗勢力だった平家が滅んだ1185年」のスタートとしたのなら、その人たちは江戸時代の始まりを「家康が幕府を開いた1603年」でなく「大坂夏の陣で豊臣が滅んだ1615年」にしたがるはずで、さらにその終了を「明治改元の1868年」でなく「西南戦争のあった1877年」にするはずである。
 
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2012年6/20
 
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