当ブログでは、NO.3035におきまして、博多~由布院~大分~別府間で3月より運行されております列車に関しまして皆様にご紹介しておりました。
この列車が、「かんぱち」・「いちろく」でありまして、いずれも大分車両センターに所属しておりますが、この3両のうちキハ47形気動車でありました2両に関しましてが熊本~人吉・吉松間(「熊本豪雨」前)で運行されておりました「いさぶろう」・「しんぺい」でありましたが、引き続き新たな「D&S(デザイン&ストーリー)列車」でも人物の名から愛称を取っております。
「かんぱち」に関しましては、恵良駅前にあります酒造場の3代目でもあり、久大線敷設の運動の一人でもありました麻生観八(あそうかんぱち)氏から、「いちろく」に関しましては旧大分県農工銀行頭取でもありまして、久大線の前身の大湯線の誘致に尽力しました衞藤一六(えとういちろく)氏から愛称を取っておりまして、「かんぱち」は博多→由布院→大分→別府間、「いちろく」は別府→大分→由布院→博多間で運行されております。
そんな「かんぱち」・「いちろく」は、実は新たな形式でありまして、二人のロマンスカーと言う意味でもあります2R形として改番しておりまして、「いさぶろう」・「しんぺい」に使用されておりましたキハ47形気動車、そして新たな改造車となりましたキハ125形気動車とも2R形気動車となっておりまして、以下のようになっております。
(1号車、2R-16←キハ47-9082)
(2号車、2R-80←キハ125-24)
(3号車、2R-38←キハ47-8159)
これらは、これまで手掛けておりました水戸岡鋭治氏によるデザインではなく、鹿児島の「IFOO(いふー)」によりまして初めてデザインが手掛けられております。そんなこれらの車番はさまざなな理由もありまして・・・
2R-16 「(16)いちろく」より
2R-80 全長約8メートルの杉の一枚板カウンターより
2R-38 麻生観八が八鹿酒造の3代目だから
と、理由も正直単純である事が伺えております。
さて、今回ご紹介しますのは、その「かんぱち」・「いちろく」を撮影時「かんぱち」の終点であります別府駅にて、車内の画像も窓越しに収める事ができておりました。その車内も水戸岡氏デザインと違った所も見られておりますので、皆様にご紹介してまいります。
16時59分、久大線を経由しまして特急列車とは思えぬほど4時間40分もかけまして、「かんぱち」が終点別府駅3番ホームにやってまいりました。よく見ましても、元キハ47形気動車でありました2R-16&2R-38が全長が21.3メートルであるのに対しまして、元キハ125-24こと2R-80が全長が18.5メートルしかありませんので、長さからも違いが見られている事がお分かりいただけるのではないかと思います。
(到着直後)
改めまして、別府駅で収めましたこれら3両であります。ご紹介しておりますように、2R形式の気動車ではありますが、カラーやスタイルは変わりましても、やはり種車のキハ40系気動車・キハ125形気動車の印象の方が強い事には間違いないのではないかと思う所でもありましょうか。
(1号車、2R-16←キハ47-9082)
(2号車、2R-80←キハ125-24)
(3号車、2R-38←キハ47-8159)
さて、この後この「かんぱち」は大分車両センターへ回送する事になりまして、翌日再び大分車両センターから別府駅に戻ってまいりまして、復路で「いちろく」として博多駅に戻るようになります。その大分車両センターへの回送前に、窓越しからではありますが、車内の姿を収める事ができておりましたのでここからはご紹介します。
まずは、3号車・2R-38の車内であります。よく見ますと運転室寄りには畳個室が設けられておりまして、家族連れなどのグループが利用する事ができる部屋となっておりまして、まるでリビングみたいな印象さえも感じさせられます。尚、これからご紹介します各座席にもクッションも設けられておりまして、こうした所からもよりそう思う所でもあります。
個室の裏が客室になりますが、座席は緑地のカラーが見られております。これは福岡・久留米エリアの風土をモチーフにデザインしたそうでありまして、シートは2・4名分の半個室型のボックスシートでありますが、カラーも沿線の雄大な平野や山々を想起させる緑と、福岡 の県章にも使われる青をベースとしておりますし、テーブルには福岡産の杉を用いているそうであります。
その後ろが、3号車の乗降口であります。キハ47形気動車ベースではありますので、ドアは両引戸である事がわかりますが、すぐ右側の客室への入口の部分には壁面アートが飾られておりまして、地元のアーティストによって描かれたものでもあります。尚、左側にはロッカーが置かれておりまして、スーツケース利用者にも優しい面も見られております。
ここからは、2号車・2R-80であります。この車の特徴と言いますと、樹齢約250年になります「日田杉」の一枚板を使っておりまして、先述のように全長は約8メートルに及びます。そういう事もありまして、名称は「ラウンジ杉」とも呼ばれておりまして、利用者の共用スペースとして、そしてビュッフェも備えておりまして、沿線の食べもの・飲みものや、列車のオリジナルグッズなどの販売も行っております。
この2R-80と言いますと、元はキハ125-24でありましたが、キハ125形気動車と言いますと両運転台の機能があるのが特徴である事はご覧の皆様もご存知ではないかと思います。今回、中間車として存在してはいますが、画像のようにヘッドライトやテールランプも残しておりまして、種車としての名残を見せております。
もちろん、運転台も残しております。しかも、これまでのキハ125形気動車としての機能を残しておりまして、自走も可能である事がお分かりいただけます。ただ、中間車扱いでもありますので、この車が先頭に付くのも現時点では工場・基地(大分車両センターなど)内くらいではないかと思われます。
最後にご紹介しますのは1号車2R-16であります。この1号車は、大分・別府エリアの風土をモチーフにデザインしたものでありまして、火山や温泉を連想させる赤地のソファーシートとなっておりまして、3人掛けシートとなっております。また、テーブルには大分産の杉を用いておりますし、天井や手摺も杉板で統一しております。
(大分県産の杉を使ったテーブル)
尚、1号車のソファーシートは回転式であるのが特徴でもあります。そのため、テーブルを外す事ができるようになっているのだそうでありまして、テーブルを外して回転するようになっております。ただ、こうした姿は車両基地(大分車両センター・博多運転区)でしか拝見する事ができないようですので、駅で回転する姿は基本的には見られないようであります。
こちらは、運転室寄りの3+2人掛けのボックスシートであります。先述の3人掛けのシートとしますと座席の色からも違うのもわかりますが、そうした差別化も見られているのも特徴でもありましょうか。ちなみに、この隣の運転室寄りには3号車と同様畳個室が置かれておりまして、こちらの定員も6名であります。
もちろん、各座席コンセントは備えておりまして、電源の心配はいらないようであります。但し、1名ずつの利用はできないようではあります。
この後、「かんぱち」は大分車両センターへと回送して行きます。本来でしたら3号車に戻りまして・・・という所ではありましたが、じっくり車内を窓越しで観察していた事もありまして、1号車の2R-16の先頭部分を収めましたら発車と言う事になりました。それにしても、キハ47形気動車ベース車2両で40年超、キハ125-24でも30年超ですので、そんな中でそうした内装ですので、かなり大掛かりの改造であった事には間違いないでしょうか。
(発車)
今回は、別府駅で収める事ができました「かんぱち」・「いちろく」に関しましてご紹介しましたが、先述のように30~40年超の車両にここまで大掛かりな改造には驚かされました。しかも、車内外ともこれまでの水戸岡デザインとは大きく違った印象さえも感じさせられる姿ではないかとも思ってならない所ではあります。そんなこの「かんぱち」・「いちろく」はグリーン車扱いの特急列車として運行されておりますが、実際は旅行商品(パッケージツアー)扱いとしての運行となっておりますので、正直手が届きにくい列車ではありますが、ご覧の皆様も利用できるようでしたらゆったり・楽しく利用できればとも思っております。