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クロモリロードで走ろうよ

10代の時にはじめて乗ったクロモリロードが、速く、遠くへ、そして楽しく走ることを教えてくれた。 25年以上のブランクのあと、再び愛車に選んだのはやっぱりクロモリロード、そしてロングテールバイクだった。

ファットバイク乗りの皆さんこんにちは、シングルスピード乗りの皆さんこんにちは、そしてスノーライドファンの皆さんこんにちは。






お待たせいたしました。今回はファットバイク、シングルスピード、スノーライドと、楽しい遊びを贅沢にも3つ同時に楽しめるハナシをいってみます。






最近、巷でジワジワと人気の出てきているのがサーリーのパグスレーなどに代表されるファットバイク。
極太低圧のタイヤを履き、雪道だろうと砂浜だろうと地球の上ならほとんどどこでも走れてしまうのがこのファットバイク。でも実際のところこいつが思い切り活躍できるフィールドっていうのがなかなか見つからない。






いやいや、そんな事はないんです。よく探せば東京からでも日帰りで行けるいい所があります。スノーライドをしながら峠を目指し、帰りは延長30kmの爽快なダウンヒル。そんな夢のようなルートが。









長野県茅野市と佐久穂町の間にある麦草峠(国道299号線)には冬季に積雪のため封鎖されている区間がある。
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ゲートで封鎖されているから車が来ない。つまり車を気にせず思い切りスノーライドを堪能出来るというわけ。















朝7:00新宿発のスーパーあずさ1号に乗ると約2時間で中央本線茅野駅に到着する。
ファットバイクはタイヤが大きく太さもあるので輪行袋はかなり厚くて大きくなってしまう。
パグスレーを入れた大きな輪行袋3つを持ち込むため、輪行袋を置くスペースを確保できる車輌の1番後ろの席を指定席で取っておいた。
















今回のスノーライドに参加するメンバーは3名、3台のパグスレーと3人のチャリ馬鹿達は茅野駅に着くとあらかじめ手配してあったジャンボタクシーに乗り込み、1時間とかからずに麦草峠のゲート(通称メルヘン広場)に到着した。ここの標高は1800m、標高2127mの麦草峠まで約6kmの雪道だ
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参考までにタクシー料金は長距離割引も入れて約12000円だった。
















走りだす前にまずタイヤのエアーをチェックする。雪道を走る場合、タイヤのグリップをかせぐためにエアーを0.5気圧程度に落としてしまう。落とし過ぎれば漕ぎが重たくなってしまうし、高過ぎればタイヤが空転してしまう。
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走り出しはややエアーを高めに入れ、走っている途中で少しづつ抜きながらその間の丁度いいバランスを探る。














ゲートを越え、封鎖された国道にファットバイクを持ち込む。封鎖されているとはいっても、峠の山小屋のスノーモービルや冬山登山やスキーなど意外と通行があるので道路の中央は比較的踏み固められている。
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しかし、今回の雪はかなりやっかいだった。この日は3月としては非常に気温が高く、前日に雨が降ってしまった事もあり、まるで春スキーの様な水分の多いシャーベット状の雪だ。
















水分の多い雪は重たく滑りやすい。ファットバイクの低圧極太タイヤでも空転して前に進まず、全く乗って進む事が出来ない。口には出さないけれど3人共同じ事を思っていた「峠までの6km、全部押して行くのかよ」ってね。
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さらに三人とも揃いも揃ってシングルスピードだ。ギヤはこれ以上軽くする事ができない。まったくスノーライドを舐め切ってるとしか思えない3人なのであった。



















勾配は比較的緩やかだけど道路上には延々と5~60cmほど積もった湿った雪。漕いでも前に進めないという早速のピンチが到来
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これがチャリ馬鹿三人組に降りかかる最初の試練なのであった。








その2につづく




最近巷で話題になっているのがファットバイクと呼ばれる極太低圧タイヤを履いたマウンテンバイク。
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その特異なスタイルからよくイロモノとして見られるけれどその潜在性能を侮る事はできない。もともとは雪道走行用に開発をされたものだから、こいつを雪道に持ち込めば最高に楽しい時間を過ごす事が出来るんだ











ここは去年行った麦草峠。冬季はゲート封鎖されているけど雪チャリするには最高の場所だ
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普通のMTBだとトラクションがうまくかからなくて進めない様な所でもタイヤを極低圧に落としたファットバイクならスルスルと進んでくれる









こんな綺麗な景色の中を走れるなんてなんて幸せなんだろう
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この日は気温がマイナス10度ぐらいだった。でも走っていると意外と寒さを感じないんだ。












これは丹沢の林道
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誰の足跡もついていない道を進むという最高の贅沢ができた













後ろを振り返って撮影
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雪質にもよるけど新雪だと15から20cmぐらいまでが乗って進める限界かな。それ以上積もったらファットバイクといえども押さないとなかなか進まない











これはうちの近所
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雪が降った日にちょっと早起きして走ってきた














こんな綺麗な朝日が見れるのも雪チャリをやってるおかげ
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この時は早起きして良かったと思ったよ









さて、明日はパグスレー3台で長野県の麦草峠にスノーライドに行ってきます。まだまだ希少なパグスレー3台が一緒に走るのも珍しい事なんだけど、なぜか3台揃ってシングルスピード。
ファットバイクの走破性とシングルスピードの楽しさをMIXした新しい乗り物「シングルスピードファットバイク」でスノーライドを楽しんでくるよー。








今日は自分で組み上げた固定ロード用の手組みホイールの話をしよう
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いままで使っていたホイールのハブの玉押しがいかれてしまったので新たにホイールを組むことにした












いままでのホイールがちょっと硬く感じていたので、あまり硬くなくてロングライドをしても疲れないもの。そして見た目が昭和っぽいもの。
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そんなホイールを組もうと思っていた













構成としては7600デュラの両切りハブ、アラヤ ゴールドリム、星#15-#16バテッドスポーク、ブラスニップル、36Hイタリアン8本組み。今回はオール国産パーツで固めた。
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柔らかな乗り味を確保するために選んだ細いスポーク、そして組む時はスポークテンションをあまり上げすぎない様にした















アラヤゴールドはもう何十年も製造されているトラックレース用のリム。わずか12mmのリムハイト、そしてアルミ地肌むき出しのポリッシュ仕上げがまさに昭和スタイル。重量も335gとアルミにしてはわりと軽量なタイプだ。
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まあその分、現代の最新鋭のリムに比べると剛性は低くて狂いも出やすいんだけどね。でも今回は硬い乗り心地にしないためにその剛性の低さが重要なんだ。










現代の完組みホイールはやや重めの剛性の高いリムを使い、少ないスポークの本数でそれに高いスポークテンションをかけることでホイール全体の剛性を確保している。リムハイトの大きなエアロリムはリム自体の剛性を保ちやすいし、短いスポークをラジアル組にすることで軽量高剛性とエアロ効果を両立している。専用設計された部品を使うから軽くて高性能の製品を作りやすい。
ただ、これは自分が求める乗り味ではないんだ。












一方、今回組んだホイールはまさにその逆を目指している。
軽量で繊細なリム、36本のクロス組みスポークで組まれたホイールは全体の剛性や重量などの見た目のスペックでは完組みホイールにかなわないのかもしれないけれど、軽量なリムと、駆動力の伝達に優れた36本スポークで組んであるから走り出せば軽いホイールなんだ。









タイヤはヴェロフレックス クリテリウム。サイドが飴色をした懐かしい昭和デザインのタイヤだ
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タイヤとホイールを変えると同じ自転車でもずいぶん違った乗り味になる。だからここだけは、高くても自分の納得のいくものを使った方がいいんだ









なぜ、クリンチャーを使わずにチューブラータイヤなのか、理由はリムの構造の違いにある。
同じ素材で作った場合、クリンチャーリムはどう頑張ってもチューブラーリムより重くて弱い物しか出来ない。クリンチャータイヤを嵌めるための溝を確保しなければいけないためだ。






完組みホイールに求められる剛性を確保するため現代のリムは溶接加工、熱処理、表面加工などの処理がされている。
でもね、剛性弱くても狂いやすくてもそんな処理のされていないピカピカの昔ながらのリムを使いたかったんだよね今回は。













トラックレーサー用ハブのシャフトをロード用のクイックシャフトに交換して使っている
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リヤコグはロード用のチェーンが使える薄歯を選択。駆動系パーツはロード用をそのまま使っているからね。











手組みホイールの最大のメリットは自分の乗り方や体重に合わせたホイールがつくれるということ
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現在主流の完組みホイールも性能的にはいいと思うけど、自分に合わせたホイールじゃなくて、ホイールに自分を合わせなきゃいけない









リム、ハブの選択。スポークの本数、太さ、組み方、かけるテンション。ニップルの素材。この組み合わせによって、以前は無限の組み合わせで自分好みのホイールを組むことができたんだけど、現在国内で入手出来るチューブラーのアルミリムは10種類にも満たないだろう。あとはデッドストックのリムを探さなくてはいけない。チューブラータイヤと共にこの先消えゆく運命なのだろうか。




ある時ふと思ったんだけどこのZUNOW、70~80年代のパーツを中心に組んであるんだけど全体のバランスがとれていてとても乗りやすいんだよね
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バランス、つまりそれぞれのパーツとフレームとの相性というか、自分の乗り方や使い方との相性というか、とにかく乗っていて非常にイイ気持ちになれるんだ
















最新のパーツは全然使っていないけど、レースを走らない自分には最新の性能は必要ないし、性能を追い求めた末の現代パーツの複雑なメカニズムはかえってトラブルの原因になりやすい













シフトレバーはこれ。
カンパの70年代の物だけどこれが最高にいいんだ。
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複雑なラチェット機構が入っていないからまず故障する事がない。調整はたった一本のネジの締め具合で加減出来る、それも走りながら。
ラチェット機構がついていないから一段づつこまめにシフトして走るのはちょっと苦手だけどそこは鉄チャリ、多少重いギヤでも難なく踏めちゃうからね













チネリ1Rステムとチネリクリテリウムバー380mm。フォークコラムは1インチ。スレッド式のステムは大きな力がかかるとよじれやすいしクランプ径26.4mmのこのバーは現代基準からしたら完全に剛性不足
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でもそのやわさが路面からの衝撃を適度にいなしてくれる。大径アルミのアヘッドステムだと硬いけど本来アルミは鉄より柔らかいもの。ハンドル周りのこの細さは大径アルミの硬いというデメリットを出させないんだ














手組みのホイールと組み合わせられるのは19mm幅のヴェロフレックス セルヴィツィオ コルセ。ラテックスチューブのハンドメイドチューブラータイヤだ
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昔ながらタイプのチューブラータイヤはタイヤ自体をしなやかに作りタイヤが変形しながら路面をつかむ事でグリップをさせている。だから手に持つとタイヤは見事なまでにペラペラだ













最近のクリンチャータイヤやチューブレスタイヤの台頭には実はオトナの事情が隠されていると思う。答えは製造コストにある。ハンドメイドのチューブラーは恐ろしく手間がかかる工程と何人もの職人の手を経て作られるからぶっちゃけ儲からない。同じ様な値段で販売するなら工場で大量生産が出来るクリンチャータイヤが普及した方が何かと都合がイイだろう













まあ、そんな話はおいといて。このタイヤと手組みホイール、鉄フレームで組まれた自転車に一度乗ってみて欲しい。最新のカーボンバイクとはまさに別次元の走りをする。路面からの小さな衝撃はホイールとタイヤが、大きな衝撃は自転車全体で吸収してくれるから長時間乗っていても疲れが少ないし、思わず笑いがこみ上げる乗り味だ。












ブレーキはおなじみカンパニョーロ デルタブレーキ。現代のデュアルピボットタイプと比べたらまあ効かない。でもその制動力の弱さがいいんだよね
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ロードレーサーのブレーキに必要なのは絶対的な制動力よりもタッチ、つまりコントロール性がいいかということ。レバーを握る力と制動力がきちんと比例しているかが大事だ。レバーを軽く握った時でも深く握った時でもロックさせずに減速出来ることが大事だからね。まあ、デルタブレーキはあまりコントロール性はよくないんだけどね。かっこいいじゃんこのカタチが














そんなわけで古いパーツで組んでる理由は、組み上げた時に全体としてしなったり、たわんだり、ねじれたりしてくれるからだ。
現代のカーボンバイクの乗り方の理屈からすると理解出来ないんだろうけど、古い鉄チャリは結局昔のパーツで組むのがいちばんバランスがとれるんだ。
例えばデュアルピボットのよく効くブレーキを入れたとする。よく止まるようになるかもしれないけれど、こんどはフォークやヘッド周りの弱さが気になってくるだろう。そしてホイールやタイヤにも不満がでてくるかもしれない。結局パーツもフレームも総取り替えになっちゃう










もしかしたら最新のカーボンバイクはGTRみたいなものかもね。誰にでも安心してそこそこ早く走らせられる。でもそのために時代に合わせ常にアップデートが必要。




古い鉄チャリは例えれば軽トラックだね。限界は低いし速くないけど走らせたら結構楽しい。そう、大切なのは走ってて楽しいかという事なんだよね。







自分のチャリ遊びに、一分一秒を削るような走り方は必要ないのです。でもどこまでも延々ロングライドをしたり大雨の中を走ったり、ダートを走破したりね、そんな遊びの相棒にはやっぱりこいつがいちばんなんだよね




冬の雨は冷たいからあまり走りたくないんだけど走っちゃうときもあります
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逆に夏の雨なんかは涼しくなるからがっつり豪雨の中を走ったりもします






















でも大事なのが雨中走行をした後のメンテナンス
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タイヤがはね上げた水には細かい砂粒が沢山含まれているからそのままにしておくと次回走る時にジャリジャリで酷い事になってしまう。家についたらまずバラして水道で水洗いして砂粒を落とすのが大事な事

















チェーンやスプロケもジャリジャリになっているから迷わず分解清掃しよう
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これは7400デュラのカセットハブ、古いタイプのフリーだからスプロケ廻しを二本使って外します

















洗浄油でジャブジャブ
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車体に付けたままよりもこうやって思い切って分解しちゃった方が結局早くすみずみまでキレイにできる

















チェーンリングの歯先の黒いものがオイルと砂埃が練り合わさったもの
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これが駆動系の摩耗の原因になる




















ついでだからディレイラーの裏側やプーリーなんかも清掃しちゃおう
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車体についたままだと裏側なんかにはなかなか手が届かないからね



















洗浄油の中で歯ブラシでゴシゴシやったスプロケやチェーン達はすっかりキレイになった
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そのかわり油は真っ黒だ。摩耗の原因はこいつです。

















キレイにした後は油脂を補給しよう
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駆動系にはワコーズのチェーンルブを使おう





















チェーンをジップロックにいれてチェーンルブをスプレーしたらしばらく放置
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新品のチェーンに最初から塗布されているオイルは砂埃が付着しやすいんだ


















きれいになったパーツをもとどおりにセットアップしたら完成だ
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自転車も機械だから走っているうちに摩耗もするしガタもくる。でもそれは故障ではないんだよね。消しゴムと同じ、使ったから減っただけ。減った分は補給したり交換すればまたもと通りに使えるようになる







自分でメンテナンスって面倒臭いかもしれないけれど、こんな便利な今の時代だから、ちょっとぐらい手間がかかることがあってもいいんじゃない?