NO.2198 南阿蘇鉄道高森線の中心駅、南阿蘇鉄道の本社及び車庫も併設しています、高森駅訪問記 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 7月下旬からご紹介してまりました、南阿蘇鉄道編も今回が最終回であります。

 

 この南阿蘇鉄道編は、7月21日に訪問しておりました模様をご紹介しておりましたが、前回番外におきましては南阿蘇鉄道の目玉列車でもあります、トロッコ列車「ゆうすげ号」に関しましてご紹介しておりました。

 

 トロッコ列車「ゆうすげ号」は、国鉄から転換されたばかりの南阿蘇鉄道目玉の列車として、昭和61年の夏より運行を開始したものでありまして、その背景には、開業当初から厳しい経営が予想されまして、将来にわたって乗客が減少する事が予想されていた事から、早期に沿線外の乗客を誘致する事が前提であった事から「ゆうすげ号」の運行にこぎつけております。

 

 当初の車両は、後述の無蓋車トラ70000形貨車を改造しました以下画像4のトラ700形客車2両、牽引機に入換用として使用されておりましたDB10形ディーゼル機関車2両の計4両でありましたが、DB10形ディーゼル機関車は平成18年運行終了後は平成筑豊鉄道に譲渡、翌平成19年の運行より機関車が上の画像にありますDB16形ディーゼル機関車2両、新造されました以下画像のTORA200形客車を加えまして現在に至っております。

 

 (TORA20001)

 

 (トラ70001+トラ70002)

 

 これら車の車内は、画像のようになっておりまして、テーブルの他にドリンクホルダーも置かれております。尚、客車内には窓が付いておりませんので、走行中は自然の空気も味わう事ができるようでもあります。

 

 (テーブル&ドリンクホルダー)

 

 

 さて、今回南阿蘇鉄道編の最終回を飾りますのは、今回トロッコ列車「ゆうすげ号」の撮影も行いました、南阿蘇鉄道の拠点駅でもあります高森駅に関しまして皆様にご紹介してまいります。

 

 

 高森駅は、高森線の末端駅として昭和3年に開業しました駅でありまして、昭和61年の旧国鉄から南阿蘇鉄道転換後には南阿蘇鉄道の本社・車庫まで設けまして現在に至っております。


 

 ただ、NO.2196でもご紹介しましたように、かつては高森線と旧高千穂線(→高千穂鉄道→廃止)と結ばれる予定でありましたので、現在の「高森トンネル」の手前にあります「高森トンネル湧水公園」の所に高森駅が移転される予定でもありましたが、工事自体が中止となりましたので、結局は現在の地に居座る結果となっております。


 

 現在は、後述のようにホームは片面のみ、それに車庫・検修線が設けられておりまして、高森線の中心駅としての姿を見せております。尚、運行本数は平成28年に発生しました「熊本地震」の影響で現在は画像の本数で運行されておりまして、この夏季は特にトロッコ列車「ゆうすげ号」が多く運行されるに至っております。

 

 

 駅内に入る前に、高森駅前に保存されております蒸気機関車に触れてみようと思います。

 

 この蒸気機関車はC12241号、製造は戦前の昭和15年に日立製作所笠戸工場(現笠戸事業所)でありまして、新製配置は仙台機関区でありました。その後新潟機関区→鹿児島機関区と経まして、昭和48年に熊本運転所に転属しまして、この高森線や豊肥線で活躍しましたが、翌昭和49年に残念ながら廃車となりまして、現在までこの地で保存されております。

 

 この姿を見ましても、C12型蒸気機関車はタンク機関車でもありますので、現在も「SL人吉」で活躍しております8620形蒸気機関車58654号のような炭水車がありますデンダー機関車と比べましても炭水車がない小型の蒸気機関車でもありましたので、比較的ローカル線で活躍していた事が伺わせております。

 

 

 また、この高森駅にはバス停も設けられておりまして、産交バスが運行を委託します高森町民バスや、コミュニティバスであります山都町バスも停車を行っております。尚、熊本方面へ運行します「たかもり号」や、延岡方面へ運行します「あそ号」・「たかちほ号」はNO.2197でもご紹介しました、駅の近くにあります高森中央バス停で乗り降りを行うようになっております。

 

 

 さて、高森駅の構内に入ります。駅舎は開業の翌年であります昭和62年に完成ました木造の駅舎でありまして、その下の画像にもありますように窓も付いた吹き抜けの駅舎でもあるのが特徴でもありまして、乗車券窓口の他に土産物も販売されております。

 

 (乗車券窓口と土産物売場)

 

 (吹き抜けの駅舎でもあります)

 

 また、番外でもご紹介しましたように、平成29年4月から11月末、平成30年2月から11月末まで運行されておりました、MT-2000形気動車を使用しましたラッピング列車「マンガよせがきトレイン」にラッピングされておりました、小学館の雑誌で活躍されています(いました)漫画家・原作者117名の寄せ書きの原紙が展示されておりまして、「熊本地震」で被害を受けております南阿蘇鉄道を応援しようとする姿が見られております。この回でもご紹介しましたように、私自身もこの見晴台駅とともにこの列車の姿を収めたかったのですが、残念ながら収められなかったのが悔やまれる所でもありました。

 

 さらに、九州の代表的な私鉄であります西日本鉄道(西鉄)からも寄せ書きが南阿蘇鉄道に寄せられておりまして、画像のように展示されておりました。それほど、同じ鉄道事業者として南阿蘇鉄道を応援している事を伺わせる寄せ書きなのではないかと思います。

 

 そして、番外でもご紹介しました見晴台駅での「午後の紅茶」のCMでもおなじみでありますキリンビバレッジの自動販売機が置かれておりましたり、キリンビバレッジ・キリンビールをはじめとしましたキリングループの社員が南阿蘇鉄道など熊本県内で活動していた記事を見つけておりました。また、今回訪問時の「南阿蘇白川水源駅祭り」でも後援がキリンビールでもありましたので、それほど、キリンビールと南阿蘇鉄道とのつながりはCMをきっかけにして深くなっている事も伺わせております。

 

 (南阿蘇村等でのボランティア活動記事)

 

 

 さて、ホームに出ましたが、ホームは先述のように1面1線の配置でありますが、それ以外にも検修線や留置線も存在しております。この時には、冒頭ご紹介しました「ゆうすげ号」以外に、在来用のMT-3000形気動車3010号の姿を見る事ができておりましたが、それ以外の車両の姿を見る事はできませんでした。ちなみに、在来用の運用は上の画像の時刻表にありますように、夏季は1往復のみですので、暇を持て余している事には間違いないでしょうか。

 

 (奥にMT-3000形気動車3010号の姿が)


 

 こちらは立野方でありますが、モーターカーが2両見られておりました。この2両はいずれも工事用ではあるようですが、稼働する機会もそんなにないようでありまして、雑草に埋もれていたのが残念でありました。ちなみに、かつてはキハ52形気動車改造のMT-2100形気動車もありましたが、既に廃車となっております。

 

 

 そして、南阿蘇鉄道では南阿蘇の復旧を支援する制度としまして「枕木オーナー制度」を行っておりました。これは、南阿蘇鉄道の線路で実際に使われている枕木のオーナーになって頂く事で南阿蘇の復旧を支援する制度でありましたが、実際に全国様々な所から枕木オーナーとして加入されている事が伺わせております。

 

 中には、学校関係から枕木オーナーになられた方もいらっしゃっておりまして、慶応義塾大学では学園祭の実行委員の方が枕木オーナーとなられた事がお分かりいただけるのではないかと思います。

 

 

 今回まで8回にわたりまして南阿蘇鉄道の話題をご紹介してまいりましたが、やはり平成28年に発生しました「熊本地震」の影響は本当にひどいものであった事が伺わせております。それでも、負けてはいられないという思いはひしひしと感じさせられる所でもありまして、それが「ゆうすげ号」の運行に出ているのではないかと思います。何と言いましても、従来車両での運行よりも「ゆうすげ号」の本数が多い訳でもありますので。とにかく、全線再開までは令和4年度とも言われておりますのでまだまだ先ではありますが、それまでに観光客の流れを止めないように努力していただきたいと思う所であります。