こんばんは‼︎
ヴォーカリスト兼ボイストレーナーのKです。
今回はついつい混同しがちな
シャウトと声の張り上げについてのお話です。
皆様はロック、メタルシンガーのシャウト唱
法聞かれてどう思います?
まるで怒鳴るような感じで大声で張り上げて
イカついイメージを抱く方は多いのではない
でしょうか??
これ実は違うんですよ。
確かに怒鳴っています。
ですが決して声を張り上げていはいません。
ディオのLast In Lineなどはわかりやすいかな
と。
最初は綺麗なクリーントーン(メッツォファ
ルソ)で歌い始めてます。
ところが・・・
40秒経過したあたりからいわゆるディオ節と
いうか、急激に声質が怒鳴り声のように変化
してますよね?
ですがそれは声の張り上げとは大きく意味合
いが異なります。
張り上げちゃうとこんな声質は太く出せませ
ん。
もっと聞き苦しいし音程も安定しない声にな
るはずなんです。
そしていわゆる一般的なボイストレーニング
教室では教えてくれない声です。
実際問題、カラオケで上手く歌うだけならこ
んな声は必要ありませんからね(笑)
ところでなんでこんな声が出せるんでしょう
ね?
今回はそのあたりを解説していきます。
ご興味ある方はお読みください。
では早速本題です。
例によって先に結論から申しましょう。
いかに凄みのある太い声
のように聞こえたとして
も彼らは地声ではなく裏
声で怒鳴っている‼︎
これですね。
先にご紹介したディオの歌唱ですがこの歌声の
中に裏声を感じることができますでしょうか?
もし聞こえるのでしたら相当に人間の声を分析
できる耳をあなたはお持ちです。
地声ではなく裏声で怒鳴っている。
さらに言うならば地声と裏声の中位のところの
裏声で怒鳴っているとなります。
感覚的に言うとこうなりますが少しメカニズム
的なお話もしていきましょう。
フースラー先生のアンザッツを使うのがわかり
やすいですかね。
いわゆるクリーンな歌声の中高音域はアンザッ
ツの「1」「3a」を使います。
これは裏声であってもミックスボイスであって
も同様。
先述した中位の裏声もここに当たります。
純粋な裏声については「4」も使いますね。
普通に上手く歌うのであればここが十分に鍛え
られていれば良いでしょう。
多くのボイトレ教室の先生もここを育てる方針
で教えてると思います。
ではロック歌手はどう歌っているのでしょうか
?
実は過去記事でも散々、ご紹介してきてるんで
すが・・・
アンザッツは全ての音域で「1」をメインに使
います。
そして中高音域で「3b」「3a」を使います。
前回記事でも書きましたがアンザッツ「1」で
裏声のシャウトをするんです。
そして補助的に「3b」「3a」が鳴ってます。
ディオに関しては「2」「6」も使っています
。
「6」が強いのはディオの特徴ですね。
こうする事で何が起きるのでしょう?
歌っている本人は地声で歌っているような感
覚。
アンザッツ「1」「2」は基本、純粋な地声の
共鳴腔なのでここでやや無理やりに裏声で怒
鳴りに行くことで自然と地声要素が強めの声
区融合が起こります。
感覚で言うならば喉ではなく上下の両前歯で
共振を起こして歌声を発生させているような
イメージ。
この際、子音と破裂音も大きな補助役となり
ます。
アタック音は強めに‼︎
日本語で普段使っている子音、破裂音ではパ
ワーが全然足りません。
なので思い切り唾飛ばしまくる勢いでやりま
す。
ちなみにアンザッツ「1」が使えていても地
声で怒鳴りに行っては本末転倒。
中高音域であっという間に詰みます。
なぜならば純粋な地声で出せるのはmid2Fまで
だからです。
mid2Fは中音域に相当すると言って過言ないで
しょう。
ここから上の音階を自由に行き来するには裏声
の力無くしては不可能です。
例えアンザッツ「1」が使えていても地声のまま
この音階から上の音域を処理しようとするとそ
れこそ声を張り上げて発声することになります。
もしくは声がひっくり返るかな・・・
どちらにせよ非常に聞き苦しい声になるのは間
違いありませんね。
僕自身はこの声を教わる際に師匠からは
裏声で怒鳴りに行くイメージで歌ってごらん。
と教わりましたが逆説的な話もしましょう。
極めて軽い音質の地声であっても同じことは起
こせるかなと。
mid2Fで出せる裏声の最大声量を超えない、か
つ同じような音質の地声であってもそれで怒鳴
りに行けば結果的に同じような歌声になります。
軽い音質の地声の声量はそれ以上大きくしない
ように留意しつつその声で怒鳴りに行くんです。
・・・
とは言えこっちの方が何倍も難しくありません
??
地声で声を張り上げずに怒鳴る。
真逆のことを同時に行うような・・・
笑顔で怒るくらいに難易度高い気がします(笑)
ちなみに笑いながら怒るなんて高等技術、僕は
できません。
すでにミックスボイスが熟練されていて地声と
裏声を行き来するのが自由な方であればできる
と思いますがそうでない方はやはり裏声で怒鳴
りに行く方が習得早い気はしますね。
地声と裏声の中感感覚を掴むのは長年の修練が
必要なので地声からこの声を掴みに行くのは非
常に骨が折れます。
では最後にもう一人、シャウト唱法の凄い歌い
手をご紹介しましょう。
ディオは当然すごいんですがこの人もとてつも
ない。。。
僕の師匠もこのアルバムのラッセル・アレンの
歌唱はほぼ完コピ不可能とぼやいてましたわ。
ややデスボイスにも近いような凄まじいシャウ
ト唱法。
けどサビは比較的クリーントーン。
ライブで生歌も聴きましたけど再現性高くてび
っくりしましたよ。
改めて聞いてもアンザッツ「1」が非常に強いで
すね。
「2」も全般的に多用してより声に太さを出して
ます。
中高音域ではしっかりアンザッツ「3b」「3a」
も感じられます。
しかしこの歌唱力。。。
やべえな(笑)
ではこんな感じで今回は
ロック、メタルを本格的に歌うのであればアンザ
ッツの「1」が非常に重要なんですよ‼︎
ってお話でした。
ここまでお読みいただきありがとうござました。