かがみの中ののび太[★★]
[初出誌] 『フエルミラー』、「小学三年生」1972年10月号、7頁、53コマ
[単行本] 『かがみの中ののび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第5巻」1974年12月15日 初版第1刷発行、7頁、53コマ
[大全集] 『かがみの中ののび太』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 3」2009年10月28日 初版第1刷発行、7頁、53コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『フエルミラー』が『かがみの中ののび太』に変更
「のび太だよお」が「のび太だよう」に変更[277(4)]
「え、じゃさっきのは」が「えっ、じゃあ、さっきのは」に変更[277(5)]
[梗概] のび太はラジコン戦車、トランシーバー、グラブ、ミニカー、腕時計などと買いたいものばかりで、もっと貯金をしないと買えないと思った。おやつの時間にも、どら焼きを食べないでママからその代金百円をもらっている。
ドラえもんがおやつにどら焼きを食べ出すと、かたわらに座っていたのび太が「どうせきみは、そういうやつなんだ」と言うので、おちおちおやつも食べられやしなかった。そこで、ドラえもんはひみつ道具『フエルミラー』を取り出し、写したものが本物になって出てくるので、どら焼きをふたつにして、一緒におやつを食べている。
すばらしい道具に感心したのび太は早速、お札を増やそうとした。しかし、鏡だから、お札があべこべに出てくるので、使い物にならなかった。
のび太はお金を出して買わなくても、欲しかった品物を友だちから十円で借りて、「セッセ セッセ」と鏡に映しだして、自分のものにすることができた。鏡のスイッチを切り忘れたので、ニセののび太が鏡から飛び出し、本物ののび太を鏡の中へ、「スポ」と押し込んで、「パチ」とスイッチを切ってしまった。
ニセののび太は鏡の外に出たかったので、出ると、「ドタン バタン」と部屋の中でサッカーボールを蹴り始めた。
ニセののび太はママにつかまって、今、遊び始めたばかりと主張したが、ママには全く通用せず、ちっとも今朝から勉強しないじゃないかと叱られてしまった。そして、勉強を始めると、いつから鉛筆を左手で持つようになったと、厳しく注意される始末であった。
ドラえもんはもうひとつどら焼きを食べたくなったので、「フエルミラー」で増やして食べようとした。すると、鏡の中で、泣いているのび太に気付き、さっきののび太はにせものであることを知った。
のび太を鏡の中から取り出しているとき、にせものののび太はママに叱られてばかりいるので、「ぼく、帰る。こんなきびしい世界はこりごりだい」と涙を出して、鏡のほうに逃げてきた。
[S0331・A0504・037210]