行雲流水的くっぞこ -29ページ目

ルブラン/南洋一郎「ポプラ社 怪盗ルパン全集」その1

 ポプラ社のモーリス・ルブラン原作/南洋一郎訳の「怪盗ルパン全集」について。

 これから分かり易いように、昭和45年以前の版を「旧版」、昭和46年以降の版を「新版」と記していきます。


 旧版と新版の違いについて記していきます。


 カバーの表紙・裏表紙に同じイラストが使われているので、昭和33年から平成まで同じ本が出版されていたと混同しがちかもしれません。私も全然気付かなかったんですけどね(笑)

 例えば第1巻「奇巌城」左が旧版、右が新版。

 まず、カバーを外した表紙・裏表紙・背表紙が違います。

 新版はカバーと同じイラストが使われています。

 しかし旧版はカバーと表紙・裏表紙は違うイラストが使われています。しかも全巻同じイラストが使われています。

 表紙はパリの地図の前で仁王立ちのアルセーヌ・ルパン。左が旧版、右が新版

 裏表紙はパリの風景画。同じく左が旧版、右が新版。

 背表紙だけにタイトル名が書かれていて、表紙・裏表紙にはイラストだけでタイトル名・著者名は書かれていません。


 見返しの部分のイラストも違っています。

 旧版はパリの凱旋門とルパンのシルエットが描かれています。

 新版はルパンの書斎という感じで、シルクハットや本、短剣やランプ、酒瓶などのイラストが描かれています。

 細かいところですが、カバーの背表紙のルパンのイラストが違います。同じく左が旧版、右が新版。

 どちらも円の中にルパンの横顔が描かれていますが、旧版は右目に片眼鏡をかけています。新版はイラストのバックが赤で周りにアルセーヌ・ルパンと書かれています。

ルブラン/南洋一郎「ポプラ社 怪盗ルパン全集」その2

 分かり易いように、昭和45年以前の版を「旧版」、昭和46年以降の版を「新版」として記していきます。


 ポプラ社の怪盗ルパン全集の旧版と新版1~15巻の違いについて。


 その1では表紙について説明しましたが、今回は本文について。

 単刀直入に言うと、かなり手が入っているというか、完全に書き直されていると言って良いんじゃないですかね。


 例えば第1巻「奇巌城」を例に出すと、

 旧版は総ページ304ページですが、新版は262ページと、42ページ少なくなっています。細かく見ていくと、文章自体が違っていますし、章もいくつか減っています。

 これは「奇巌城」に限らず、1~15巻全てにおいて書き直されて短くなっています。


 顕著なのは短編集ですね。


 1~15巻には「怪盗紳士」「八つの犯罪」「七つの秘密」という3冊の短編集が入っています。それらの3冊の短編集の旧版と新版では収録作が違うんです。

 これらの3冊の短編集はそれぞれ「怪盗紳士」「八点鐘」「アルセーヌ・ルパンの告白」という短編集をもとに翻訳されたものなんです。

 旧版は、この3冊は傑作選みたいな感じで、別の短編集からも短編が収録されているんです。

 新版では、新しく翻訳された16巻以降に何冊か短編集が出版されました。そのため、他の短編集から前述の3冊の短編集に収録された作品は、それぞれ16巻以降の(元々の)短編集に収録され、3冊の短編集から外されました。代わりに別の短編が収録されています。

 もう一つ、第13巻「ピラミッドの秘密」について。

 この長編「ピラミッドの秘密」は、まえがきによれば、いくつかの短編を南洋一郎さんが組み合わせて長編にしたものなんですね。

 前述の短編集の理由と一緒で、新版では16巻以降の短編集に収録するために、旧版「ピラミッドの秘密」冒頭に登場するエピソードが一つ削られて、その短編は16巻以降の短編集に収録されています。

 私が小学校の時に初めて読んだ「ピラミッドの秘密」は新版のほうなんですけど、もともと短編を組み合わせた作品なせいか全く違和感ないんですよね。

ルブラン/南洋一郎「ポプラ社 怪盗ルパン全集」その3

 分かり易いように、昭和45年以前の版を「旧版」、昭和46年以降の版を「新版」と記します。


 ポプラ社の怪盗ルパン全集の「旧版」と「新版」の違いについて。


 あとは本文の挿絵が変わっているんですよね。挿絵というか担当されている画家さん自体変わっています。旧版「奇巌城」の挿絵の一葉。

 挿絵画家さんを一覧にまとめてみました(敬称略)

               旧版       新版

(1)奇巌城        奈良葉二   中村英夫

(2)怪盗紳士      奈良葉二    岩井泰三

(3)8・1・3の謎     奈良葉二   岩井泰三

(4)古塔の地下牢   奈良葉二    岩井泰三

(5)八つの犯罪     山内秀一    中村英夫

(6)黄金三角      奈良葉二    岩井泰三

(7)怪奇な家      奈良葉二    岩井泰三

(8)青い目の少女   奈良葉二    岩井泰三

(9)怪盗対名探偵   中村猛男    山内秀一

(10)七つの秘密    清水勝     中村英夫

(11)三十棺桶島    奈良葉二    柳瀬茂

(12)虎の牙       奈良葉二    柳瀬茂   

(13)ピラミッドの秘密  柳瀬茂     柳瀬茂

(14)消えた宝冠     柳瀬茂     岩井泰三

(15)魔女とルパン    柳瀬茂     柳瀬茂


 ここで注目なのが第13巻「ピラミッドの秘密」と、第15巻「魔女とルパン」。

 旧版も新版も挿絵画家さんは柳瀬茂さんで、しかも載っている挿絵も旧版と新版と同じ…のように、「一見」見えるんですよね。

 でもよく見比べてみると違うんですよ。

 同じ構図で描かれているんですが、良く見比べると色の塗り方や線が違うなど、描き直されているんです。例えば「魔女とルパン」の中の挿絵。左が新版、右が旧版。

 旧版の全ての挿絵が新版に載っているわけではないんですが、それでも挿絵20点以上です。旧版で使用された挿絵を新版にそのまま転載すれば良かったのでは?と思うんですが、何でこんな二度手間な事をされてるんですかね?

 個人的な想像で言うなら、例えば原画が紛失したとか? 分からないですね。

ルブラン/南洋一郎「ポプラ社 怪盗ルパン全集」その4

 分かり易いように、昭和45年以前の版を「旧版」、昭和46年以降の版を「新版」と記していきます。


 旧版・新版とは関係ないですけど、値段と裏表紙について。


 ポプラ社の怪盗ルパン全集を、ネットの通販で1冊1冊バラで買っていったので、手に入れた本の出版の年代がバラバラになったのは以前書いた通り(笑)

 一番古いものだと昭和40年、一番新しいもので平成7年。30年の幅があります。

 30年も違いがあると、本の値段が変わってくるんですね。古い順に並べていくと。

 280円 → 380円 → 480円 → 600円 → 618円(消費税込) → 700円(消費税込)

 30年で2.5倍になっています!(笑)

 カバーの裏表紙のイラストは全部の年代で同じお城のイラストです。

 値段を入れる場所も様々です。

 細かいところですが、一番新しい平成7年の本では、単行本の本体にバーコードを印刷するスペースを空けるためにお城のイラストが縮小されています(笑)

 左が昭和40年刊行、右が平成7年刊行。

 新版もいくつかリニューアルしていて、細かいですが例えば表紙の紙質の違いとか(笑)

 昭和46年版はザラザラした紙質。

 昭和47年以降は縦横に繊維が入ったような布みたいな紙質。これが一番ポピュラーですね。

 平成7年版はツルツルした紙質。

 私が手に入れたものだけで3種類の紙質の違いがありました(笑)


 おまけ


 2012年にモーリス・ルブランさんのご逝去後70年以上こっそり保管されていたルパンものの小説が発掘されて「ルパン最後の恋」として出版されました。日本でも出版されたんですが、ポプラ社からも子供向けに翻訳されたバージョンが出版されました。

 南洋一郎さんは昭和55年にご逝去されているので、「ズッコケ三人組シリーズ」で有名な那須正幹さんが翻訳されています。表紙はポプラ社の「怪盗ルパン全集」のコラージュになってます。


 2016年にポプラ社から「みんなの怪盗ルパン」が出版されています。

 5人の推理作家が書いたルパンのオマージュ作品を収録したもの。表紙は「怪盗ルパン全集」ぽい感じのテイストになっています(笑)

 

 ここまで、ポプラ社の怪盗ルパン全集について書いていますが、私が初めてルパンの本に触れたのはポプラ社の方じゃなくて、別の本でした。

 あかね書房の「推理探偵傑作シリーズ」。


 色々な作家さんの探偵小説が収録されている全25巻の全集でした。その中にルパンものが3冊含まれていました。これはその中の1冊「怪盗紳士ルパン」

 大きな特徴は表紙や挿絵を漫画家の横山まさみち先生が担当されている事。

 冒頭には物語の導入部分やクライマックスシーンが数ページの漫画で描かれていました。

ルブラン/南洋一郎「ポプラ社 怪盗ルパン全集」その5

 昭和45年以前の本を「旧版」、昭和46年以降の本を「新版」と名付けていましたが、それ以前の版の本を手に入れる事ができました。これを分かりやすいように「初期版」と名付けます。

 

 私が持っている「旧版」で一番古い本の出版年は昭和40年、そしてこの「初期版」は昭和38年の出版。それを考えると昭和39~40年にリニューアルしたという事ですね。

 

 「初期版」と「旧版」の違いについて。

 単行本の本文や挿絵、扉絵は変わりません。

 変更しているのは表紙とカバーだけです。

 

 まずカバー。全て左が「初期版」、右が「旧版」です。

 イラストは同じですが、「初期版」はタイトルや著者名などの文字が明朝体で太いです。

 

 カバーの裏表紙。お城のイラストは同じですが、「初期版」はイラストの周りが小豆色です。

 

 カバーの背表紙。「初期版」は色々と違っています。字体は明朝体です。

 

 カバーを外した本の中身の表紙。「初期版」はこういうイラストになっています。

 

 そして、裏表紙。表紙を反転させたイラストになっています。

 

 背表紙。字の色が違っていて「初期版」は金色。「旧版」は白色です。

 

 見返し。上が「初期版」凱旋門のイラスト、下が「旧版」です。

 

 ちなみに「初期版」の値段は200円です。