少し前に知人に誘われ、竹原ピストルさんの生歌を聞く機会があった。
竹原ピストルさんは東日本大震災の時に福島市にいた関係もあって、今もことある毎に福島にはよく来ているそうなのだ。
知人がその仲間の中にいたそうで、私もとある場面に参加させていただいた。
以前から存在は知っていて何曲か耳にして「いいなあ」と思いつつもそこまでだったが、リアルな歌を聴いて魂を撃ち抜かれ、即効CDを借りて車の中で連日拝聴している。
曲も歌声もすばらしいのに加え、歌詞がいい。
トンネル屋の私が特に気に入っているのは以下の歌詞。
トンネルを抜けた先には、きっとただトンネルを抜けた先があるだけだよ。
へっちゃらさ、ベイビー
タイトルも「へっちゃらさ、ベイビー」である通り、彼女らしき女性を励ましている歌なのだが、そのサビがこの歌詞だ。
「暗いトンネルを抜けると明るい光が待っている」というのが通常の概念である。
私もその考えで、コロナ禍直後にトンネル貫通写真で希望を持ってもらおうという取り組みをした。
さらに調子に乗って何度か写真展も開催したりもしている。
この歌詞を聞いて、そういうことだけではない、ということに気づいた。
悩みによっては、暗い闇を抜けた先にただの日常がある、ということが幸せだというシチュエーションもあるはずだ。
輝く光よりも、おだやかな日常を望む辛さ、とでもいおうか。
そういう深くやさしい気持ちのこもった、実に素敵な歌詞だと思う。
トンネルを抜けた先には、きっとただトンネルを抜けた先があるだけだよ。
へっちゃらさ、ベイビー
かみしめればするほと魅力的な言葉だ。
写真=山崎エリナ
竹原さんがギター一本で歌う、同曲。