漫画ドラゴン桜の7巻のストーリーを紹介しながら、役立つ勉強法などの情報を伝えていきます。
「新入生増員計画対策会議」
龍山高校は多額の負債を抱え、民事再生法に基づいて事業の継続を図っている最中。
そのためには、何としても新入生の増員を成し遂げる必要があります。
そこで新入生の増員プランとして、進学校への路線変更を理念に掲げて、実績をあげるために、水野と矢島の二人を東京大学に合格させようとしているのです。
ただし、まだ現時点では試験は先で合格できていません。
そのため、東京大学に合格との実績は宣伝不可。
したがって次にようにアピールしていくこととなります。
・本校は、民事再生法の適用を受け、健全な経営となったこと。
・進学校化が進み、教師陣が強力となり、生徒の間でもやる気が生まれ始め、学校の雰囲気も良くなっていること。
「来年度新入生募集パンフレット」
新入生の確保に関しては、パンフレットを見せて、先生たちの熱意で相手を信用させることになります。
そこでまず、「偏差値30台から、国立大学を目指す」に注目してもらうようにします。
通常進学校であれば、偏差値の高い成績優秀な生徒しか入学できません。
“偏差値30台から”とうたったように、龍山高校は成績の良くない生徒に間口を広げ、さらにその様な生徒を、国公立大へ合格させることができる態勢を整えていることを、目玉としてアピールするわけです。
本来であれば、東大と書きたいところですが、それは二人が合格してからとなります。
頑張れ、水野・矢島、龍山高校の運命はお前たちにかかっているぞ。( ☆Д☆) キラーン
パンフレットのウリ特徴
・特進クラスのカリスマ講師である先生方のプロフィールと実績の強調。
・授業カリキュラムから、個別指導など細部にわたって、万全の態勢であることを理解してもらう。
「高原先生の提案」
熱血漢高原先生が、自分の理念を熱く語ります。
“夢プロジェクト”といったものを立ち上げましょう。
生徒と将来について、話し合う場を作り、夢を持っていたら、その実現の可能性を一緒に模索するのです。
ここで、例のごとく桜木の問題発言が爆発です。
「そんな面倒臭えこと、したくねえんだよなあ・・・」
さあその発言に、高原先生はマジ切れですよ。
ここで、芥山先生が意見を述べます。
まず、確かに夢を持つことは大切、それに向けて努力することは、とても尊いと語ります。
続いて、オリンピックで金メダルを取ったり、ノーベル賞を取るような研究者は、努力するに際して、誰かに相談をしていないと途中でくじけたかと問いかけます。
そして、答えはNOだと。
それはごく一部の限られた人間のみ、大半の人はそれができないから、助けが必要と反論する宮原。
確かに脚光を浴びるのはごく一部、しかし目標に向かって、挑戦し努力した人は、数限りなくいるはずです。
彼らは皆、自分の意志で努力したのです。
大多数の人は高原先生が言うような、キメ細かい手助けなど誰からも受けずに、健全な社会生活を営んでいるのです。
要は、やる人間はやるが、やらない人間はやならいということです。
これが真理であることには、変わりありません。
「それを言ったらおしまいでしょう」と高原は反論。
高原:こんな思いやりも優しさもない学校に、父母が安心して子供をまかせるはずがない。
桜木:ウチのカリキュラムをしっかりこなせば、東大に入れるんだぞ。これ以上の思いやりと優しさがどこにあるんだ。
桜木:それに、決して放ったらかしなんかにはしない。授業の中で進学することの意義や有益さを説いていく。自分で考え、決め、行動する。こういう自立心を育てていくんだ。
高原:それはわかるが、それに心のケアをプラスしてなぜそれがいけない。
桜木:それが、生徒をお神輿に乗っけて甘やかすことになるんだ。これ以上言ってわからないなら、その夢プロジェクト一人で勝手にやってくれ。
高原:じゃあ自由にやらせてもらう。そのかわり、余計な口は挟まないでくれ。
おやおやとうとう喧嘩分かれみたいです。
ここで、芥山先生が、この問題は学校の理念に係ること、これで打ち切るわけにはいかないと述べ、宮原先生にひとつの質問を投げかけます。
その質問に対する宮原先生の返事を聞き、
「あなたは教師失格だ!」
と述べる。
おいおいどうする。さらにヤバイ展開に発展してきてしまいましたよ。
さて、一体どんな質問をしたのでしょうかね?
「芥山先生の質問」
目の前に、飢えていて疲れている人がいます。
あなたの行う行動はどちらですか?
・魚を釣ってあげますか?
・魚の釣り方を教えてあげますか?
宮原先生は、魚を釣ってあげますと答えたのです。
この行動が、教師失格だと言うならば、勝ってにそう言えばいい。
「私は生きていくうえで、人間失格にはなりたくない。」
この宮原先生の反論に対して、芥山先生は、「あなたは自分が優しくていい人間と他人から思われたいだけで、生徒のことは二の次になっている」と語ります。
驚いた宮原先生は、「そんなことはない。私は常に真っ先に、生徒のことを考えています・・・」と。
いいえ、今の答えから全てがわかるのです。
人間として、どうあるべきであるかの話をするなら、問題ありません。
しかし今は、学校内で教師としてどうすべきかを話しあっています。
だからこの場では、教育者としての立場から発言することが、求められていることが想像できなくてはなりません。
論議をする時、大切になるのは、その状況を読む想像力なわけです。
あなたは想像力が欠けていて、生徒の立場を想像できていなかったから、教師失格と言ったのです。
魚を釣ってあげるという行為は、教育現場での意味は、生徒を全く信頼していないということに当てはまるのです。
なるほどね。納得です。勉強になりますね。
一見すると、人間愛に溢れて、生徒思いのようですが、その実態は、生徒を過小評価して、能力を認めていません。
だから発想が、すべて「~してあげよう」になってしまうのです。
・夢を持たせてあげよう。
・そのためにレールを敷いてあげよう。
・後押しもしてあげよう。
こんな具合なわけです。
教師や親が、一生生徒に付き添ってあげることはできません。
だから過保護はダメなのです。
甘やかされて育った人間は、どこかで脱線すると、一人で起き上がって自力で進むことができないのです。
ここまで諭されても、まだ宮原先生は、「そのためのケアもちゃんと行い、万全の備えでケアします」と食い下がります。
「生徒への進路指導の仕方」
その様子を見た桜木が、質問を始めます。
生徒が進路に迷って相談にきました。
この生徒はA大学が第一志望。
確実ではないが、合格圏にはいます。
ところが、試験直前になって、ワンランク下のB大学にしたいと言い出したわけです。
AとBの大学の試験日は同じ、親はA大学を望んでいます。
さあこのケースに対して高原先生はどうアドバイスをするか?
高原:まずは「どうして?」と、理由を聞くのが当然でしょう。
桜木:答えがないから、相談に来てるんじゃないか。
ここで生徒が、「実は・・・」と理由をスラスラ言うわけがない。
高原:自分の進路だから、自分が思うように、B大学でもいいのではと肯定してあげる。
桜木:心の心底では不安だから相談に来ているわけ。肯定されたら相談はそこで終わり。やっぱり教師は、わかってないと思われるぞ。
高原:もう一度よく考えみたらと・・・。
桜木:だから今、相談に来ているんだろう。
高原:大丈夫。心配するな。頑張ればA大学に合格できると励ます。
桜木:精一杯頑張っている生徒に、もっと頑張れというのか。
言葉に詰まる高原先生に桜木は容赦なく、「万全を期すと大見え切っても、しっかりとしたカウンセリングの訓練をつんでいなければ、この有様だ」と言い切ります。
「パターン別教師と生徒の反応例」
パターン別に、教師「(親)の反応と生徒(子)の反応を示します。
脅迫型
教師の反応:A大学にしたいと言ったのはお前だぞ。
生徒の反応:相談するんじゃなかった。
脅迫型
教師の反応:A大学にしたいと言ったのはお前だぞ。
生徒の反応:相談するんじゃなかった。
非難型
教師の反応:え!今頃になって何を言い出すんだ!
生徒の反応:だから相談してるんじゃないか。
否定型
教師の反応:今頃ダメだよ。もうA大学に決めたんだろ。
生徒の反応:やっぱり聞いてくれないか。
ごまかし型
教師の反応:お前は疲れたんだよ。気晴らしにドライブに行くか?
生徒の反応:分かってないな。
命令型
教師の反応:今さら文句を言わずに勉強しろ!
生徒の反応:聞いてよ・・・。
質問型
教師の反応:なぜ?どうして?
生徒の反応:なぜって言われても、嫌なものは嫌だよ。
肯定型
教師の反応:お前の進学だ。好きにすればいい。
生徒の反応:・・・余計に不安になる。
忠告型
教師の反応:もう一度良く考えてみたら。
生徒の反応:だから相談しているんだよ。
激励型
教師の反応:そんなこといわずにがんばれ!お前なら大丈夫!
生徒の反応:もっと頑張るの・・・。
やはり進路指導には、専門知識であるカウンセリング力が欠かせないようですね。
それでは一体このようなケースでは、どのようにして対処すべきなのでしょうか?
対象法があるなら知りたいですよね。
「このケースの正解」
「生徒の言ったことを繰り返す」
つまり、「A大を受けると言ってたよね。B大にしたいのか・・・」と、生徒が言っていたことを繰り返すのが正解なのです。
相談を受ける時に、最も重要なポイントは、会話を切らずに続けることです。
話しをしている人は、自分が言ったのと同じことを、少し違った言い方で繰り返されると、言ったことが理解されたと思って、話がしやすくなるのです。
そして、心の扉が少しでも開けば、言葉は自然と出てくるものなのです。
生徒が悩み事を、自ら言葉にして話せるだけで、問題は解決に近づいていくのです。
つまり、生徒を信頼して、生徒が自力で答えへとたどりつけるように、話をさせる気にさせるだけで十分な手助けになっているのです。
「コーチングの技術を磨け」
ヘルプするのではなく、サポートする技術。
つまり、コーチングの技術を磨いて、身につけることが大切なのです。
コーチングとは、魚の釣り方を教えてあげること。
一方サポートとは、魚を釣ってあげて、無条件で助けてあげること。
釣りの仕方を教えられた人が将来、自分の力で海へと漕ぎ出し、未知の魚を釣ることができるかもしれない力を身に付けさせるような、サポートこそが教師と生徒、親と子、上司と部下には望ましいのです。
サポートをする時に大切なことは、たとえ今できなくても、できるようになると相手を信じて信頼することです。
龍山高校では、手足をとって教えるヘルプはしない。
逆にいばらの道を用意します。
生徒の眼の前に、少し努力すれば超えることができる壁を用意します。
そしてサポートを受けた生徒たちが、どんどん成長していく。
これが、
「龍山高校の教育理念だ!」