葦津珍彦『明治憲法の制定史話』(神社新報社 2018年)読了。
本書は、明治神宮編『大日本帝国憲法制定史』のダイジェスト版という位置づけのものである。
『大日本帝国憲法制定史』がかなり分厚い大著であるのと比べると、本書は日刊紙「世界日報」に連載された記事であるという性格上、111頁と非常にコンパクトにまとめられている。
本書には、帝国憲法の制定に関わった人物が数多く登場する。
主義・主張は異なりはするものの、政府の人間も在野の人間もひっくるめて、皆で侃々諤々の議論を重ねた末にできた憲法典である。
そうした意味で、帝国憲法制定の過程に直接関わった人物達を通して、日本国民が自分たちの手で作り上げたのが帝国憲法なのだということを改めてとても強く感じた。
そうした帝国憲法の制定過程を振り返ると、現行憲法の制定過程には、帝国憲法のそれのような国民全体で考えたもの、というようなものがない。
憲法典の制定の際重要なのは、その国の歴史・文化・伝統といったものをきちんと踏まえたものであるか、ということである。
現行の日本国憲法が、全く日本の歴史・文化・伝統を踏まえたものではないこと、そもそも制定過程自体に重大な問題があること、そして帝国憲法が、真に日本人自身の手で作られた、日本の歴史・文化・伝統を踏まえた憲法典である、ということを再認識させられた1冊である。
そして最後に。本書の内容を踏まえた上で、大著『大日本帝国憲法制定史』に挑みたい!