今日は、小倉城再建天守の面白いところについて記事を書いてみたいと思います。
小倉城再建天守です。
去年は、小倉城再建天守の破風について、絶対に取った方がよいと思っていましたが、今は、別に破風をとらなくてもいいんじゃないかなと思います。
あの建物は、もちろん、本来の意味での小倉城ではないのかもしれませんが、あれはあれで、「本物」なのかな、なんて思っています。
ただ、破風が取れるならば、反対はしないかもしれません。
再建天守と昔の天守の異なるところは、以前、ブログに書きました。こちらはその時の記事です。
今回は、再建天守の面白いところについて話してみたいと思います、再建天守もなかなか面白い建物で、見る価値が無いと切り捨てるのはもったいないです。(自分も以前はそう思っていましたが...)
では早速行ってみましょう。
その1 屋根の隅がずれている
もう一度再建天守の写真をみてみましょう。
5階、3階、2階の屋根の隅は、きれいにそろっていますが、1階の屋根の隅だけ、右にずれています。
こちらの写真がわかりやすいと思います。
2階より上はきれいに揃っているのに対し、1階の屋根だけ右側にずれています。
これは、天守台が歪んでいるからです。小倉城の天守1階の大きさは、15間程×13間程なのですが、天守台は、ぴったり15間×13間に作られていません。再建天守の1階は天守台にあわせた形状になっているので、天守台の歪みがそのまま、こうしたズレとなって、建物に表れているのです。
その2 1階が曲がっている
小倉城天守の1階は、内側に向かって、カーブを描いています。
つまり、糸巻型に歪んでいるのです。これも、天守台がゆがんでいるからです。
和取り工法ともされる技術のようなので、歪んでいるという言い方は的を得ていないかもしれません。
簡単な図にするとこのようになります。(少し歪みを誇張しています)
1階壁面が内側に向かって曲がり、なおかつ菱形になっています。
その3 1階屋根がねじれている
この写真をみるとわかるかもしれませんが、1階屋根がねじれています。
注意深くみると、2階の窓に対して、1階の窓が少し斜めになっていることがわかるかと思います。
屋根がねじれているのも、これも天守台の歪みからです。
2階と1階との間は、端のほうは広いのですが、真ん中に向かってだんだんと狭くなっていくので、屋根をねじらないと収めることができないのです。
その4 最上階に船肘木がある。
これは、注意深く見ないと、なかなかわかりません。
最上階の様子です。
最上階が唐造りになって少し張り出していますが、上の方の、垂木と黒い壁の間にある小さな壁をみてみると、なんと、柱形を見せる造りになっていて、船肘木があります。
上の写真を拡大した様子です。柱形を見せる造りで、船肘木があることがわかります。
この小さな壁は、4階の壁と大きさが一致しているとみせかけて、実は一致していないという面白い壁でもあります。
その5、窓が開けられない (ようにみえる)
この再建天守、実は窓が開けられない欠陥建築なのです。
というのは、あくまで、木造に置き換えたらという話であります。
この再建天守は窓が土戸になっています。
普通の土戸は、柱と柱の間において、半分を窓にして、残りの半分は戸を開けるときのためのスペースにしておきます。つまり、土戸を開けるときは、壁になっている側に引くかたちになります。
では、再建天守をみてみましょう。
窓は、一見すると、1間の窓になっているように見えますが、真ん中に太い材が入っていて、真ん中は柱になっていることがわかります。ところが、窓の両脇には出桁の腕木があって、どうやら柱で挟まれているように見えます。
熊本城天守のように、腕木と柱の位置があわないということもあるのかもしれませんが、腕木の上を注意深く見てみると、ちゃんと梁の断面がつきでており、ここに柱があるということを示しています。
腕木の上に梁の頭が突き出しています。
入母屋破風の部分は、柱形を見せる様式になっているので、窓が柱に挟まれている様子がよくわかります。
つまり、小倉城再建天守の窓は、半間幅の窓が柱に挟まれていて、土戸の開けようがないのです。開けようにもどこにも引くところはなく、まさにはめ殺しになっています。
模式図です。上が普通の土戸で、下が小倉城再建天守の窓です。
最初に述べたように、これはあくまでも、この再建天守が木造だったらという話です。実際の再建天守は鉄筋コンクリートなので、窓は自在に開け閉めすることができます。
ちなみに、昔の天守の窓は、突上窓でした。
その6 鯱
鯱については、よく知られています。
なんともいえない表情です。
なぜに、こんな顔になってしまったのでしょうかね...。
最後に、せっかくなので、再建天守の色々な写真を並べてみたいと思います。
まずは、春の再建天守です。
次に夏の再建天守です。
秋の再建天守です。
冬の再建天守です。
2016年のプロジェクションマッピングの時の再建天守です。
ライトアップされた再建天守です。
堀底から見上げた再建天守です。
リバーウォーク北九州、小倉DCタワーと再建天守です。
自分の中では、もう見慣れた光景になっています。
景観について言われることもありますが、どちらも、立派な近代建築です。左側の石垣は現存石垣です。
ちなみに、それらの建物を消してみた様子です。ペイントで編集しています。
実に爽快です。
市役所からみた再建天守です。
市役所の一番上の階は、展望室になっていて、誰でも入れることができます。平日に行かれた方はぜひ入ってみてください。
以上、再建天守の面白いところでした。