ナイフのご紹介をするつもりでいたのに、気がつけば3か月近くも過ぎていた。(反省)

入手したのは、今年の4月に東銀座で開催されたJCKM/JKGショウにて。

飾り気のない一本だが、どこかに惹かれるものがあった。

作者は堀英也氏。

『ユーティリティナイフ』という名で、全長255mm、刃長137mm、刃厚5mmとしっかりしたナイフだ。

堀氏のナイフと言えば、ラブレススタイルを基に、きれいな仕上げで、天然素材ハンドルの上質なナイフの印象。

下に置いたナイフは、以前オーダーしたもの。

ところが、今回のナイフは、ブレードには研削跡を残した仕上げで、ハンドル材はG10、シースはカイデックスになっている。

キレイな仕上げのナイフがテーブルに並ぶナイフショウでは、逆に目立つ存在かも知れない。

でも、どこかで見たような気がした。

2021年や2022年のJKGショウでも展示されたのかは分からない。

(帰宅して気がついたのだが、Knife Digest2023に掲載されていた。)

2022年のJCKM/JKGショウの記事によると「入念な造り込みのラブレスモデルで知られる堀さんが新たに企画した実用シリーズ」「気を遣うことなく使える実用本位のニューシリーズだ」とある。(ナタの形状のモデルは、マトリックスアイダさんで販売された記憶がある。)

 

確かに記事のとおり。

しかし、堀氏は鋼材にマグナカットを使い、ボルトもチタン製とし、安い実用ナイフということではない魅力のある一本に仕上げていた。

また、掲載されていた時と1か所違ったのは、ハンドルエンドの形状。

上部が微妙にカーブを描いている。

堀氏いわく、『角があると、携帯時に引っかかることがあったので削った」ということで、完成後には堀氏自身が使いながらチェックしたようだ。

角張ったようなハンドルだが、握ってみると、ハンドル下は丸みを帯び、長さもちょうどいい。

ブレードバックのファイルワークは、きちんと滑り止めの役割を果たし、しかも美しい。

ヒルトレスだが、ちょっとしたハンドルとチョイルの造りが「握りの安定」を支えているように思う。

ブレードの形状も強さとシャープさを魅せていると思う。

ちょっと使った感じでは、枝に打ち込んでも安心して使えるし、その後でも切れ味が落ちにくい感じだ。

『実用ナイフ』として企画されたナイフだけに、しっかり使わないとな。

 

 

 

 

 

 

 

4月、年度のスタートでもあり、新生活をスタートする人もいる。

我が子も東京で社会人生活をスタートした。

親バカではあるが、一人っ子がちゃんと生活できているのか心配にもなり、様子を見に上京した。

3日間の滞在期間中は、生活用品を一緒に買いに行ったり、東京にいる親戚に会いに行ったりと、中々ハードだった。

その予定をこなした後、半日の自由時間に行った場所は東銀座・時事通信ホール。

そう、JCKM/JKG鍛造部会のナイフショウ会場(笑)

銀座でナイフショウが開かれる、しかも時事通信ホールという場所で。

これって、一つの文化として認められているってことではないのかと思う。

実は、この会場で開かれる10月のJKGショウ、2月と7月の銀座ブレードショウにはお邪魔したことがあるが、4月のJCKMショウは初めてだ。

参加されるナイフメーカーさんも、このショウだけの参加という方もいるので、ちょっと新鮮な気持ち。

と思いつつ、会場に入ると、顔見知りの方がいらっしゃって、ホッとするような…

下のインテグラルのラムハンドルナイフは新作で、恐ろしく手が込んでいるな。

この3本は、多松さんの真骨頂と言えるナイフたちで、相変わらず魅力的だね。

と、たまには多松さんの写真も撮ってみた(笑)

ショウの2日前に高知で大きな地震があったので、心配したところだったが、大きな被害はなかったとのことで一安心。

これからも魅力的なナイフを作っていただきたい。

 

こちらはクマさんこと、横山哲夫氏のテーブル。

右に写っているオレンジG10ハンドルのナイフを購入するか、かなり迷ったところだったが、次の機会にということで。

右に左にと見ていると、個性的なナイフが並ぶ中根祥文氏のテーブル。

中には、アウトドア雑誌『Fielder』の記事にあった”包丁から作られたアイダ・ハンドスケルペル”が展示されていた。

ハンドル材はエゾシカを白髪染めで染めたものだが、タマネギの皮で染めるよりもいいかも知れない。

中根氏は「さすがに売り物にはできないな~」と話されていたが、師匠の相田義人氏からは『一番いい出来じゃないか?』と言われたとか(笑)

昨年10月のJKGで1本購入した九鬼隆一氏のテーブルも覗いてみたが、デフォルメしたナイフは相変わらずユニークだった。

と、九鬼氏が私の顔を見て『2分の1も作りましたよ』と、ラブレス・NYスペシャルの1/2サイズを見せてくれた。

2/3サイズを購入したのだが、1/2サイズを作るのは、やはり九鬼氏はヘンタイだな(笑)

下から2番目が2/3サイズで、一番下が1/2サイズ。

近くにいた方が面白がって、ご自分の腕時計を外して、比較用に並べてくれた。

 

また、林田英樹さんのテーブルには凄いものが並んでいた。

真ん中のダガー風をフォルダーにしたものが、下のナイフ。

製作途中であったが、精密な造りのフォルダーは素晴らしいものだった。

また、アイボリーハンドルのセミスキナーナイフは、凝った彫りが施されていた。

ヒルトの彫りだけでなく、手にした者だけが楽しめる仕掛けが…

ブレードのリカッソ部分の彫りが、ワイドヒルト側面に鏡のように映り、もう一つの彫りが出てくる。

これはお洒落だな。

 

短い時間だったが、鈴木刃物製作所の美朗さん・寛さんにもご挨拶ができたのはよかったな。

寛さんとは、来年くらいのオーダーの話をしながら、これから先、寛さんが作りたいナイフの話が面白かったな。

話の中身は書かないが、これから先のナイフが楽しみだ。

 

ということで、欲しいナイフが数本あったが、購入したのはまったくノーマークだった1本。

 

そのナイフについては、また、ゆっくりとご紹介を。

 

 

 

仕事中、スマホに家人からのメール


何か荷物が届いたというが、心当たりがない。
差出人を見ると

お!?
詳細は忘れているが、懸賞に応募したのか?
開けてみると…


革の高級そうな財布が!



お札を入れるところは2段で、カードは8枚入る。
小銭入れは横に着いているのも珍しいし、薄型だ。
メーカー定価は25,300円だと。

ちょうど新しい財布を探していたのでラッキーだった。
懸賞の雑誌記事を見ると、1名様のみ当選もあるから、これはかなりラッキーだったなあ

新年度は職場も代わるので、気分一新、新しい財布でスタートするか…

前回に引き続き、堀氏作のケーパーフィンモデルをご紹介。

スッとしたブレードもいいのだが、このハンドルが魅力的だ。

羊のホーンハンドルだが、ラムホーンかシープホーンか。

美しいし、握りやすいハンドル。

インプルーブドの凹凸も、私には程よく感じる。

リバースサイドも見ていただこう。

こちら側では、ハンドルの下に入れた赤色のスペーサーによって、ハンドルの先が赤みがかって見える。

何か、血が通っているみたいで面白いね。

ハンドルの凹凸を上下から見てみる。

まずは上から

次に下側から

これはこれで握りやすいハンドルだ。

横から見ると、これまた良いんだな。

しっかりと手を懸けたことが分かるハンドルは、やはり気持ちがいい。

 

と、ここで一つ気になった点を。

ナイフショウのテーブルで見かけたものと、ちょっと違う印象を受けた点があった。

それがシースだった。

このシースの色、質感とは違うものだった。

堀氏に尋ねると、『マトリックスアイダさんで仕入れるラブレスレザー』とのこと。

以前、あるメイカーさんに伺った話では、「ラブレスレザーは(水に着けて型を付ける)ウェットフォームだけでカチカチになる」とのことだった。

その説明を受けて見たシースは、明るいヌメ色という感じだったので、色の違いが気になった。

改めて堀氏に尋ねると、『油を多く染み込ませたことで濃色になったのでは』ということで納得した。

蜜ろうを主成分とする、独自のいわゆる「タレ」を使うメイカーと、ニートフットオイルやサドルオイルなどを使うメイカーの違いだろうと。

それが色の違い、感触の違いを生んでいるのだろう。

きれいな縫い上がり。

縫い目も深く沈んでいる。

縫い目も揃っていてキレイですな。

 

なんだかんだと、物欲に負けてしまいがちですが、

また、魅力あるものを探し、手に入れたいですね。

 

『しゅうかつ』とは、終焉に向かっての活動ではなく、「収集の活動」であり、

『だんしゃり』とは、断捨離ではなく、捨てることを断つ・捨てることから離れることだとか(笑)

 

7月末ごろにオーダーした1本が届いた。

 

作者は堀英也氏。

 

2018年に東京で開催されたJKGナイフコンテストで優秀シースナイフ賞となり、その後、2019年7月の銀座のショウでテーブルを拝見した。

そこにはラブレススタイルの上質なスタッグハンドルが着いたナイフが並んでいた。

そのテーブルこそ、堀英也氏。

次の写真は2019年のJKGナイフショウでのものだ。

気になったテーブルだけに、珍しく写真を撮っていたことに驚いた。

2019年にはJKGナイスコンテストで大賞を受賞された。

そんな堀氏のラブレススタイルで、上質な材料と造りの素晴らしいナイフに魅せられた。

実はJKG大賞となったナイフが欲しかったのだが、それはすぐに買い手が付き、入手できなかった。

(ちなみに、これが大賞となったナイフだ。)

ラブレスのパイカ―モデルだった。

 

ずっと気になっていた堀氏のナイフをオーダーすることにした。

ハンドル材はJKG大賞と同じくホーンハンドル。ただし、モデルはパイカ―ではなく、少し大きめのケーパーフィンとした。

鋼材はCTX-XHPという、これまでに持っていない鋼材でお願いした。

https://knifeinformer.com/discovering-the-best-knife-steel/

CTX-XHPという鋼材は、耐蝕性が強くなったD2鋼といった感じのようだ。

 

堀氏は別に本業があり、10月のJKGナイフショウにも残念ながら不参加だったところから、かなりお忙しいかと。(本業も存じておりますが、多忙なことは察するに余りあります。)

製作途中のご連絡をいただきながら、クリスマス前に届いたナイフがこれだ。

大賞ナイフのパイカ―モデルよりも逞しさを感じるようなケーパーフィンモデル。

詳細は、また、次に書いてみたい。

 

JKG(Japan Knife Guild)の中の部会としてJKCM(Japan Custom Knife Makers)があり、堀氏は2023年9月に部会長に就任されている。

お忙しさが増しますね。