下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671
mixi日記2016年01月28日から
直接的には下記の続きだろうな。
【「といっても」と「とはいえ」 辞書】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12120091066.html
テーマサイトは下記。
【以下の文の「とはいえ」と「といっても」の置き換えは可能でしょうか。】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9162752.html
==============引用開始
ぜひ日本人の方にご判断をお願いします。
[→といっても]
①小さな店とはいえ、初めて持った店である。
②年をとったとはいえ、まだ実力は衰えていないだろう。
③年を取ったとはいえ、まだまだ若い者には負けないつもりだ。
④医者とはいえ、自分の病気がわからない場合もある。
[→とはいえ]
⑤日本語といっても、話し方は地方によって違う。
⑥昔といっても十年程前のことだが、……。
⑦ニコチン酸といっても、たばこのニコチンと直接関係があるわけではありません。
==============引用終了
同じ人がまた似たような質問をした。
まぁ、あの回答じゃ納得できないだろうからしかたがない。
当方ももう少し考えてみる。
質問にあった例文のうち、①~④はほぼ互換性がある。いつも書いていることだが、置きかえるとニュアンスがどうかわるのかは関知しない。そんなものはどうにでも理屈はつけられるだろうが、ちゃんとした論理になっていなければ「主観でしかない」と言えばそれっきりになる。
「ハ」の働きを考えると、「といっても」より「とはいっても」のほうが「とはいえ」に近いはずだが。微妙すぎてわからない(泣)。
⑤~⑦は「とはいえ」にするとかなり異和感がある。
前回ひっかかったものと並べてみる。
すべて、「とはいえ」にすると異和感が生じるパターン。
4)すぐに来て下さい。まあ、すぐに{とはいえ/といっても}、ご無理のないぐらいで結構ですが……。
5)彼は東京だがね。東京{とはいえ/といっても}、八王子の出だ。
6)卓郎は、国語学者だ。国語学{とはいえ/といっても}、彼は文法の方だそうだ。
⑤日本語といっても、話し方は地方によって違う。
⑥昔といっても十年程前のことだが、……。
⑦ニコチン酸といっても、たばこのニコチンと直接関係があるわけではありません。
現象としては、同じ気がする。簡単に言えば、「といっても」のほうが用途が広い。
おそらく、「も」の含意性と「は」の排他性にかかわる気がするが、そういう話はパス。
「といっても」を「とはいえ」にできないケースがある。
問題はそのパターンの解析。それができれば、原因がわかる可能性がある。
⑤⑥⑦は4)5)6)と同様で、「とはいっても」と「は」を入れるとちょっと異和感があり「とはいえ」にするとほとんど×って気がする。
互換性のある例文と見比べると、少し見えてくるものがある。「(だ)ガ」にできるものは、互換性がありそう。
●「とはいえ」の例文
人数は少ない{とはいえ/といっても}、意気込みは盛んだ
人数は少ないガ、意気込みは盛んだ
責任者が行く{とはいえ/といっても},やはり不安だ
責任者が行くガ,やはり不安だ
●「といっても」の例文
安いと{とはいえ/といっても}一万円はする
安いガ一万円はする
社長{とはいえ/といっても}名ばかりで…
社長だガ名ばかりで…
一方、⑤⑥⑦は4)5)6)は「(だ)ガ」にはしにくい。⑦はちょっと毛色が違うかも。
こちらをあえて「(だ)ガ」の形に持ち込むなら変形の必要がある。「ハ」の働きは……〈1〉に合わせて「限定」にしておこうか。
4)すぐに来て下さい。まあ、すぐにとは言ったガ、ご無理のないぐらいで結構ですが……。
5)彼は東京だがね。東京とは言ったガ、八王子の出だ。
6)卓郎は、国語学者だ。国語学とは言ったガ、、彼は文法の方だそうだ。
⑥昔とは言ったガ、十年程前のことだが、……。
⑦ニコチン酸とは言ったガ、たばこのニコチンと直接関係があるわけではありません。
⑤は「(だ)ガ」にはしにくい。
△⑤日本語とは言ったガ、話し方は地方によって違う。
これはよく見る用法だろう。
典型的なのは下記のような形。
ひと口で○○といっても、いろいろあります。
これを「(だ)ガ」の形にするには大手術が必要。
○○とくくることはできなくはないガ、(実際は)いろいろあります。
⑤日本語とくくることはできなくはないガ、(実際は)話し方は地方によって違う。
ここまでの話をまとめる。
「といっても」は、少なくとも3種類に分けることができる。
【1】「(だ)ガ」に書きかえられるもの
→「とはいえ」にできる
人数は少ない{とはいえ/といっても/ガ}、意気込みは盛んだ
社長{とはいえ/といっても/だガ}名ばかりで…
【2】「とはいったガ」に書きかえられるもの
→「とはいえ」にできなくはないが、かなり異和感がある
5)彼は東京だがね。東京{△とはいえ/といっても/とは言ったガ}、八王子の出だ。
【3】簡単には「ガ」にはできない
→「とはいえ」にはできない
⑤日本語{×とはいえ/といっても/×とは言ったガ}、話し方は地方によって違う。
ひと口で○○{×とはいえ/といっても/×とは言ったガ}、いろいろあります。
こんなふうに一応分類はできる{とはいえ/といっても/ガ}、相当わかりにくい。
他にもパターンがあるかもしれないし、用途が限られるはずの「といっても」が使えない例もあるかもしれない。
こっから先は言葉の神様の領域だろう。
だから「ほぼ同義」と考えるほうが無難なのでは……。
【20160131追記】
用途が広いはずの「とっても」だが、接続詞用法の場合は「とはいえ」のほうが素直な気がする。理由は言葉の神様に訊いてください。

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