自分に合ったチャリってなに? | クロモリロードで走ろうよ

クロモリロードで走ろうよ

10代の時にはじめて乗ったクロモリロードが、速く、遠くへ、そして楽しく走ることを教えてくれた。 25年以上のブランクのあと、再び愛車に選んだのはやっぱりクロモリロード、そしてロングテールバイクだった。



ある時ふと思ったんだけどこのZUNOW、70~80年代のパーツを中心に組んであるんだけど全体のバランスがとれていてとても乗りやすいんだよね
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バランス、つまりそれぞれのパーツとフレームとの相性というか、自分の乗り方や使い方との相性というか、とにかく乗っていて非常にイイ気持ちになれるんだ
















最新のパーツは全然使っていないけど、レースを走らない自分には最新の性能は必要ないし、性能を追い求めた末の現代パーツの複雑なメカニズムはかえってトラブルの原因になりやすい













シフトレバーはこれ。
カンパの70年代の物だけどこれが最高にいいんだ。
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複雑なラチェット機構が入っていないからまず故障する事がない。調整はたった一本のネジの締め具合で加減出来る、それも走りながら。
ラチェット機構がついていないから一段づつこまめにシフトして走るのはちょっと苦手だけどそこは鉄チャリ、多少重いギヤでも難なく踏めちゃうからね













チネリ1Rステムとチネリクリテリウムバー380mm。フォークコラムは1インチ。スレッド式のステムは大きな力がかかるとよじれやすいしクランプ径26.4mmのこのバーは現代基準からしたら完全に剛性不足
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でもそのやわさが路面からの衝撃を適度にいなしてくれる。大径アルミのアヘッドステムだと硬いけど本来アルミは鉄より柔らかいもの。ハンドル周りのこの細さは大径アルミの硬いというデメリットを出させないんだ














手組みのホイールと組み合わせられるのは19mm幅のヴェロフレックス セルヴィツィオ コルセ。ラテックスチューブのハンドメイドチューブラータイヤだ
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昔ながらタイプのチューブラータイヤはタイヤ自体をしなやかに作りタイヤが変形しながら路面をつかむ事でグリップをさせている。だから手に持つとタイヤは見事なまでにペラペラだ













最近のクリンチャータイヤやチューブレスタイヤの台頭には実はオトナの事情が隠されていると思う。答えは製造コストにある。ハンドメイドのチューブラーは恐ろしく手間がかかる工程と何人もの職人の手を経て作られるからぶっちゃけ儲からない。同じ様な値段で販売するなら工場で大量生産が出来るクリンチャータイヤが普及した方が何かと都合がイイだろう













まあ、そんな話はおいといて。このタイヤと手組みホイール、鉄フレームで組まれた自転車に一度乗ってみて欲しい。最新のカーボンバイクとはまさに別次元の走りをする。路面からの小さな衝撃はホイールとタイヤが、大きな衝撃は自転車全体で吸収してくれるから長時間乗っていても疲れが少ないし、思わず笑いがこみ上げる乗り味だ。












ブレーキはおなじみカンパニョーロ デルタブレーキ。現代のデュアルピボットタイプと比べたらまあ効かない。でもその制動力の弱さがいいんだよね
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ロードレーサーのブレーキに必要なのは絶対的な制動力よりもタッチ、つまりコントロール性がいいかということ。レバーを握る力と制動力がきちんと比例しているかが大事だ。レバーを軽く握った時でも深く握った時でもロックさせずに減速出来ることが大事だからね。まあ、デルタブレーキはあまりコントロール性はよくないんだけどね。かっこいいじゃんこのカタチが














そんなわけで古いパーツで組んでる理由は、組み上げた時に全体としてしなったり、たわんだり、ねじれたりしてくれるからだ。
現代のカーボンバイクの乗り方の理屈からすると理解出来ないんだろうけど、古い鉄チャリは結局昔のパーツで組むのがいちばんバランスがとれるんだ。
例えばデュアルピボットのよく効くブレーキを入れたとする。よく止まるようになるかもしれないけれど、こんどはフォークやヘッド周りの弱さが気になってくるだろう。そしてホイールやタイヤにも不満がでてくるかもしれない。結局パーツもフレームも総取り替えになっちゃう










もしかしたら最新のカーボンバイクはGTRみたいなものかもね。誰にでも安心してそこそこ早く走らせられる。でもそのために時代に合わせ常にアップデートが必要。




古い鉄チャリは例えれば軽トラックだね。限界は低いし速くないけど走らせたら結構楽しい。そう、大切なのは走ってて楽しいかという事なんだよね。







自分のチャリ遊びに、一分一秒を削るような走り方は必要ないのです。でもどこまでも延々ロングライドをしたり大雨の中を走ったり、ダートを走破したりね、そんな遊びの相棒にはやっぱりこいつがいちばんなんだよね