今日は自分で組み上げた固定ロード用の手組みホイールの話をしよう
いままで使っていたホイールのハブの玉押しがいかれてしまったので新たにホイールを組むことにした
いままでのホイールがちょっと硬く感じていたので、あまり硬くなくてロングライドをしても疲れないもの。そして見た目が昭和っぽいもの。
そんなホイールを組もうと思っていた
構成としては7600デュラの両切りハブ、アラヤ ゴールドリム、星#15-#16バテッドスポーク、ブラスニップル、36Hイタリアン8本組み。今回はオール国産パーツで固めた。
柔らかな乗り味を確保するために選んだ細いスポーク、そして組む時はスポークテンションをあまり上げすぎない様にした
アラヤゴールドはもう何十年も製造されているトラックレース用のリム。わずか12mmのリムハイト、そしてアルミ地肌むき出しのポリッシュ仕上げがまさに昭和スタイル。重量も335gとアルミにしてはわりと軽量なタイプだ。
まあその分、現代の最新鋭のリムに比べると剛性は低くて狂いも出やすいんだけどね。でも今回は硬い乗り心地にしないためにその剛性の低さが重要なんだ。
現代の完組みホイールはやや重めの剛性の高いリムを使い、少ないスポークの本数でそれに高いスポークテンションをかけることでホイール全体の剛性を確保している。リムハイトの大きなエアロリムはリム自体の剛性を保ちやすいし、短いスポークをラジアル組にすることで軽量高剛性とエアロ効果を両立している。専用設計された部品を使うから軽くて高性能の製品を作りやすい。
ただ、これは自分が求める乗り味ではないんだ。
一方、今回組んだホイールはまさにその逆を目指している。
軽量で繊細なリム、36本のクロス組みスポークで組まれたホイールは全体の剛性や重量などの見た目のスペックでは完組みホイールにかなわないのかもしれないけれど、軽量なリムと、駆動力の伝達に優れた36本スポークで組んであるから走り出せば軽いホイールなんだ。
タイヤはヴェロフレックス クリテリウム。サイドが飴色をした懐かしい昭和デザインのタイヤだ
タイヤとホイールを変えると同じ自転車でもずいぶん違った乗り味になる。だからここだけは、高くても自分の納得のいくものを使った方がいいんだ
なぜ、クリンチャーを使わずにチューブラータイヤなのか、理由はリムの構造の違いにある。
同じ素材で作った場合、クリンチャーリムはどう頑張ってもチューブラーリムより重くて弱い物しか出来ない。クリンチャータイヤを嵌めるための溝を確保しなければいけないためだ。
完組みホイールに求められる剛性を確保するため現代のリムは溶接加工、熱処理、表面加工などの処理がされている。
でもね、剛性弱くても狂いやすくてもそんな処理のされていないピカピカの昔ながらのリムを使いたかったんだよね今回は。
トラックレーサー用ハブのシャフトをロード用のクイックシャフトに交換して使っている
リヤコグはロード用のチェーンが使える薄歯を選択。駆動系パーツはロード用をそのまま使っているからね。
手組みホイールの最大のメリットは自分の乗り方や体重に合わせたホイールがつくれるということ
現在主流の完組みホイールも性能的にはいいと思うけど、自分に合わせたホイールじゃなくて、ホイールに自分を合わせなきゃいけない
リム、ハブの選択。スポークの本数、太さ、組み方、かけるテンション。ニップルの素材。この組み合わせによって、以前は無限の組み合わせで自分好みのホイールを組むことができたんだけど、現在国内で入手出来るチューブラーのアルミリムは10種類にも満たないだろう。あとはデッドストックのリムを探さなくてはいけない。チューブラータイヤと共にこの先消えゆく運命なのだろうか。