「あぽやん」
大学を卒業後、旅行会社に就職したが、6年間で挫折し、
その後3年間のホームレス生活の間に書き上げた「八月のマルクス」で
第45回江戸川乱歩賞
を受賞し、作家の道を歩んでいる
新野剛志(しんのたけし)。
「八月のマルクス」から約10年の時を経て
新野剛志という作家の新たな面を読者に提供して
くれた作品「あぽやん」。
“あぽさん”でも“あぽ君”でもない“あぽやん”
このどことなくユーモラスであり、親しみがあり、また
“おたく”的な響きを持つ“あぽやん”のあぽは
その昔テレックスでAIR PORTをAPOと略した
このAPOであり、空港を指している。
“長いものには巻かれる、的な処世術を全く身につけていなかった
大手旅行エージェントに勤務している遠藤慶太は上司と衝突し、
入社8年目という若さで成田空港勤務に異動させられる。
そして空港には“あぽやん”と呼ばれる
空港から飛び立つ旅客が無事に目的地に飛び立てる事だけを
親身になって考え、その事に今の自分を賭けている
プロがいた。
かつて旅行会社に在籍していた新野剛志が
この若い遠藤に託したのは、逆境に負けない不屈の心であり、
プロとして職業に徹し、人に尽くすことが、
逆に自分を育てていくという
人間関係の機微を体感する事であった。
「あぽやんはまっすぐ、あぽやんは温かい、あぽやんは向こう見ず。
僕はあぽやんに、なりたい」。
軽妙かつ面白い物語である “あぽやん”には
新野郷志の思いが込められている。




