水戸城大手門の模型 | 模型による城郭の復元

模型による城郭の復元

紙を使い、往時の城をできる限り正確に再現しようと思っています。
主に建築を主体とした城郭模型の制作記です。

水戸城大手門の模型です。

縮尺は1/150です。

 

水戸城大手門は2020年春に復元されました。

復元された門の写真をみて、古写真に写る水戸城大手門となんとなく何かが違うような気がしていました。この違和感について、もっと深く考えてみたいと思ったので、模型を作ることにしました。

 

色々と思うことがあって、模型を作ってみましたが、結果的に古写真とは似ても似つかぬものになってしまいました。模型において、1階の高さをもう少し高くして、2階の高さを低くくすると古写真の様子に近づくと思います。

 

参考までに、復元された門の写真と模型の比較です。

 

当然のことですが、復元された方がより正確だと思います。

ただ、復元建物は屋根の反りがもう少しきつくてもよかったかと思います。

古写真の大手門は屋根がある程度反っているようにみえますが、復元建物は屋根が突っ張っているように見えます。

模型ではその反動で反りがややきつくなってしまいました。

 

今の復元大手門は、白木のまばゆさが目に付いて、軽々とした印象を受けてしまいます。もう少し時間が建てば、木の色も落ち着いて、古写真に写るどっしりとした風格に近くなるかと思います。

 

 

製作途中の塗装前の写真です。

建物はすべて紙で作っています。

所々に普通紙や厚紙も使っていますが、大部分が画用紙です。

 

 

以下完成写真です。

 

城内側です。

 

復元建物に従い、城内側は窓なしの壁面にしてみましたが、実際のところはどうなのでしょうか。

 

参考までに、復元された大手門の城内側です。

 

門扉の裏側です。

 

古写真では大屋根の丸瓦の列数も鮮明に写っていましたので、その数に合わせて丸瓦を入れました。重箱の隅をつつくようで品がありませんが、復元建物と1本違いでした。

また、蓑甲部分について古写真をみると、下り棟と掛瓦との間に下りの丸瓦が2列あるようにみえたので、そのように作ってみました。

 

見上げと瓦塀です。

瓦塀は、出土した遺構と、古写真にかすかに写るものを参考にしています。

瓦と瓦の隙間の壁は、復元では白漆喰になっていますが、白に塗ると浮ついた感じになってしまったので、色味をやや茶色系にしました。

 

今の復元瓦塀は、昔の瓦塀の遺構保護のために、一回り大きなものになっています。

この模型では、出土した瓦塀に近い寸法で作りました。

 

正面からの見上げです。

復元された大手門は正面の1階壁と2階壁を同じ位置に立ち上げています。一方で、模型では2階をやや前方に張り出させることで、門直上の石落としを作ってみました。

 

大手門の古写真のうち正面からみた古写真をみると、2階屋根の軒の出とくらべて、1階屋根の軒の出は短いことがわかります。しかし、斜め方向からの写真をみると、2階の屋根の庇の影よりも、1階屋根の庇の影のほうが大きいように見えます。したがって、2階壁面は前方に張り出していたのではないかと思った次第です。

 

 

門扉です。

門扉は塗装した上で、カッターや針で木目などを彫りつけています。質感を出すために、やや強調しています。門扉の板の枚数は古写真を参考にしましたが、はっきりと読み取ることができなかったため、実物は違っていたかもしれません。

 

夕景です。

 

 

模型全体です。

 

以上、水戸城大手門の模型でした。