★TPPを通じて学ぶ経済学~目次~★
くろやぎです。
前回からの続きです。
当初は診断士の経済学をある程度嗜んでいる方々をターゲットと
して想定していましたが、段々と来年受験目標の初学者向けの
内容もちらほら。
まあ、てけとーにやっていきますよ。それでは本題をどうぞ。
■経済学的な見方からのデフレーションとは
今度は経済学からデフレーションを考えてみます。
中小企業診断士のテキストには用語として「デフレギャップ」と
いうものが出てきます。TACのスピードテキストしか見ていない
ので、他の出版物は見ていません。
さて、このデフレギャップとは一体なんでしょう?
それは、完全雇用状態における国民所得(GDP)よりも、実際の
国民所得が低い場合の、その差額の事です。
個々の単語についての解説は様々な教書に載っているので、ここ
では割愛します。
経済学の世界では、GDP(国内総生産)=その国が生み出した
付加価値の総量、であり、それは付加価値総額の観点の他に、
支出面(消費とか)、分配面(賃金とか)、を含めた3つの
観点からの数値が事後的に一致するという原則があります。
これを「三面等価の原則」と呼びます。
すなわち、一国のGDPを考える上で、生産量と消費量は単に
カードの表裏であって、共にGDPを増やすための要素としては
同じなんですね。そして、生産量は「供給」、消費量は「需要」
と言い換える事ができます。
その昔、物が不足していた頃は、需要は供給によって決められて
いた。つまり作れば作っただけ売れました。これを「セイの
法則」と言います。この単語を腐女子の方々にお見せしたら
ちょっとした盛り上がりを呼びそうですね。
gイの法則とか言ってさ。
しかし、あえて言うなら物余りの近代世界経済ではその通り
にはいきません。当然に供給は需要によって左右されます。
まとめると、国民所得は分配面つまり付加価値の配分、支出面
つまり個人や国などの消費をもって表す事ができ、需要が
供給を先導する現代では、需要=消費を創出しなければならない!
という事ですね。
ところが、さっきの話に戻ると、今の日本はデフレの状態で
消費者は消費を控えている状態です。つまり需要が膨らまない
状態ではGDP=国民所得=は増えようが無いのです。
■国の供給力とはどこに隠れている?
もう遠い昔の話に思えてきますが、冒頭で述べたデフレギャ
ップを言い換えると、完全雇用国民所得と実態雇用国民所得
の差であると言えます。
という事は、、失業者がいる訳ですね。(ミミガイタイ…)
またこのギャップの中には企業が投資をして準備したものの、
稼働せずに遊ばせている設備なども含まれます。
需要があれば物を作って売りたいんだけど、需要が無いから
労働者や設備などの供給力を放棄せざるをえない訳です。
つまり国が本来持っている供給能力(潜在供給力)に対して
どれだけ実態の需要が落ち込んでいるかがデフレギャップな
のです。
逆に需要が供給力を上回っている状態ではインフレが発生し
その需要の増加に呼応するように企業の設備投資や労働力の
不足が発生します。僕も職にありつけるって訳ですww
しかし、デフレの状況下では一層の失業が進み、もっと恐る
べきことは、リストラクチャリングによって国全体の潜在
供給能力が失われていってしまいます。つまり、いざインフレ
基調で、すなわち需要が増え始め景気が回復してきた時に、
GDPをデフレ以前の水準に戻そうと思っても戻す能力自体が
そもそも失われてしまっているのです。
■なぜデフレの状況下では自由競争してはいけない?
以上のことから導くことが可能ですが、過度の企業間競争に
よって財・サービスの価格が一層下がりデフレの進行を早め、
企業は低価格戦略の名の下にリストラクチャリングを進め、
その結果、国の供給力を押し下げてしまうからです。
しかも、デフレギャップが存在する中では、失業者は新しい
雇用にありつくことはできません。
ましてや、急激な自由競争化を推し進めようとするTPPへの
参加により国内の需要の一部は国外の供給力によって満たさ
れるでしょう。それでも一部で済めば御の字かもしれません。
国内では失業者が一層増加し供給能力が失われ、日本のGDP
つまり国民所得は減少して、巡り巡ってアメリカをはじめと
する諸外国からの輸入需要までも減少させてしまいます。
そして、世界同時不況の回復は一層に遅れるのでしょう。
そういえば、
11/10のニュースで、日本の生活保護受給者が10年間
連続で増加して過去最高の205万人になった。とありまし
たが、デフレが続く限り増え続けるのは不思議では無いです
よね。
世界で最も自由競争が発達(発達といって良いのか?)して
いるアメリカは、フードスタンプと呼ばれる日本でいう所の
生活保護の受給者が4500万人います。(2011年7月現在)
アメリカの総人口3億人に対して4500万人、そりゃウォール
街でデモのひとつやふたつ起こりますよ。この市場原理を、
開国だ~(^q^)だの、世界に乗り遅れるな~ドゥフフ(^q^)てな
ノリで日本に広く取り入れようというのだから、恐ろしい。
僕には第3の開国ではなくサードインパクトに見えますよ。
てか、めちゃんこ長くなってしまいました。。。
次は、デフレを初めとする日本の現状をどう打開すれば良い
のかについて、門外漢ではありますが可能な限り誠実に、
また中小企業診断士を目指す方々にも十分勉強になるよう
書いていきたいと思います。
以上